思惑6-1
「国王陛下。ガンプーのマーク大将並びにガレオン隊長がお出ででございます」
「わかった。通しなさい」
大きな扉が開かれた。自分の身長の三倍くらいはあろうか。二人は改めて背筋を伸ばし玉座へ続く長い絨毯の上をゆっくりと歩んだ。
その絨毯を囲む様にずらっと衛兵が並ぶ。ガンプー軍とは違う王直属の精鋭集団だ。しかしマークとガレオンは自分らガンプー軍も引けを取らないぞと言わんばかりに堂々と進む。そして王を前にして横並びに立ち止まり敬礼した。
「ガンプー軍隊一番隊隊長マーク、並びに二番隊隊長ガレオン。只今参上仕りました。本日は謁見をお許しいただき誠に感謝致します」
マークは落ち着いた低い声で、しっかりとした口調で言った。
「久方ぶりだな。マーク、ガレオン。君達の働きには常々感謝している。さぁ、直りなさい」
マークとガレオンは額に当てていた左手を下ろした。
「まぁそこまで緊張なさるな。少し気楽に行こう。こんなときだからこそな」
バス国王[シュミット]は優しく微笑みながら話した。しかしその優しさを王というオーラが包み込んでいた。マークは答える。
「はっ。ありがとうございます。いつもながら気にかけてくださりこちらも感謝致しております」
シュミットは少し前のめりにマークに尋ねる。
「して、今回はどのような?」
「はい。先日起こったライラック孤児院での一件、またアカシア孤児院のサジー氏が亡くなった件のご報告と今後の方針をお伝えできればと」
「んん。その件は残念極まりない。悔やんでも悔やみきれない。希望の若い芽が無惨にも摘まれてしまった」
「同感であります。事の原因はアミーユから輸入したスンの実に恐らく毒物が何者かによって仕込まれた無差別殺人と思われます」
「そのようだな。報告は耳にした。アミーユも情勢が揺らいでいるが、何か分かったか?」
「いえ、詳しくはまだ。しかしこれは宣戦布告と捉えてもよろしいかと。その為に調査団をアミーユへ派遣したく思うのですが」
シュミットは、ふぅと息を吐きながら背もたれに寄りかかった。目を瞑り口を噤んだ。そして目をゆっくりと開き答えた。
「相分かった。調査団選定は君に任せる。決定した段階でおおよその計画と人員、必要経費をまとめて報告書を提出してくれ。くれぐれも慎重に。かつ迅速に、正確に。まぁ君なら心配ないと思うが」
マークは頭を下げた。それを見てガレオンも慌てて続いた。
「身に余るお言葉でございます。早急にご報告致します」




