第二話 「ロリコン魔王、ロリコン道を語る」
マッシュの『魔王様超カッケー!!』というキラキラキラン☆とした目にドヤ顔を返して、
俺は会議室がある方向へと向かった。
会議室は教室棟の二階にあるので、言ってしまえばこの真下にある。
幹部は教師としての役割もあるため、必然、職員室と会議室は同じ場所となるのだ。
会議室へ向かう途中、廊下で隣を歩くマッシュの手を握ってあげる。
マッシュは「はわわわわわわっ!」と言って顔を真っ赤にさせる。かわいい。
見ると、水色の頭から湯気のようなものと一緒に、
ジェリーのようなものが空中に出たり、頭の中に入ったりしている。
彼女は今となってはロリ美少女然としているが、
根底にスライム族としての特性も、持ち合わせている。
それは髪色が水色であることや、ジェリーが見え隠れするという身体的な特徴もあるが、
特性として『再生』と『溶解』も所持しているのだ。
種族的にそもそもの魔力や身体能力が低いためスライム族は弱いとみなされていたが、
彼女は今や、魔王城の中でも筆頭戦力と言っても、申し分ない段階にあるのだ。
そしてそんな現状にあっても、彼女は勉強を欠かさないし、
側近として俺の身の回りの世話までしてくれる。
……これこそが本物の天使というものだろう。
天界を滅ぼしてマッシュを天使として君臨させた方が論理的に正しいのではないだろうか。
うん……それがいい。戦うのは嫌いだが、世界に間違いを残すことはいかん。滅ぼそう。
「ふむ。マッシュは偉いな。
今夜はマッシュと遊んでやることとしよう」
「ほ、本当でございますですか!! じゃあその……アレをしても……?」
「ああ、アレか。もちろん。今日は寝かさないぞ♡」
マッシュはきゃぴきゃぴと飛び跳ねて喜んでいる。
俺は今夜に期待を膨らませて歩を進めた。
……ああ、もちろんいかがわしいことじゃないぞ。
俺は紳士だからな。幼女に手は出さないんだ。
アレというのは「おままごと」のことで、
俺が夫、マッシュが妻の役割を持つ、マッシュお気に入りの最近の遊びだ。
え……? なんかもう色々危ないって?
危ないのは変態的なことを考えるその脳みそだぞ!
この変態! ロリコンめ!!
そう、真のロリコンたるもの、幼女に手を出してはならんのだ。
想像するのは良いが、礼節をわきまえたロリコン道を歩まなくてはな!!
と、俺はここに居ない誰かに注意喚起をしておいた。
だが、俺はまだ知らなかったのだ。
あと数歩先で、俺の運命を左右する出会いが、
俺を待ち構えているだなんてことを。