時間
「まだ…帰りたくないよ…。」
そう言って泣き始める君が目の前にいる。
僕は、何も出来ない。
「バイバイ」
辛そうに微笑みながら君はそう言う。
「かぐや…」
彼女に手を伸ばした、
刹那、
ホロリホロリと花弁が舞い散るように、彼女は消えてゆく。
「連斗、」
「っか、かぐや!!」
精一杯名前を読んでも、
精一杯手を伸ばしても、
君はもう…いない。
―――――………
「夢?」
気持ち悪いと思ったら前髪がおでこにはりつくほど汗をかいていた。
それにしても、嫌な夢みたな…。
コンコンコン
ドアを叩く音。
居なくなるはずないよ…。
「連斗ー!
今日だよ今日!花火大会!!」
「そうだね。」
かぐやはここ1週間こんな感じ。
「準備してくるから現地集合しよ。東京駅に6時!いってきます」
まだ何も知らないような無邪気な笑顔でかぐやは出ていった。
気付けば時間は午後3時。
…こんなに寝てたのか。
僕も支度しよ。
「かぐや、好きだよ。」
ポツリと心から出た言葉は夏の暑さに溶けていった。
sideかぐや
「あと1週間だ。」
「い、1週間…」
突然の言葉に声を失う、私。
カレンダーに目をやれば…
花火大会が…最後…?
"どうしよう、時間がない…"
ずっとそう思っているうちに、時間は過ぎて今日になった。
でも、今日は連斗のためにやることがある。
「だって、最後だもんね…。」
不思議と涙は出なかった。
その代わり、心が焼けるような痛みがずっとまとわりついていた。




