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聖女ゴブリン 今日も嘆く  作者: 海光蛸八
魔屍画~四凶と八仙花~ 編
161/208

最後の

「……あはは~☆ 親友って~?」


 きらりさんが尋ねると、花牙爪さんは爪の力を抜いた。


「……あそこ(・・・)でただひとり、私を助けてくれた子……ねえ、きらり」


 花牙爪さんが顔向けると、きらりさんは「ん?」と首を傾げた。


「……前に話したよね、私もいっぱい殺したって」

「あはは~……うん、言ってたね~☆」

「……さっきも言ったけど、あいつは悪魔憑きをつくってる。その方法がそれ……あそこで悪魔憑き同士に殺し合いをさせて、強い悪魔憑きを作る、それがあいつのやり方……」

「こ、殺し合い……?」


 思わず漏れた私の言葉に、花牙爪さんは頷いた。


「……勝った方は相手の魔素を吸ってさらに強くなる。それを何度も、何度も繰り返して強い悪魔憑きを作る……私もそうやってできた一人……」


 千晴さんもルディさんもきらりさんも悪魔憑きだ。

 私の血を飲み、皆その姿を悪魔に変えるのは何度もみてきた。

 だけどその中で特に異形の姿へ変貌する花牙爪さん。


 彼女が恐ろしい姿に変わるのは、そんな方法で作られたからなのか。

 狂った方法で、作られた、生み出されてしまった怪物。

 それが花牙爪さんなのか。


 そんなの、あんまりだ。


「……それを変えようとしていたのが、私の親友。悪魔憑きでも安心して暮らせる場所をって……それなのに、あの子を殺して、悪魔憑きを作り続けたのが……」

禹夏(うか)って野郎なんだな?」


 千晴さんが静かに言うと、花牙爪さんはまた頷いた。


「……禹夏は強い悪魔憑きを四体、組織したかった。その中の一人が私……でも私はあいつから逃れた、だから代わりを作った……そしてたぶん、始まった……」


 お姉ちゃんが「始まった?」と花牙爪さんの言葉を繰り返す。


「……悪魔憑きが支配する世界、禹夏はそう言ってた」

「それは中々壮大な計画だな」


 ハカセの言葉こそからかうようなものだったけれど、声色は真剣だった。


「お前さんレベルのが何体もいるんだろう?」

「……四人はいると思う。そのほかの悪魔憑きもたぶんたくさん」

「そうなれば、絵空事と切り捨てるわけにもいかないか……」

「ところで、おめえが今でもそいつと繋がりが無ぇって証拠は――」


 牛窪が言い終わる前に、機械音が鳴り響いた。

 お姉ちゃんが腕の端末を操作し、通信を受けた。

 数回のやり取りの後、お姉ちゃんは息を吐いてこちらをみた。


「件の悪魔憑きの場所が特定できたらしい」

「ずいぶんいいタイミングじゃないか」

「それがどうにも怪しい、今まで上手く追えなかった筈だが……」

「……きっと、待ち構えてる」


 花牙爪さんに皆の視線が集まる。


「……聖歌隊、私たち、どっちも潰す気でいる」

「それで支配権を得ようとしているのかい?」

「まとめてかかって来いってか? 舐められたもんだ」

「いや、そうとも言えん」


 千晴さんの言葉に、お姉ちゃんがはっきりと返す。


「なんだボス? こいつらと俺らが協力すりゃ怖いもんねえだろ?」

「ただの悪魔憑きの拠点に攻め入るならば、な」

「お姉ちゃんどういうこと?」


「その悪魔憑きの居場所は――最後の魔屍画だ」


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