吹雪く4-3
ラフスは揺れる馬車の上で花束をに見つめながら考えていた。仕事の事を忘れたくてもつい考えてしまう。それは今後の近隣国との付き合い方だ。長年冷戦状態のマルベス国とは緊張感を保ちながら維持をするとしてそれ以外との関係が今後重要になってくる。
現ノア国王の[スウェヴ]は王座についてからまだ二年だ。歳も35とまだまだ若い。今までも政治には関わってきていないため朝廷側は現在あまり機能していない。逆に勢いを増しているのがラーム教である。ここに来て世界全体での信仰者が急増していた。ノア国内でも動きが活発化し、産まれながらにして信仰を約束されたノア国民が正当な教徒であると声明し、移民受け入れに断固反対、貿易も法外な関税をかけるとしラーム教のトップであると他国に睨みを効かせている。
ノア国は広大な領土を持ち、様々な資源に恵まれ貿易となると売手側に回る。科学にも力を入れ最先端の技術力を持ち世界をリードする立場にあるが、ラーム教の存在によりただ頼れる強国ではなく、恐れられる恐国にもなっていた。それほどの力を持ってしまった。国王はその立場に甘んじ外交に興味がない。来る者は拒まず去る者は徹底的に追いかける。囲い込んでしまえば恐れるものはないと鼻で笑う。マルベス国にも強気に来るなら来いと言わんばかりの姿勢を示している。
ノア国とマルベス国の中間に位置する永世中立国のピーリクはかつての栄華はないが第三の立場として東西両国とは関係を絶っている。
ピーリクの南に位置するバス国は小国ながら今や随一の軍事力を誇り守りは強固だ。それに外交も盛んに行い他の小国との関係を確固たるものにし良好な関係を築いている。[マーレン]、[スンク]、[ルボン]ここら一帯はもはや連合と考えていい。ただ最近になってその中の一つであるアミーユ国で革命が起こった。動向が気になる。あくまで噂の域だがアミーユ国とマルベス国との間に繋がりがあるという情報も出てきている。
マルベス国の南には陸続きに[ティモン]という国がある。ここはかつてマルベス国領だったが独立、国境では常にマルベス国と睨み合っている。そしてティモン国と南北に海を挟んでいるのが[ドレー]国だ。ティモン国とドレー国は経済協力を結び、現在この海峡に橋を建設している。とてつもなく巨大な橋で完成にはまだ程遠いが、着々と二国間の協力関係を強固にしていく。
他にも最北に位置する[ノウズ]国、ノア国の南にある[デナ]国、その更に南の[ミラネ]国。目立った動きはないがラーム教信者が比較的少ない地域のためノア国との関係は薄い。それによって情報はあまり入ってこない。マルベス国が何か企てているのか不明だがアミーユ国の件がこの先世界にどれほどの影響を与えるか未知数である。
年に一度の世界会議が開かれるまであとひと月に迫っている。




