止められない想い
―――……。
「解放って何なの?」
昨日姉から出た言葉。
それに…。私を?
考えれば考えるほど分からなくなる。
でも、そんなことよりも今日はまた会う日だ。
ちゃんと自分の気持ち言わなくちゃ、
**********
「おはよ。」
「おはよう。」
昨日と変わらぬ爽やかな笑顔。
「じゃあ、始めるか。」
父の言葉で始まった。
「僕は、かぐやさんと結婚したいと心から思っています。」
誠実さ溢れる言い方で翔がそう言った。
その態度が気に入ったようで父はニコニコしていた。
「じゃあ、決まりだな、明日挙式を…」
は?
どんだけ自分勝手なのよ、
「ちょっと待ってよ。私は…」
空気がガラリと変わりピリピリした雰囲気になった。
「何かあるのか、かぐや?」
「いやいや、私の意見聞くの位普通でしょ?
私は、まだ迷ってる。」
翔をみると悲しそうに、でもこうなるのが分かっていたかのように微笑んでいた。
その笑顔が更に私の心を締め付けた。
「何が不満なんだ?」
「確かに翔はいい人だよ。私には勿体ないくらい。」
そんな、と翔が呟く。
私は俯きながら話続ける。
「でも、ザワザワするの。このまま結婚して良いのか分からないの。
何か、大切なものを……忘れてるみたいで。」
顔を上げると父が泣いていた。
「え?」
「もう、良いのか。
良いか?翔君。」
何がなんだか分からなく言葉を出せない。
するとさっきの微笑みのまま
「はい、それがかぐやさんの幸せです。
……かぐや、ごめんな。」
カチッ
スイッチが押されたような音がした瞬間、
ある人との、大切な、大切な思い出が頭の中に流れた。
この人を私は、知ってる。
「連…斗。」
思い出した。
ちょっとの勇気が出せなくて、喧嘩したまま別れた人だ…。
真っ暗な空にさく花の記憶。
これだ!これが花火だ。
そうだ、どうして忘れてたんだろう、
――会いに行かなきゃ、
その想いが私を支配した。
すぐにバックを掴んでドアを開けようとした時、
「待って、かぐや。俺の話、聞いてから行って。」
焦ったように翔が私を引き留めた。
「ごめん、ずっと隠してた。
かぐやの地球での記憶、このスイッチがあるんだけどこれを押すと記憶が戻る仕組みになる。」
「私と結婚したいなら何故?」
「わざと聞いたんだ、花火のこと。
ザワザワしたって聞いて、普通なら何も感じないのに。
それってその位忘れられない位大切なことって意味でしょ?
彼が大切ってことでしょ?俺はやっぱり、かぐやの笑顔が好きだから。
笑ってて?」
「っ!…ありがと、」
「小さい時から、すっごく好きだった。」
あぁ、翔はあの時の。
「翔、ずっと"友達"だよ」
翔の心からの笑顔を今、久し振りに見た。
「お父さん、ゴメンね。」
そう言って勢いよく家を出た。
……連斗、待ってて。
――今すぐ会いに行くから、
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やっぱり、かぐやは帰って来ないよな。
5年もたったのに、なんて未練がましいんだろう、
かぐやはもう忘れてるのに…。
社会人になって僕は大手企業の社員になった。
そういえば、今日は花火大会だっけ?
――行こうかな。
時刻は午後6時。
僕は、走った―――……。
「もう、少し」
6時59分。
カチカチカチカチカチカチ…
7時00分
……無駄か。
次の瞬間だった。
ブワッ
・・・
またあの風が吹いた―――……。




