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さよなら殿下
「ルナ・パナケイア公爵令嬢、お前とは婚約を破棄させてもらう」
「は?」
会場中の注目を浴びた私は、開いた口が塞がらなかった。彼が言い渡すのは婚約破棄という、なんとも馬鹿げたこと。
何より、彼の隣にはすでに次の女らしい人が立っていること。
「はっ。そもそも…そもそもだな、お前が傲慢なのが悪い!お前は『聖女』ではなく『悪魔』だ!」
「ルナお姉様、ごめんなさい。私がいけないのよね。その『癒しの手』で私の病を治してくれたけど…お姉様……そのせいで花をたくさん枯らして」
ぷるぷると震える我が妹は、殿下にベッタリ張り付いている。彼女は公爵家の蝶だ。私の治癒の力を持ってして、ようやく病気を治してあげたと思えば……
彼女はいつの間に、殿下とデキていたのか。
むかっ腹がたった私は、とにかく涙をこらえて、言葉を飲み込んだ。
感情が爆発すると、私は涙を止めることができない。昔からの悪いクセだ。
「ではさようなら、殿下」
頭を下げる。
周りの貴族は日頃の腹いせのように笑っていた。