表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ゴブリン 今日も嘆く  作者: 海光蛸八
魔屍画~四凶と八仙花~ 編
156/208

長爪の悪魔

 長く伸びた爪が、赤い血に染まっている。

 

 鮮血に濡れたそれは、人や獣からも外れた巨大なものだった。

 その爪の持ち主は、朱色の爪を素早く振るった。

 血液は爪から離れ、壁や床を飛沫となって赤く張り付いた。


 爪の持ち主は虚ろな目で足元の死体を見下ろした。


 地面に転がる死体は聖歌隊のようだ。

 最新鋭の装備が無残に切り裂かれ、自らの血で染まっている。

 4、5人の肉片が、小さな廃墟の一室に散らばっている。


 その中心に、爪の悪魔が佇んでいた。


 身長は2メートルほどだろうか。

 長い頭髪や中華風の衣服にも血がこびり付いている。

 血まみれのまま無感情に死体を見下ろし、ただそこに立っていた。


「上出来じゃない」


 部屋の入口から、声が聞こえた。

 扉が壊れ、枠だけになってしまったそこに、誰かが立っていた。

 光の加減でその声の主の顔は見えなかったが、女のようだ。

 

「これなら次に進んでもいいかもね」

「……つぎ」


 爪の悪魔は虚ろな視線を持ち上げ、声の主に向けた。

 その声は、体躯に似合わないほど幼い声だった。


「次が最後、貴女が本物であると証明して」

「……証明」

「そう、貴女が本物の――」


「――『バーシェン』だって、ね……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ