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理想の学校生活を送りたい男子高校生の話  作者: 厨二びょ魚
第0章・入学と理想の学校生活
8/13

友達と成すこと

「うん、知ってた」


 もしかしたら二人きりで勉強!?とか思ってたけど、そんな事なかった。

 駅前には、見慣れた雄大と相生さんのコンビがいた。部活で来れないはずでは。

 残念だという気持ちがバレないよう、それとなく聞いてみる。


「あれ、部活はどうしたの?」

「ああ、陸上部は顧問の都合が悪くて無くなったよ」


 そういうことか、なるほど。学校での部活動は原則顧問立ち合い必須だ。



 電車に乗って二駅先の図書館まで移動する…が、


「うぅ…俺のことは置いて、先に行ってくれぇ…」

「大丈夫…?伊口くん…」


 俺は今電車に酔ってグロッキー。視界はクロッキー。もう死んでしまいそうだ。


「電車に酔う奴って…いるんだな…」

「流石に私もみたことないなぁ…」


 うるさいな、世の中にはいるだろうよそんな人くらい。そんなことでいちいち何k「ウッッ!」


「耐えろ陽介!駅の中でやってしまうのはまずい!ここだけは耐えろ!」


 …この後めちゃくちゃ多目的トイレにいた。




 図書館に着いた。ここは全国でも規模の大きい図書館で、学生専用の学習スペースまで設けてある。学校の図書館ではなくわざわざここに来たのはそういう理由があるのだろう。


「二階に勉強スペースがあるみたいだな」

「学生専用だなんて、太っ腹だよね」


 二階に上がって受付を済ませると、奥の方に案内された。個室にパソコンが二台置かれていて、何だかマンガ喫茶のような風貌をしている。


「おお…流石に凄いな」

「なんてったって日本最大級だもんね!」


 なんとも悲しいことだが、ここに滞在できる時間が今日は少ない。思う存分勉強しよう。しかし、今日のメインは勉強であって勉強ではない。そう、今日の目標は、『恭平に勝つ』ことであるのだから。


「でもさ、恭平に勝つってったってさ、何で、どうやって勝つのさ?」

「ふふん、それはね…」


 なんだか物凄くためている。きっと物凄くよい方法を提示してくれるのだろう。


「とにかく勉強をするの!」


「「「え?」」」


 嘘だろ。散々ためておいてこんなアホの子みたいな案だと?

 しかし、当の本人はガッツポーズで自信満々だ。ここは…


「「「賛成!」」」


 世界遺産のこの笑顔をまもるには、これしか方法がないのだ。

 でもまあ、冷静に考えると勉強をした程度で恭平に勝てるとは思えないが…まあ、最初から恭平と張り合うことこそが間違っていたのかもしれない。

 ここは純粋に勉強でもしようかな…みんなの知恵も借りることができるし。ここは桜花学園。全国から才能ある学生が集まる場所だ。きっと頼りになるだろう。



 ……

「いやさ…君たちどうやって高校入学したの…?」

「スポーツ」「詰め込み」「勘」


 左から順に雄大、相生さん、市原さんだ。こいつら最高に勉強できない。しかも市原さんに至っては「勘」。なぜ勘で高校受験をしようと思ったのか。落ちたら割と人生危ないぞ。


 この場は結局、俺が勉強を教える場と化してしまった。これは恭平には勝てないな…

 とりあえず、中学生どころか小学生の基本もできていない雄大には、「はじめてのさんすう」をやらせておく。こういう問題集を無償で借りることができるのも図書館の良いところだ。


「九九の七の段が覚えられないよ!助けてようえもーん!」

「ポケットがないから助けられないなぁ」

「ようえもーん!」


 小学二年生からやり直しかな、うん。


 相生・市原コンビは予習をしてもらう。あそこは二人で考えを深めあっていて、地頭が良いのか教えるまでもなくすらすらと理解してくれる。

 相生さんは詰め込みで入学したと言っていたが、これだけ地頭がよかったら納得の入学である。


「よし、俺もやるか…」


 みんなに教えることも無くなってしまったので、気合を入れて自分も勉強をする。しかし、たまに…


「なあなあ陽介、くりあがりで計算ミスが出るんだけどさ、なんかコツとかない?」


 こんな質問が入ったりするため、勉強の効率自体は悪かったが。


 …勉強をし続けること三時間。あたりはすっかり真っ暗で、少し歩いて帰るには心配な時刻になっていた。そのため、相生さんと雄大、市原さんと俺で帰ることになった。まあ、いつものペアだ。

 電車に乗って地元駅(俺にとっては違うが)に戻る。コンビニで酔い止めを飲んできたので、今回の電車は酔わなかった。


「じゃあな!今回は勉強になったよ!」

「私も、ありがとうね!」


 相生さんにはこちらこそと言えるが、雄大にはいうことができないので少し返答に困った。


「いや、楽しかったよ!ありがとう!」

「うん、勉強になってたしね〜」


 しかし、しっかり丁寧に返答をして別れを済ます。春休みの修行が生きたかな。

 そこからは真っ直ぐ帰り、夜だというのに何もイベントは起きず二人で帰った。


 家に着くと、時計の針は九時近くを示していた。みんなをご飯にも誘えない時間帯だったため、食事も食べていない。

 さっさと食事をとって、早めに寝ることにした。

 …



 …

 今日の朝は寝覚めが良い。昨日良いことがあったからだろうか。

 いつも通りに朝食を取り、身支度を整えて学校へ行く。


 教室へ行くと、市原さんが笑顔で、


「渡井君と張り合えるといいね!」


 と言ってくれた。しかしながら、まああの勉強の仕方で張り合えるとは思っていない。思っていない。

 思っていなかったのだが…数学の時間。


「え!もうプリント終わったのかい?陽介くん」

「いや、たまたま得意なところで…」


 前回予習をして教え合ったところがちょうど授業中の課題として出た。その課題を、なんと恭平より早く、少しだけ早く解けたのだ。

 もともと恭平が少し苦手で、しかも俺の得意な数学だったからこそなのかもしれないが、勉強の効果を実感せざるを得ない成果だった。

 勉強の効率やらなんやらいって、一人でやる勉強の方が価値があると思っていたが、実際はそうじゃないのかもしれない。みんなで知恵を出しあったり、教えたりすることも良いのかもしれない。友達の大切さについて、何か学んだことがあったと思う。

 後で、みんなにお礼を言っておこう。


 明日も、良いことがありますように。

ゴリ押しの呼吸使って展開しました。

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