表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ゴブリン 今日も嘆く  作者: 海光蛸八
魔屍画~四凶と八仙花~ 編
177/208

赤錆の扉

 立ち並ぶ廃墟の間を、紫陽たちは駆けていた。


 彼女たちの顔は皆、一様に険しい。行く先で相手にするのは、自分たちと同格の悪魔憑き。それらが蠢きひしめく死地へと向かっている。これから始まる死闘の予感に、皆声も発さず廃墟から廃墟へと飛び、足を進める。

 彼女たちの張り詰めた空気とは裏腹に、空は雲一つない青空であった。だが、そのすがすがしい青色に気を向ける者はいなかった。進めば進むほど、全身が重たくなるような空気に、空の事など気にしている余裕はない。


「……ついた」


 先頭を走っていた紫陽は路地裏で足を止め、雑居ビルの前に立った。彼女の前方には赤錆だらけ鉄の扉があった。血のような錆び覆われた扉の先に、敵の本拠地がある。仲間たちは彼女の周りに集まるようにして、その扉を見た。


「ずいぶんすんなり着いたな」

「妙だね、一度か二度の小競り合いくらいは覚悟していたけれど」

「あはは~☆ もしかして罠~?」


 紫陽は仲間の言葉に答えずに、前方の鉄扉をその爪で切り裂いた。その向こう側には暗闇があった。快晴の陽の光が手前の部分を照らし、地下へと続く階段があることは分かった。切り裂かれた扉の一部が落ちていく音が、少しづつ小さくなり、やがて聞こえなくなった。


「……罠でもなんでも、行かなきゃ助けられない」

「まあ、そりゃ確かに」

「だが何の作戦もなしに飛び込むのはいけないだろう」

「あはは~☆ まずこの中ってどうなってるの~?」

「……覚えてる限り、説明する」


 ここは裏口であり、捕らえられた悪魔憑きが搬入される通路。故に長い階段の後に無機質な廊下が続いており、悪魔憑きたちを閉じ込めておく牢屋に到着する。そこからは道は二つに分かれ、闘技場とVIP席につながっている、という構造だと紫陽は説明した。


「……たぶん、VIP席に真理矢はいると思う」

「ならば目指すべきはVIP席だね」

「ま、そこは臨機応変にいこうぜ」

「その言葉意味わかって使ってるか?」

「あ? 当たり前だろが。状況に応じて見つけたやつらを片っ端から倒せばいんだろ?」

「もうお前はそれでいい。紫陽は先に立って案内してくるかな」

「……わかった」

「あはは~☆ それじゃあれっつご~☆」


 四人は、光の届かない暗闇の中へと足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 潜入ではなく奇襲のち強襲! しかもうら若い少女! そこだけ切り抜くと これなんてスマホゲーですか!? となりますがw 聖女がゴブリンなのに この子たちがヤバくない そんなことがあるはずも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ