過去
ザーザー
「うわっ!凄い雨だね!連斗!…?」
……かぐやが龍を好き…?
さっきのかぐやの言葉が胸にグサッと刺さって苦しかった。
「ねぇ、連斗!雨宿りしよ!」
「あ、ごめん、」
そう言って僕達は走り出した。
**********
「ねぇ、連斗、どうしたの?」
「ん?何でもないよ。」
無理やりの笑顔をかぐやに向ける。
「………。」
…あぁカッコ悪いな。僕。
かぐやが龍を好きだったら応援すれば良いだけじゃん。
なのに…どうしてこんなに。
気づくとかぐやの視線を感じた。
「どうした、かぐ……!!」
見るとひどく感傷的になって泣き出しそうな顔をしていた。
「連斗大丈夫じゃないでしょ?何で……。
って私に言う権利ないか。」
目を細め切ない表情で遠くを見つめるかぐや。
「連斗…。連斗は…信じてくれる?
私のこと…。」
「うん。信じる。」
何の証拠も覚悟も無いまま口から出た軽い言葉。
「じゃあ、一緒に来て、」
スタスタと雨の中を進んでいく。
……信じてくれる?
さっきのかぐやの言葉が何故か何回も何回も頭の中でリピートされていた。
僕は、かぐやを信じられる……?
*********
東京駅に着くとかぐやが足を止めた。
「ここは、」
「うん、昨日連斗と初めて会ったところ。」
そしてニコッと笑う。
「もうそろそろだ。」
それは一瞬の出来事だった。
ブワッ!!
突然、強い風が吹いた。
―ガタンゴトンガタンゴトン―
遠くから聞こえるのは列車が走ってくる音。
「え?どこ?」
目を開けて、目の前に広がる光景に目を疑った。
「名前は知らない。ここは月と東京を繋ぐ駅。」
……え?
さすがにすぐには信じられない。
「信じられないよね。」
「いや、ち、違っ」
違くなんか無かった、かぐやの言う通りだった。
「良いんだ、でも連斗に隠し事したく無かっただけだから、」
まだ、状況が掴めない。
ただただ、目の前に広がる光景に驚いていた。
宝石みたいに煌めいている星空が360度広がっていて、
見上げると空高くにあり白く輝いている月。
その月の光が何とも幻想的にこの駅を照らしていた。
「私の話、聞いてくれる?」
「うん。」
かぐやはフウッと息をはき話始めた。
「私は月で産まれそして月で育った。私の家は王家で私はそこの次女だった。
優しい母、優しい父、優しい姉。大好きな大好きな家族だった。でも……」
――かぐや18歳――
「かぐや様!かぐや様!」
慌てて走ってくる兵士。
「どうしたの?そんなに慌てて?」
「どうしたもこうしたも今日はさあや様の即位式ですよ!」
ヤバい、忘れてた。
「待って!すぐ準備する!」
今度は私が慌てて走って行った。
即位式が始まった。
……うわぁ!お姉ちゃん綺麗。
美しい着物に身を包んだ姉は誰が見ても綺麗でみんなみとれていた
そんな時だった。
「かぐら!!」
ドアを開けて突如男が入って来たのは。
…あれは、誰?
すると
「かぐや様避難して下さい。」
兵士にそう言われ私は素直に部屋に戻った。
戻っている途中、母の悲しい悲しい叫び声が聞こえた。
……どうしたんだろう、大丈夫かな?
少し見に行こう。
そして方向を180度変え走った。
チラッと広間を見ると
泣き崩れた母と今までに見たことないほど怒りに満ちた顔をした父。
そして、俯いている姉。隣にはさっきの男がいた。
「お父さん、お母さん。今まで育ててくれて有り難うございました。」
細い糸のような声でそう姉は言った。
「もういい。好きにしろ。」
低い低い声で父が言った。
母は行かないでと泣いている。
…。お姉ちゃん、居なくなっちゃうの?
すると視界がグラリと揺れ私の視界は闇に包まれた。
「……―ゃ。」
ん?誰かが私を呼んでる?
「……かぐや。」
目を開けると、
「お姉ちゃん!」
そこにいたのは大好きな大好きな姉だった。
私はそう言って抱きついた。
「うわっ!びっくりしたー、かぐやは面白いね。」
いつもと変わらないお姉ちゃんだ。
……じゃああれは、夢かな?
そんな思いはすぐに打ち砕かれた。
「かぐや。」
いきなり真剣な顔になる姉。
「なぁ…」
「私が居なくなっても、頑張るのよ。お父さんとお母さんと…国をよろしく。」
私が答えるより早くそう言った。
酷く悲しい顔をして。
「い…嫌だ。嫌だ!」
気づけばそう叫んでいた。
いつもいつも優しかった姉。
秘密でいろんなお店に連れていってくれたり、服を買ってくれたり。
私のために沢山我慢をしてくれた。
……私何もしてあげられてない。
「お姉ちゃん、私はお姉ちゃんに何も恩返ししてない。
それにお姉ちゃんみたいに完璧じゃない。信頼もない。
私何かじゃ…」
「かぐや。」
いつもの優しい声とは違う力強い声。
「かぐやは私の自慢の妹なの。私何かなんて言わないで。
私はもう少しで月原家じゃなくなる、
でも……っでも!
私はずっとかぐやのお姉ちゃんだからね。それだけは覚えておいて、
――大好き――ずっと。」
私の頬には温かいものが流れていた。
「お姉ちゃん、
頑張って。幸せになってね!…ズッ、グス」
お姉ちゃんもそれを流していた。
「うん。
私みたいにならないでね?」
優しく優しく抱き締めてくれた。
「「バイバイ」」
―――2年後―――
「だから!これからは自然を大切にしていくの!」
「違う!技術を高め発展していくんだ。」
「はぁ、もう疲れた。寝る。」
……お姉ちゃんがいたらこんなになってなかったかな?
私は20歳になり即位式を行いこの国の女王になった。
父とは考え方の違いから毎晩毎晩言い合いをしていた。
そんなある日だった。
「お前はこれから地球で暮らせ。」
………え?
「な、なん…」
「何でかって?
…お前は必要とされてない。」
「そんなの…どうしてよ!」
ピラ
父が出したのはある紙だった。
『今の国の現状についての国民の声』
そこに書かれていたのは、
………私のやり方を、私を批判する国民の声だった。
「そうゆうことだ。あと1時間で出ていけ。」
………――――
「本当にもう誰も信じられなくなった。でもね……連斗ならね信じられたんだ。
何でだろね?」
そう言ってかぐやは微笑んだ。
ドキッ
「好きなんじゃない?俺のこと。」
もちろん冗談だ。
「何て、アハハ……!?」
見るとかぐやの顔が真っ赤だった。
…なぜだろう?
とてもかぐやが愛しい。
それに今僕、俺って……。
頭より体が先に動いていた。
かぐやの腕をつかみ優しく優しく抱き寄せた。
「ムーンライトステーション。」
「え?」
「この駅の名前。」
「月の光の駅…。うん、好き。この名前。」
「あとね…。」
「何?」
「もう…かぐやは1人じゃないよ。
…俺が、ずっとずっと傍に居るから。」
俺がそう言うと赤く顔を染め、真っ直ぐな瞳で俺を見て、
「ありがとう。」
そう儚く言った。
そして2人で笑いあった。
その時空には無数の流れ星が雨のように流れ降りだした…――――




