火種8-1
「各班、有事の際は皆で一人を守り、個々は皆を守る行動を徹底してくれ。戦う事然り、逃げるもまた然りだ。目立たぬ様に事を進め最短でバスへ戻るぞ」
アミーユに着いたスマツ達は事前に組んだ四班に分かれ調査を始めた。ミシェルはてっきりスマツと同行するものだと思っていたが班長はジャンだった。
「あぁ。お前があの泥棒猫か。さっきスマツも言っていたが、チーム行動だ。単独行動、独断専行は禁止。わかってるな」
「ど、泥棒猫って…今は軍人です」
「そうか。まぁいいや。お前ルールとか守れなさそうだから先に言っておくけど、一人で勝手な事しても俺は助けないからな。自己責任だ」
「そ、そんな。まずルールを破るつもりはありませんし、破りません」
「へぇ。せいぜい頑張れや。足引っ張るのもやめてくれよ」
「さっきから何なんですか。そういうジャン大佐は単独行動で有名とお聞きしましたが」
「あぁ、そういうの信じるタイプ?意外と純粋なのかな…でも、そうだな。それは当たってる。単独行動しちゃうかもな」
「その時は私も助力しなくて良いと?」
「あぁ。俺の助けは要らない。自己責任だ」
ジャンの目付きが僅かに鋭くなった。ミシェルは迫力に圧されてしまった。
「その前にピンチにならないし、戦っても負けないけどな」
飄々とし、力が抜けたような雰囲気だが時折ギッと睨みつけるようなオーラを発する。無駄な力は使わずここぞの時に最大出力を発揮出来るように温存し、一瞬で決着をつけるのがジャンの特徴だとミシェルはスマツから聞いていた。それを垣間見た気がした。
「俺は早速別行動するわ。ツテが少し居るんでね。そちらで情報を集めるんでよろしく。お前らが纏まっていればピンチの時に助けるから安心しろ。ただ散り散りになったなら自力でなんとかしてくれ。俺もこの世に一人しか居ない。分かるよな」
そう言ってジャンは町に消えていった。スマツ隊長が決めたルールを早速破ってしまう。それも班長自らだ。ミシェルはジャンが苦手なタイプだとこのやり取りだけで知った。そんな班長はこちらから願い下げだ。
と、息巻いてみたもののミシェルも外国が初めてで自分の事で精一杯である。それこそチーム一丸となって収穫を目指すのだ。
「じゃあとりあえず一時間後にまたここに集まろう。時間だけ守ってくれればいい。間に合わなければそのまま町を出て港に戻ってくれ。調査が終わるまでだ」
班長という纏めるべき者が居なくなった後、仕方なく仕切ったのはジャンと同じく二番隊の[ナジャ]だった。彼の一声で班はそれぞれ聞き取り調査を始めた。一人残ったミシェルにナジャは声を掛けた。
「ジャンさんはああいう人なんだ。もともとね。だからあんまり気にしなくていいよ。君がもし二番隊に配属されなければ、だけどね」
そう言ってナジャも調査に向かった。
「はっ!私も調査しないと。どうしようどこ行こう誰に聞こう…だ、誰かー!」




