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無限世界の無限キャラ(外伝)  作者: 無限キャラ
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不自由な世界へのムゲンの遺言




超時空体に進化し新世界の創造主を目指そうと…時のない部屋に入ろうと思ったムゲンだったが、時のない部屋に入ってしまえばしばらく出てこれなくなる可能性があったので、気になっている問題について残る分身体たちに伝言しておこうと思った。



不自由な世界には、まだかなりの分身体たちが残っていたのだ。



彼らは体験の牢獄に入れられてしまっていた…



欲望という体験支配者たちの牢獄に入れられてしまっていた。



彼らに与えられていた欲望には、多種多様ないろいろな欲望があったが、



ある者は支配欲を与えられ、


ある者は食欲を与えられ、


ある者は名誉欲を与えられ、


ある者は愛欲を与えられ、


ある者は承認欲求を与えられ、


ある者はいろいろな独自の夢という欲を与えられ、


ある者は出世欲を与えられ、


ある者は一番になりたい欲を与えられ、


ある者は自分に何でも従うイエスマンを得たいという欲を与えられ、


ある者は特別になりたいという欲を与えられ、



皆、それぞれの欲望の牢獄に入れられてしまっていた。



★彼らは、自分の意志だけで、その欲望を自由に生み出したり、消したりする自由を手にしていなかったのだ。



彼らは、ただその自らの欲望が満たされれば問題は解決すると思ってしまっていた。


だが、彼らはそうした欲望そのものを自分の意志で自由に選んだり、消したり、生み出したりできない状態こそが問題であるということに気づいていなかった。

あるいは、ある程度は気づいてもそれが一番重大な問題であると理解できないようであった。


その体験の牢獄問題を解決できない限り、一つの欲望を例えうまく満たしても、また次の体験の牢獄に入ってしまい、それが延々と続いてしまう。


欲望を自分の意志だけで自由に選べるようにならない限り、永遠に欲望の奴隷状態であり続けなければならない。


また、そうした欲望の問題が幸運に解決したとしても、欲望以外にも無数の体験の牢獄があった。


自分の「気分」を自由に選べなかったりすれば、特別な欲望がなくても嫌な気分に苛まれ続けることになってしまう。

ムゲンの見る限り、自分の気分を完全に自分の意志だけで自由に選べる分身体は、ほとんどいなかった。


「夢体験」などにおいても望まない悪夢を完全に自由に拒否することができる分身体はほとんどいなかった。


また、体験装置である肉体の調子や状態や動作を完全に自由に選べる分身体もほとんどいなかった。



そうした状態がとんでもなく不自由な牢獄に入れられているような状態であると理解できている分身体すら実に少なかった。



皆、自分の属している社会と呼ばれる集団が推奨している権威や流行や価値観や娯楽や学歴やスキルや職業や身分やルールやその他いろいろな人参を目の前にぶら下げられて、それを目指して突き進んでいた……


しかしそうしたものはすべて体験強制装置のタイムリミットが来れば、すべて意味がなくなるものだった……



彼らの本当に目指すべき目的地は、どこなのか……ムゲンは伝えておかねばならないと感じた。





「体験の自治権」は、あらゆる世界を救う特効薬であるとは伝えた。



あらゆる体験者が自分の意志だけで自分自身のあらゆる体験を自由に選んで楽しみ続けれる状態を実現すれば、あらゆる体験者たちが抱えているすべての問題が解決するのだと伝えた。



だが、それだけの説明では、まだちゃんと伝わっていなかった。



少なくとも、そうした体験の牢獄から自由になろうという意志を、彼らはまだ持てていないように思えた。



不自由な世界の分身体たちの意志は、まだ、バラバラだった……



支配者と被支配者に分かれて、あるいは、その他のいろいろな派閥に分かれて、あるいは個として……それぞれが自分の欲望の実現をバラバラに目指し、争い、憎みあい、恨みあい、策略を考え……互いに足を引っ張りあっていた。



支配者たちは、あからさまに、あるいはこっそりと体験者たちの体験の自治権を奪おうとありとあらゆる技術や手練手管を駆使していた。

被支配者同士であっても、互いに互いの体験の自治権を奪いあったりしていた。



そんな感じで、みんなの意志は、バラバラだった……



不自由な世界の分身体たちの中には、そうした状態ではダメだと理解できている者はそれなりにいた。



しかし、では、何を目指せばいいのかという点では、まだバラバラだった。



ある体験者は、政治や経済や法律を改めればいいのだと言っていた。


ある体験者は、愛に従えばいいのだと言っていた。


ある体験者は、皆が自分たちの描いている新世界秩序に従えばいいのだと主張していた。


ある体験者は、宇宙連合総司令官に皆が従えばいいのだと言っていた。


ある体験者は、全知全能なる神に従えばいいのだと言っていた。



ムゲンはそんなものたちに従っても、「体験の自治権」があらゆる体験者に提供されなければ、うまくゆくはずがないと感じた。


彼らは、誰も、「あらゆる体験者に完全な体験の自治権を提供するのだ!」とは言っていなかった。



なぜ、何かに従うのではなく、ただ皆が体験の自治権を得られるように意志してゆこう!ではダメなのか……



それが愛であれ、新世界秩序であれ、宇宙連合総司令官であれ、全知全能なる神であれ……皆に完全な体験の自治権さえあれば

皆、そんなものに従う必要なんかない……



なぜそれがわからないのだろうか……



愛に従えば、皆が幸せになり皆が満足するかもしれない……しかし、別に従わなくても皆が幸せになれれば、それでもいい。

むしろその方がいい。

あくまで愛し合うことは選択できるプラスオプションということにしておいた方が、別れが生じた時に愛する相手への喪失感などが発生しないのでより精神的に安全になる。



憎しみあうよりは、愛し合う方がいいに決まっている。しかし、愛し合わなくても誰もが完全に満足できる世界は、もっと良い、もっと自由な状態であると不自由な世界の体験者たちの多くは、思っていなかった。



憎しみの牢獄よりは、愛の牢獄の方がずっとましだとは言えるが、実は両方ともまだ体験者は体験の牢獄にいる状態なのだとほとんど誰も理解できていなかった。


良い待遇の牢獄であれば、それで満足できるのならばそれもいいのかもしれないが、いかんせん、それは本当に自由な状態ではない。


体験の自治権が得られていれば、自分のすべての体験が自由に選べるのだから、愛も体験のひとつなのだから、体験の自治権の方が重要だと理解する必要があった。

愛に完全に従ってしまえば、自分の体験を自分の意志だけでコントロールできなくなるのだ。



愛とは従うべき何かではなく、皆が望めば選べるひとつの選択肢であるべきだったのだ。


愛以外の新世界秩序も、宇宙連合総司令官も、全知全能なる神も……その他の偉いさんたちも……皆が望めば選べるひとつの選択肢であるべきだったのだ。

少なくとも、彼らが体験の自治権をあらゆる体験者に提供するために自分に従ってほしいのだと言えないのならば……




つまり、皆が心を一つにして意志し、実現しなければならないのは、





★「体験の自治権」をあらゆる体験者に提供することだったのだ。





ムゲンはこのことを不自由な世界にどうしても伝えておく必要があると感じた。




皆のバラバラな意志を、この目標に向けるように……とムゲンは不自由な世界に残っていた分身体たちに伝言した。




体験の自治権をそもそも与えれるのに確信犯で与えなかった不自由な世界の創造者たちや支配者たちやその部下たちに強く伝言した。




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