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スピリット  作者: 猿飛
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始まりの渦3-2

今日は非番だ。そんな日は夜更かしする気もないが眠れず、眠れたとしても早朝に目が覚めてしまう。その日に良い事があった訳でもなく、悪い事があった訳でもなく、次の日にワクワクするような予定がある訳でもなく、ドキドキするような事柄がある訳でもない。ただ、眠れないのだ。悩み事や心配事、思い出で脳が活性化してしまうのだ。眠ろうと思うと眠れないのだ。


と、思っていると今日も眠れず朝を迎える。薄曇りだ。日の出の時刻は過ぎたが太陽は顔を出さない。風はない。雨もない。気持ちと同じくどっちつかずの空模様だ。


マークは一息吐いて水を飲み、部屋を出た。人々の活動にはまだ少し早い時間だ。その中でも新聞屋、魚屋、農家、漁師などは日常的に活動を始めている。新聞屋の[カズン]がマークを見つけ寄ってきた。

「おはようございます。この時間に起きておられるということは今日は非番ですか。ご苦労様です。はい、今日の朝刊です」

「あぁ。おはよう。君こそ毎朝ご苦労さん。ちなみに新聞屋は新聞を読むのかい?」

カズンは恥ずかしそうに笑った。

「はぁ、読まないことはないですがじっくりと眺める時間もないもんでね。でも何故そんな事を?」

マークは受け取った新聞の一面を眺めながら答えた。

「単なる世間話だよ。深い意味はない」

「あんまり考えすぎないでくださいよ。立場上難しいとは思いますけど。非番なんだから切り替えてゆっくりしてくださいな」

「そうだな。いや、考えすぎてしまったからこそさっきみたいに考えもせず質問してしまった。仕事中すまないね」

カズンは鼻の下を人さし指の背でこすりながら言う。

「とんでもない。こんな時しかマークさんとはお話出来ないですからね。私の月一回の楽しみ事なんですから。では。今日は雨が降らないといいですね」

カズンはバッグに詰め込んだ新聞をポンポンと叩いて仕事に戻っていった。マークはその後ろ姿を見送り、再び新聞に目を戻した。この日の一面には、

[アミーユ国の内紛に決着。反政府テロリスト集団に軍配]

とあった。アミーユはバスの南、小さな島が7つ集まった小さな国だ。この内紛も始めは小さな争いでしかなかった。部族ごとへの待遇に格差が出始め快く思わない者たちが決起し政府に宣戦布告、テロリズムが激化した。主導者[ブライ]率いるテロ組織[デスガルゴン]が勝利した事を報じている。


「革命が革命を呼ぶか」

マークは呟きながら部屋に戻った。

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