君が伸ばす手の先に、
生きるのが辛くて僕は暗い海の中に逃げ込んだ
ただ広くて暗いこの水の中をずっと一人で泳いでいると思っていた
今日も明日も何も変わらない日々で何も起きない
暗くて冷たい水の中泳いで泳いで
いつもと変わらない景色に嫌気がして
この息苦しさが心地いいんだと思い込んでいた
大勢で泳ぐ魚たちの中にも孤独はあって
自分だけが暗くて寂しいとばかり思っていた自分が
ここに逃げ込んで酸素を奪っていたのは自分だったことに
気付いていたのに変われなかった俺が
遠くから名前を何度も呼んで、こっちへおいでと呼ぶ声を
聞かないふりをして聞こえないふりをして
君の手を掴むのが怖かった
こんなにも綺麗で冷たくて
目を向ければきっとそこにあったはずの当たり前の景色が
水の中の暗闇を照らす光のようなベールを纏いながら広がった
同じものだったはずのその景色が色鮮やかで綺麗で
ここは美しすぎて息が出来ないよ、
突然呼吸の仕方を思い出したように
水上に待つ君のもとへ急いだ
君は相変わらず俺の名前を呼んでこっちだよここだよ
俺がやっと伸ばした手をずっと待っていて引き上げてくれた
待たせてごめんね、もう大丈夫
貴方は俺の世界の色さえ全て変えてしまった
暗闇さえも水中さえも貴方が居れば何も怖くないよ