気持ち
気がつくと、東京の街かな?街に立っていた。あれ、さっきまで…
それよりも、蒸し暑く息苦しい。でも、空は綺麗だ。夜空に目を奪われていると…
「君は、誰?」
振り返ると優しそうな青年がいた。
そうだ、この人なら!!
考えていて表情が困っているように見えたのか、すみませんと言って去ろうとしたところを
キュ。
裾を掴んで止めた。
どうして裾を掴んで止めたのか自分でも分からなかった。
そして、お願いをした。
すると人気のないところに連れていかれ、
「どうして?」
と、聞かれた。
私の事情を聞いて、信じてくれるだろうか?
確かめるのが怖かった。
自分のことを言って否定されるのが、一番恐れていることだった。
だから、
「い…言えません。」
そう言うしかなかった。
彼は困ったような顔をした。
……あぁ、もうダメだ…。
「いいよ。」
返ってきた言葉に耳を疑った。
でも、条件が少し辛かった。
――私のことを教えること――
でも、ここで条件を飲み込まなかったら………
「はい。」
私はそう答えた。
*********
「私ね……月からきた…」
ヒュー、ドォンッ!
私の声は花火の音に掻き消された。
…せっかく、勇気出したのに…。
そんな沈んだ気持ちも花火を見たらすぐに消えた。
……綺麗。
声に出さなかったけど、そう思った。今日、初めて花火を知って初めて見た。
しばらくすると…
「終わっちゃった…。」
思わず口から出た。
「私ね…帰る場所が…ないの。」
ヒュー、ドォンッ!
…まだ、終わってなかった。
私が見つめる先にあったのは、夜空に輝く……
――月――
「僕もだよ。」
「え?」
笑顔で流す彼。
……何で笑っていられるの?
私は見た。
彼の瞳を。
明るい輝きの奥の奥の一番奥にある
"哀しみ"を。
……自分でも知らないうちに無理…してる。
「ありがとう。」
……え?
今、私…
笑った?
初めて、自然に笑った。
何でかな?
何にも知らない人なのに、何で笑えたんだろう。
彼の顔を見ると心の奥でキュンとなった。
そして、彼の顔を直視出来なくなった。
……綺麗な顔。かっこいい。黒髪で前髪は目にかかるくらいで、背も高いし、スタイルもいい。
あ、そっか。
簡単なことだ。
私は彼が…
――好き――
なんだ…。
それは、多分、初めて会った時から…。




