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いじめられてみた  作者: ケト
いじめられてみた
14/65

14話 対処してみた(声を出す1)

 今回、全部の対処をやってみたので、三部構成となっています。

 とは言え、最後の『逃げる』を除くとほぼ音声のみですが。

 映像があったとしても、どうせほとんどにぼかしがかかるでしょうし、あんまり関係ないですけどね。

 

 はい。それでは『声を出す』からです。


 まずは、いじめられた後に親に相談するところから始めたいんですが――今回の場合、ケッチャンには相談する親がおりません!


『ねぇ、ミタパパ』

『なんだい、ミタ?』


 と、一人二役の、迫真の演技を披露しても良いのですが……誰も、いい年こいたおっさんの独り言なんて聞きたくないですよね。いい年こいたおっさんではありませんが。

 なので、親への相談があったていで進めます。


 ちなみに行動した日時ですが、十月二日金曜日の、午後七時三十五分です。

 そう、いじめられた日の夜なのです。

 鉄は熱いうちに打て、鉄板が熱いうちに喰え、って言いますからね。


 ミタ君の迅速な報告により、ミタパパは即座に担任の先生に電話をしたのでした。という設定ですよ。


 今回は電話の音声のみなので、声は編集していません。

 でも、当然ですが固有名詞のところは編集してます。ケッチャンお得意の仮称に置き換えていますので、お楽しみに。

 ちなみに、先生の名前は愛着が持てるように『てっちゃん』にしてます。ティーチャーっぽいでしょ?


 あと、聞き取りづらいところもあるかもしれないので、画面には字幕表示もしますよ。

 と、いうことで。ケッチャンは右下で大人しく、小さくなってますね。

 

 それでは聴いてください。『声を出す』です。ドーゾ!」

 



 ――呼び出し音が鳴っている。一回、二回、三、四、五、六、ガチャ。


「はい、もしもし?」

「あ、もしもし、八手三田やってみた高校の、てっちゃんの携帯電話でしょうか?」

「はい、てっちゃんですが……」

「わたくし、てっちゃんにお世話になっているミタの父、ミタパパと申します」

「はい、あぁ、昨日の朝連絡くださった、お父様ですね? ミタ君、今日は学校に来てくれました。ホッとしましたよ」

「はい、おかげさまで。それで、学校でのことなんですが、ミタの様子はどうでしたか?」

「えっと、わたしは今日はホームルームでしか教室に顔を出せなかったのですが……少なくとも、そこでは特に変わりはなかったかと思いますが。何かありましたか?」

「はい。どうやら……いじめ、にあったようで……」


「えっ!? いじめ、ですか? それは、本当ですか? 今日のことですか?」

「はい。わたしが仕事から家に帰ったところ、ミタが部屋から出てこなくて。中に入ってみたら、ミタの部屋にあったゲームとか、漫画とか、いろいろ無くなっているのに気が付きました。

 それで、聞いてみたんです。そしたら、クラスメート三人に盗られたって……」

「三人、ですか……その、三人が誰か、なんてのはわかるんでしょうか?」

「はい。あ、いや、顔はわかるんですが……何しろミタもまだ学校に行った時間が少なくて、名前がわからないらしいんです。でも、間違いなく同じクラスだとは言っています」

「そうですか。問題は、その……ミタ君を疑うつもりなんて無いんですよ? でも、本当に……」


「本当に、盗られたのか? ですよね。そこは間違いありません。そして、盗った人物も明らかです」

「えっと、どういうことでしょうか? それは、ミタ君の証言で、ということでしょうか」

「はい。証言と、証拠ですね」

「証拠、ですって? それは一体……」

「実は、四月から不登校になった原因も、今日とほとんど同じことをされたから、だったらしいんです。

 ただ、そのことをミタから聞けたのは、不登校が始まってから一か月も経ってからでした。何より、証拠も無くて……そのときは何もできなかったんです。

 でも、今回ようやく立ち直って、学校に行くことが出来るようになったんです。それで、もしもの、万が一のために――家の中に、カメラを設置していたんです」


「なっ――てことは、そこに全部映っている、と?」

「そういうことです。カメラはミタの部屋の他にも数か所に設置していましたし、音声も拾っています。ですので、十分な証拠になると思いますが」

「そう、ですか……わかりました。では、どうしましょうか?

 えっと、今は七時……四十二分ですね。わたしがそちらに伺いましょうか? 映像を見ながらだと、今後の話もしやすいかと」

「いえ……息子が今、ちょっと精神が不安定なもので。できれば電話で――えっと、てっちゃんは自宅にパソコンをお持ちですか?」

「えぇ、ありますが」

「できれば、メールか何かで動画データを送りたいんですが。さっき、カメラの映像データをわたしのパソコンにコピーしたので。

 画質はそんなに良くないんですが、その分、容量もあまり大きくなくて。

 その、証拠となる部分だけ切り取ればさらに容量も小さくなりますので、送ることはできると思うんです」

「そうですか。では、こちらからデータを受け取るメールを送りますね。そこに添付して返信もらいたいので、メールアドレスを教えていただけますか?」


「わかりました。全て半角で、『mitapapa-to-mitamanma-lovelove@……』です」

「――確認しますね。『mitapapa-to-mitamanma-lovelove@……』ですね? ……えっと……いや、何でもないです」

「では、メールが届いたらすぐに返信しますので。てっちゃんから電話をいただけますか?」

「はい、わかりました。それでは、また」

「はい、では一旦、失礼します」

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