すれ違う7-12
ラーム教と政府が共倒れすれば実権を握るのは朝廷だ。平和呆けした上流階級の無能さを国民は身を持って知る事になる。この国は混乱し、いずれ蜂起する者が出てくるはず。革命の灯火はそこかしこから燻り始め国は生まれ変わる。
実際のところ、政府のお偉方はあの手この手で自分らの地位を最低限守り抜くだろう。失脚しても左遷されても天下り先は方方にあり隠居生活、というのが目に見える。
ラーム教も同じくしてヒエラルキーがはっきりと浮き彫りになり信頼を失えばピラミッドから転がり落ちる。今やこの宗教はノア国に留まらず世界中の信者から視線を浴びる。布教しきれていない国に逃げ出すしかないのだ。今のような上っ面ばかりで信者を見下す堕落した聖職者は神からも見放されればよい。
その家に生まれただけで地位が保証される朝廷一族はどんな国政を執るのか見物だな。果たして国民の声は彼らに届くのだろうか。貿易も国防も予算も自治も、今まで見てこなかったものに目を向ける事が出来るのだろうか。名ばかりの王に統べる力などありはしない。
私?私は生贄となりこの国の目を覚ます起爆剤となるのだよ。テロリズムではない。この国の為に尽くすのだ。私はパトリオットなのだ。この国の歴史に刻まれるべき英雄になる。
そして運命の日。国会の場で初めてラフスとすれ違った。あぁ、そうか。私はもう私で無くなるのだ。その人生の最期に親友を一目見れて良かった。少し、心が揺らいだがそれだけだ。崩れはしなかった。
いつも通りだらだらとさほど意味を持たない社交場と化した議会で叫ぶ。
「議員の中に密偵が潜り込んでいる!そいつはこの国の情報を東の大国マルベスへ漏洩させているのだ!これは紛れもない事実であり、確固たる証拠も得ている。この場で名乗り上げよ!さもなくば…さもなくば!!」




