叶わない
side翔―――
かぐやと出会ったのは8歳の頃だった。
俺は捨て子ででも優しい優しい今の両親が拾ってくれた。
でもそのせいでいじめられていた。
《お前捨てられたんだろ?かわいそー》
こんなのを毎日言われていたが気にも止めていない振りをした。
本当は悲しかった。
悔しかった。
そんな毎日を送っていたある日、転校生がきた。
名前は、月原かぐや。
あの王家の娘。
――かぐや姫だった。
俺は一瞬で心を奪われた。
でもあの言葉が頭の中を支配した。
《お前捨てられたんだろ?かわいそー》
そうだ。人間なんてみんな同じだよ。
最早心は何事にも冷めていた。
ほら、今日も
「お前捨てられたんだろ?かわ」
「ちょっと!!」
え?
「何してんの?」
するといじめっこ達ははニヤッと笑い
「こいつ捨てられたんだって!かわいそうだろ~?」
と言った。
その話を無表情で聞いていたかぐやはいきなり、
「せんせー!この子達がいじめてる!!」
と、叫んだ。
ヤベッといじめっ子は逃げていった。
のは良かったが問題は次の日だった。
教室で遊んでいる時、ふと隅っこを見るとかぐやが昨日のいじめっ子達に何か言われていた。
近づいてみると、
「お前、お姫様だからってえらそーにすんなよ!」
と言われていた。
「えらそーになんかしてない…」
かぐやは弱々しく返した。
「お前嫌い!ウザイ」
そう言っていじめっ子が手を振り上げた時、
体が勝手に動いた、
パシッ
乾いた音が教室に響いた。
「なっ…」
いじめっ子は目を見開き驚いている。
「かぐやちゃん、いじめるなよ!!」
僕はそう叫んだ。
するとタイミングよく先生が来たため僕は保健室に連れて行かれた。
******
―――放課後
トコトコトコ
とかぐやがやってきた。
「さっき、ありがと。」
「ううん、いいよ。」
「じゃあ、友達になろ?」
友達?
「でも…僕、捨て子だし…」
…………。
「え?だから?」
「え?」
しばらく、お互いにキョトンとした。
「アハハハッ!面白いね!
でもさ、捨て子なんて関係ないと思うよ。私が友達になりたいんだもん!!
ね?友達になろ?」
「うん」
すると、パァと花が咲いたような笑顔になった。
僕はまた、心を奪われた。
かぐやの可愛らしいところも気の強いところも、弱い部分も。
すべてが好きになった。
だが、2ヵ月後に引っ越してしまった。
それから12年後、20歳になった時。お見合いの話をもらった。
会いにいったが……、タイミング悪くかぐやは地球に行った。
帰って来ればまた仲良くなれる、
きっと忘れてないだろう。と、
でもそんな想いは直ぐに打ち砕かれた。
地球の様子を見たとき、同い年位の男と仲良く暮らしていた。
それにかぐやは彼に恋をしていた。
頭を金づちで叩かれたようなショックだった。
だから地球での記憶がなくなって帰ってくることには凄く嬉しかった。
…最低だな、俺。
好きな人より自分の幸せを優先しようとするんだから。
でもここまでしたならかぐやとくっつこうと思った。
そして、久し振りに会った君は……、
僕のことを忘れていた。
あえて言わなかった。言ったらかぐやはずっと頭を下げていると思う。
人の気持ちが分かる人だから。
と、同時にかぐやのあまりの美しさに息を飲んだ。
そして今日のデートが終わった。
俺はあることに確信を持っていた。
ガチャッ
「王様…、」
表情は険しい。恐らく王様も迷っていると思う。
「明日、よろしくな。判断は…任せたぞ。」
「はい。」
かぐやの幸せは何だろう。
俺は月が輝く夜、一晩中考えていた。




