思惑6-4
「ノヴァ。おーい、ノヴァ」
「なんだ、レノか。どうしたんだ?」
「なんだってなんだよ。それよりさ。またあの地下通路に行かないか」
[レノ]はウキウキした顔で前のめりに[ノヴァ]を誘った。
「あそこは立ち入り禁止だろ。この前は迷い込んじゃったけどさ。気になるけどあんまり近寄らないほうがいいんじゃないか?」
ノヴァは行きたいと思っていたが冷静に断った。でもレノはそこまで聞き分けが良くない。
「絶対に何か秘密があるって。宝物が隠されてたり、極秘の研究が行われていたり。ミイラなんかもあったりして」
眼を爛々と輝かせるレノにノヴァは若干引いたが純粋が故の好奇心は収まりがつかない。
マルベス国の以西にある城下町[ジェッタ]。煉瓦造の建物がズラッと並び細い路地が続く。マルベス城はここから丘を登った岬に堂々とそびえ立つ。世界を監視するかの如く建てられたこの城は一見して無防備に思えるが、攻め込むには困難を極める。岬を海側から登る事は不可能で陸から攻めるには麓にあるジェッタを落とすしかない。更にジェッタの最奥には関所が二重に構えられ防壁も兼ねているため、まず突破される事はないのだ。
ジェッタにある国立図書館の裏路地にレノとノヴァは居た。先日図書館を出た時にふと錠前が壊された鉄扉を見つけた。人通りのないこの路地は薄暗く少し肌寒さを感じた。恐る恐る錆び付いた扉を開けると闇で何も見えなかったが近くの廃屋からランタンを拝借し、照らしてみると地下に続く階段が見えた。階段は相当深く伸びていてどこまで降りるのか分からなかった。
レノは満面の笑みでノヴァを道連れに階段を降りた。何段あるかも数えていなかったが降りきった先には十字路になっていた。二人はそのまま真っ直ぐ進むとまた十字路。これが続くとなるととても来た道を覚えられないと思いノヴァは引き返そうとレノに提案した。レノは先に進みたがったが、準備を整えないと出られなくなるとノヴァは説得し、その日は引き返した。どの道で来たのか懸命に思い出しやっとの思いで入り口まで引き返したのだった。
そして今回は予めランタンは持ってきた。それと赤く塗った小石を腰袋に大量に詰めて来た。目印を置けばなんてことは無い。ノヴァは半信半疑だったがレノに付いて行く事にした。確かにあの入り組んだ地下道には何かありそうだ。
「よし。冒険の始まりだ。準備はいいか、ノヴァ」
「そんな大袈裟な。とりあえず暗くなる前には引き返すぞ」
二人は再び錠前の壊れた鉄扉を開き地下への階段を下りた。下りる道中、ノヴァは初歩的な疑問を抱いた。なぜ錠前は壊されていたんだろう。そしていつ壊されたんだろう、と。




