光5-2
「この先、生きていく上ででけぇ分かれ道にお前は立ってる」
ブライは洞窟の中、微かに光が射し込む場所を見つけてそこにライトを呼んだ。ブライは指差しライトにそこに座れと何も言わずに指示した。
ライトは従い指された場所に三角座りをした。
「右か左か。結局同じ道に繋がるが、繋がるのは真反対だ。つまり死ぬ時だ。どう生きるかを今決めなきゃいけない」
ライトはあまり理解できなかったが大きな局面である事は知っていた。
「この場で右か左かを選べ。その先にもまた分かれ道は沢山出てくる。その都度選べ。しっかりと悩んで決めろ」
ライトは頷いた。
ブライは人差し指を立てて言った。
「今選ぶ二つはこうだ。滅茶苦茶にされた俺達の街を見に戻るか戻らないかだ」
ライトは拍子抜けした。それがそんなにも大きな決断なのか?と。そう言いたげな顔を見たブライは続けた。
「街を見に戻るなら覚悟しろ。今まで育った場所だ。思い出は全て、そして常にこの街だ。その街はもう無ぇ。死体も数え切れないほど転がってる。知り合いも赤の他人もだ。だがほとんどはこの街の人達だ」
逃げて来た時に見た映像が脳裏に浮かんでまた恐怖に襲われた。どうなってしまったのかは気になる。
「街を見ずに他の場所へ行くなら覚悟しろ。訣別だ。振り返らずに進むのは恐怖や不安を伴う。この街がどうなったのか、自分の目で確かめること無く生きる事になる。誰がどこでどんな死に方をしたのか。その中で他に生き残った者はいるのか。それを知らないまま死ぬまで生きる事になる」
見たくない気持ちもある。見てしまったら感情に押し潰され自分が自分で無くなる。
ブライは両の手の平をライトに差し出した。
「右は見る。左は見ない。どうする」
差し出された手は震えていた。ブライも必死に感情を押し殺して冷静を保っている。
ライトは無言のままブライの手の平に自分の手の平を重ねた。
ブライはその手を握りしめて言った。
「よし。決まりだな。それじゃあここを出よう。俺もお前も一人だ。お前が嫌じゃなけりゃ俺と一緒に居ていい。俺はお前を受け止める。どうだ。一緒に来るか」
「…うん」
ライトはそう言ってブライと共に洞窟を出る。




