火種8-7
マーレンの首都[レグノン]。隣国ルボンを攻め落とし晴れて勝利を収めたのも束の間、スンクがアミーユを陥落させたという一報が舞い込んだ。マーレン軍総隊長の[アブレイユ]は勢いそのままにスンクとの激突に備える。
「ルボンは平和呆けした平民ばかりで楽勝だったがスンクは一筋縄ではいかないぞ。一見、烏合の衆の様に思えるが力自慢が揃っているそうだ。あの国は常に諍いが絶えず犯罪率も世界ワースト、そいつらが外界に目を向けたとなれば滅茶苦茶に暴れるだろう。アミーユでは女子供も容赦無く命を奪われ、併せて強奪、誘拐、快楽殺人。おぞましい程の惨状となったようだ。戦争は勝てば正義となる。人殺しがヒーローになる。許される事ではないが我々も立場は同じ。生き残るには勝つしかない。死んで英雄になったとて、命果てては無意味である。勝鬨を挙げ、自由を自らの手でもぎ取ろうぞ!」
ウォオオオオオ!!
アブレイユの演説にマーレン軍の士気は高まる。しかし言葉とは裏腹にアブレイユの不安は比例して高まっていた。
ルボンを攻め落としたは良いが配下に置く事ができなかった。完全降伏には至らずルボンはアミーユ領となってしまった。なぜアミーユの下に付いたかは不明だが敗戦国同士、手を取り合って復興しようと言う事か。しかしこの四カ国の争いが終われば最終的な勝利を収めた国のものとなるのだ。勝てば良い。勝てば良い。勝てば…
だがマーレン軍の数は現段階でも五万はある。スンクは有志を集めて一万、ルボンとアミーユは合わせてもせいぜい三千が限度だろう。正式な国軍を有するのはマーレンだけだ。負ける事はない。負ける事はない。負ける事は…
様々な不安要素を取り除けば勝利は確実なのだ。自衛の強化、武器・防具の補填、食料の確保、兵士の士気。やれる事はやっている筈。問題ない。問題ない…
アブレイユの不安は取り除かれる事はなく、戦いの炎はさらに火力を増していく。




