始まりの渦3-7
「ガ、ガレオン…さ、ん」
笑顔で右手を挙げたガレオンの目の前で一人の男が倒れる。彼は苦しそうに喉元を掻きむしりながら絶命した。
ーーー15分程前。バス城に程近い[アカシア孤児院]の院長を務める[サジー]は運ばれた物資の検品をしていた。腐ってしまう怖れもあるので食品から行う事にしていた。おやつの時間までにはあらかた終わらせなければ子供たちに顰蹙を買ってしまう。更にこれはリリア孤児院のミシェルが持ってきてくれた物なので早々に片付けなければならない。遊んでいる子供たちを見ながらサジーはせっせと整理した。その中に珍しい物を見つけた。アミーユ国でよく栽培される[スン]と呼ばれる柑橘系の果物だった。
「これは。何年ぶりに見たかな。生でもいいが煮詰めてジャムでも作ろう。どれ、一つ味見させていただいて…」
「おーい。サジーさん。元気にしてるかー?今日はこのまま雨降んねぇといいなぁ。いやぁしかしこれ…」
「ガレオンさん!このスンを子供達に食べさせないように!…ぐふぅ。熱い…っ!がぁっ!」
サジーは口と鼻から血を噴き出しながら呼吸が上手く出来ないのか途切れ途切れに、絞り出すように言った。
「ガ、ガレオン…さ、ん」
倒れた後、両手の指先が痙攣をしていたがすぐにそれも治まり、サジーは動かなくなった。




