光5-3
「そういや、お前はなんでこんな事態になってるか知ってるか?」
ブライの問いにライトは横に首を振った。
二人は洞窟を出て森の中を歩いていた。街からはそう離れてはいない場所で油断は出来なかったがブライは飄々と話し始めた。
「まずこのアミーユは言わば植民地だ。今のところ世界は二大国のもんだ。ノアとマルベスな。アミーユは実質ノアの領地、支配下にある。それはわかるな?」
ライトは今度縦に首を振った。歩き続ける。
「この辺の島国はノアとマルベスの領地が半々だ。マーレン、スンク、ルボンはマルベス領。アミーユとバスはノア領だ。ただ、バスは植民地と言うよりは同盟国に近い。対等とまではいかないがある程度の自力がある。その分アミーユでノアの奴らが幅を利かせてる」
少しずつ傾斜が出てきた。森はどこまでも続いている。
「最近マルベスがアミーユを侵略しようとする動きが出てきた。だが表面上はマルベス領の三国による侵略だ。マルベスは知らん顔して勝手にやった事だと突っぱねるつもりだろうよ。仮にもノアとは停戦中だ」
ブライは急斜面に差し掛かってもペースを落とさず歩き、話し続ける。ライトは息を切らしながら必死に付いて行くが何度かブライを待たせ足を止めさせてしまっていた。
「俺達の街を襲ったのはスンクの奴らだ。見事に侵略されちまった。さて、これからどうする。という局面な訳よ」
ブライは足を止め、仁王立ちしてライトに問うた。そこは森を抜けた小高い山の頂上だった。視界が開け、その先に海が広がっていた。
ライトは膝に手をつき肩で息をしていた。ブライはそんなライトの背中をぽんぽんと叩き海を眺めた。
「いいか。この世は何もこの街、この国だけじゃねぇ。でっけぇんだ。でもよ、俺達にとっての故郷はこの街、この国だ。やられたもんはやりかえさなきゃ公平じゃねぇ。勝たなくてもいいが負けるのは駄目だ。その為にこの国を出るぞ」
少し空が明るくなっている。まもなく日の出だろうか。周りに遮るものがないからか、太陽光がブライを照らし眩しく見えた。とても大きく見えた。そしてブライは、にっと笑いライトに言った。
「よぉ。夜明けだぜ」
旅立ちの時が来た。ライトの不安も徐々に晴れた気がした。




