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⑻『小説の語法について』

⑻『小説の語法について』



小説を執筆する季節によって、内容も異なってくる。勿論、季節を超越した小説もあるが、風景描写など、その時々の風景が、描かれていることが多い。こういう場面設定は、意識はしていなくても、所謂構造の問題になるし、その構造の中で、どの様に文章を操るか、という点に尽きていく。



裏を返せば、構造の語法は、まさに、構造の本質に収斂されていくし、構造ではなく姿勢の場合は、文章を執筆する中で、逆説的に、文章が構造の体系を持って現出するのである。この、小説の語法についての、諸段階でも述べた、姿勢か構造か、という問題は、執筆上看過できない問題だ。



そうは言っても、小説家は常にその姿勢と構造を意識している訳ではない。文章の中で、どちらかに類型されるのであり、内包されている、語法の数々が、どの様な道を歩むかは、云わば、語法の本質次第なのである。小説家は、この様に、時折、流れを待って、執筆に取掛かるのである。

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