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プロローグ・春という季節
春風と呼ぶには少し強めの風が吹き、桜の花びらを散らす季節、春。
出会いと別れ、心に秘めたワクワクと、溢れ出る悲しみが交錯するなんとも不思議な季節ではあるが、別れの時期が過ぎたこの頃には真新しい制服に身を包んだ、笑顔の学生が多く見られる。
学生たちの顔こそは笑顔であるものの、実際にはうちに秘めた思いというものがあるものだ。
例えば、「新しいクラスで馴染めるか」とか、「部活、何にしよう?」とか、もしかしたら、「彼氏、彼女を絶対に作る!」と考えている学生もいるかもしれない。
思いそれぞれの言葉をとってみると違うものであるが、大まかにいってしまえばある一つの大きな目的というものが共通してある。それは…
理想の学校生活を送りたい、という目的である。
この物語は、例に漏れずそんな希望を持っていて、ちょっぴり天然で、少し理想の高い男子高校生、伊口陽介の日常を描いた物語である。
前作の更新が行き詰まった時、息抜きで書いたら筆が乗った作品です。
今回は必ず完結まで導いて見せます。よろしくお願いします。