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聖女ゴブリン 今日も嘆く  作者: 海光蛸八
幕間~田中真理矢がいない1日~
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お墓参り

 私は菊さんのお墓に手を合わせた。


 あたりの木々にはセミがとまり、せわしなく鳴き声をあたりに振り撒いている。目がしっかり開けられないほどの日差しが降り注ぎ、じっとりと空気が肌にまとわりつく。初めて菊さんと出会った時も、こんな時期だったな。


 ゴブリンになってからてんやわんやで、今日まで一度もお墓参りに来れなかった。ちょうどお盆だからということで、お姉ちゃんと一緒に里帰り。まあ、お姉ちゃんが忙しいから日帰りなんだけど。


 お墓を綺麗に掃除して、綺麗なお花をたくさん供えて、菊さんが大好きだったフルーツミックスの缶詰をお供えする。一緒に缶にスプーンを突っ込んで食べて、お姉ちゃんに行儀が悪いと一緒に怒られたっけ。


 私は目を閉じ、今日までにあったことを菊さんに報告した。


 菊さんみたいになりたくて、聖女を目指して頑張ったのにゴブリンになっちゃった。今は人間の姿だけど、お腹の力を抜くとゴブリンになっちゃうの、ほんとだよ。

 菊さんならその私を見てなんて言うかな。変な姿? それともかわいいって言ってくれるかな。でも、優しく笑いかけてくれるってことは分かるよ。私は菊さんみたいな笑顔を誰かに向けられる人になるから、見ててね。


「真理矢が来てくれて、義母さんも喜んでいるよ」

「私も久しぶりに会えてよかった」

「家にも寄って行くかい? 一応管理だけはお願いしてあるから泊まれるとは思う」

「ううん、今日はもう帰るね。ずっとお腹に力を入れてるのもしんどいし……」


 でも、少し安定してきたのかなんなのか、前ほど思い切り力込めなくても人間の姿を保っていられるようになった。油断するとすぐに戻ってしまうけど、前みたいに息切れするほど力を入れなくてもよくなったのは嬉しい。だから、今日は菊さんのお墓参りもできた。


「それに、なんだかゆっくりしてられなくて。早く戻って少しでもいい事をしなくちゃって思って……焦ってるわけじゃないよ? ただ、早くお姉ちゃんや皆みたいに、誰かを助けられるようなりたいって気持ちが強くて」


 私はそう言って笑った。

 少しは、菊さんの笑顔に近づけたかな。


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