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ワイズサーガ  作者: 槙弘樹
第一部「恋しかるべき、君」
8/64

ベルセルク


  007


 だから――

 その言葉を最後に、カズマが崩れ落ちるのを感じた。

 それきり、身じろぎする気配すらなくなる。

 まさか、という思いがヨウコの心臓を収縮させた。

「Fox 1《フォックスワン》」

 出し抜けに男が囁いた。見ると――いつの間に、どのようにして取り出したのか、右手に得物らしき物を構えている。

 全長は一メートルから一・五メートルの間といったところか。角度のせいで精度を著しく欠く目測しかできない。

 ただ、ちらと盗み見た限り、握りのすぐ上につかのような物が嵌め込まれているのは分かった。そこからふしくれだった棒状の本体が伸びているのも見えた。

 構成要素だけ並べれば剣のようでもあるが、刀身に相当する部分に鋭利さはない。むしろ、無数に存在する関節部分の稼働により全体にしなりを持たせているように見えた。斬撃用というよりは打突だとつ用。えて近しい物を探すなら制服警官が持つ警棒あたりになるか。

 無骨な円錐えんすいを幾つも数珠じゅずつなぎにしたようなそのシルエットは、どこか脊椎せきつい動物の背骨をイメージさせた。太さと長さから言えば、人間を超える超大型の霊長類。ゴリラ、もしくはオランウータンのそれにグリップと柄を付けて作った骨の剣といったところだ。

 一見して武器と分かるそれによって、何が行われようとしているのか――。

 ヨウコが理解しきる前に、男は獲物を握る右手を一閃させた。

 刹那、鞭を操るような鋭い風切り音が鳴った。

 背骨の剣は、三節混さんせつこんがそれぞれ鎖の分だけ伸びるようにダイナミックな伸縮を見せ、乗騎じょうきの鼻先を迂回うかいし、反対側の側面にまで到達した。

 そうして正確に――踏み潰されたカズマの右腕を打ち据える。

 先端が音の壁を超えでもしたのか。それとも単に、地面を叩く音であっただけなのかもしれない。いずれにせよ、鼓膜に突き刺さるような破裂音が炸裂して、空気をビリビリとふるわせた。直撃を受けたカズマは大きなダメージを受けたのだろう。うめき声さえらさないが、その身体が痙攣けいれんするようにビクリと軽く跳ねる。

 男のこの蛮行ばんこうは、もはや身動きひとつできなくなったカズマを――文字通り――鞭打つ行為に等しかった。少なくともヨウコにはそうとしか見えなかった。

 瞬間、憤怒に目の前が真っ赤に染まった。

「こッ……のオォ――ッ!」

 ヨウコは叫びを上げつつ、自分の胸倉を掴む男の手首を両手で握り返した。首相撲の要領ようりょうでそれを引き寄せ――と同時、左へ向かって助走を取る。そして、思い切り地を蹴った。

 跳躍ちょうやく後、腰が自分の耳の高さまで到達するや、鋭くひねりりを加えた。筋力に慣性かんせいと重力加速をたばね、左脚に威力を与える。

 相手からは、斜め上からうなりを上げて降ってくるように感じられただろう。袈裟斬けさぎりの軌道をなぞり、全体重を乗せた渾身こんしんの蹴りを叩き込んだ。

「――直情的な娘だな」

 右腕で難なく蹴りを受け止めた騎手がつぶやく。子供の駄々に呆れたような声音だった。

「卑怯者! したがえばこれ以上誰にも手を出さないようなことを言っておいて」

「落ち着け」男は言葉と共に、ちらとカズマが伏している方へ視線を流した。「中途半端に腕が繋がったまま移動を開始すればどうなる?」

 言われてハッとした。

 ヨウコは弾かれたように自分の右脚を見下ろす。

 その足首には、まだカズマの手が固く握りついていた。この状態で、自分は助走を取り、なんの物理的抵抗も受けずに飛び上がったのだ。そして蹴りまで放った。カズマの手が彼の胴体とまだ繋がってれば、跳躍もままならなかったであろうし、仮にそれが可能であったとして、彼自身の身体も一緒に跳ね上げられていたはずであった。

 全て、腕が完全切断されていたからこそ実現したことなのだ。

 ささくれ、逆剥けといった物は下手に引っぱるより、思い切って爪切りや小さなハサミのようなもので処理した方が綺麗に収まる。被害を広げずに済む。農耕機コンバインに手を巻き込まれてしまった者たちもまた、中途半端に肉の残骸を残すより、切断して治療することを選ぶ。本質は同じなのだ。それは、理解できた。

 考えたくもない。しかし、同じ事が今、カズマの身にも起ってしまっているのだった。

「――死人が出ないというのは本当だ。周囲に不可視の壁があることには気付いているだろう。我々がここを離れればそれも消える。そうすれば、閉じ込められていた血の匂いが放たれ、気付いた〈三清〉の誰かが即座に駆けつける。あの化物どもなら、この程度の傷などどうとでもするというものだ」

 分かったら、これ以上無駄な手間をかけさせるな。言外にそう加えるように肩をすくめ、男は無造作にヨウコをほうった。

 瞬間、景色が通常あり得ない方向に高速スクロールした。背負い投げを食らったような加速感。エレヴェータの上昇時に感じる無重量感と酩酊感。凝縮されたそれらを刹那に味わった直後、ヨウコは怪物の背に投げ出されていた。

 毛並みがクッションになったのか、痛みや衝撃はさほどなかった。咄嗟とっさの受け身に自信があったことも大きい。かわりに、つややかな体毛は思いのほか滑りやすく、ヨウコは落下を防ぐため慌ててしがみつく必要に迫られた。

「移動する。しっかり捕まっていろ。振り落とされれば死ぬぞ」

 不平を返すいとまもなかった。

 獣の跳躍と同時に、ジェットコースターの始動時のようなガクンという衝撃がヨウコを襲った。だが、そこから先の暴力的な乗心地は、到底、テーマパークの遊具を引き合いに語れるものではなかった。

 不規則に揺れる獣の背は、本来、乗り物に強いはずのヨウコをたちまち重度の船酔い状態にした。頭蓋を貫通する鋭い痛みに、目を開けていられなくなる。だしぬけに襲ってきた吐き気を抑えるため、ヨウコは左手を口元にやった。右手は手探りに獣の体毛を掴み、関節が白く浮き上がるほど握りしめた。

「ここは、どの辺なの」

 随分して、弱みを晒さないよう、はらに力を込めて言った。

「どこまで連れて行くつもり」

 実際、これは訊かずにいられないことだった。先程から、周囲は完全な闇に閉ざされており、視線を巡らせても何の情報も得られない。前に伸ばした自分の手すら見えない真夜中の樹海を、ライトもなしに彷徨さまよい歩いているも同然だった。

 否、それ以下だろう。

 自分を乗せて駆けているのであろう獣が、どの程度の速度で進んでいるのかも分からない有様なのだ。上昇しているのか、水平方向へ進んでいるのか。地表を走っているのか、空を飛んでいるのか。ドラム式洗濯機に放り込まれたような狂騒の中では、荷重移動からそれらを察することすらもままならない。

 やはりだんまりか。

 沈黙ばかりが続く中、そう諦めかけた時、

「まもなく〈壁〉に到達する」

 意外にも騎手の男が口を開いた。

 それどころか、背後のヨウコを一瞥さえした。

 丁度良い。その相貌を間近に拝んでやろうじゃない。

 強気にそう考えはしたものの、現実には嘔吐感おうとかんが滲ませる涙の膜が邪魔をした。輪郭をぼんやりと捉えることすら成功したとは言いがたい。

 なにより、周囲が不自然に暗すぎた。ほとんど前方に広がる夜そのものと会話している感覚だった。

「〈果ての壁〉を、越える……のね」

「そうだ」今度は即答であった。

「どうやって、あんなものを……」

 ヨウコが知る限り、また教科書の類が教える限り、十六年前に突然現れたあの〈壁〉は、突破しようというあらゆる人類の試みをことごとく跳ね返してきた。

 世間が〈壁〉を越えたと認めるのは、一連の失踪者たちだけだ。そして勿論、彼らは望んでそれを成し遂げたわけではない。

「内側からの脱出ならまだしも、進入は〈封貝ペルナ〉を持つあらゆる者にとって容易なことだ。この〈四不像〉に乗っていれば、お前も〈壁〉を超えられるだろう。そこまでは、何ら問題ない」

「そこ、までは……?」

 声と共に漏れた吐息に、熱が籠もっているのが分かった。

 心臓が壊れたのではないかと思うほど、動悸が酷い。心拍数は間違いなく百五十を超えている。ヨウコはいつしか息を切らし始めていた。

「お前がどうなるかは話せない。さいの目のように、結果が出るまで誰にも分からないことだからだ。お前たち人間は、〈壁〉を超えた瞬間に消える。〈あちら側〉に異物と判定され、無害なレヴェルまで分解され、ただの質量として還元されるのだ。基本的には、お前もそうなると考えるのが自然だ」

 その話は、シゲンに前もって聞かされていた内容とも矛楯しない。

 問題はその先。ただ――と、男が続けた内容だった。

「そうした通常の例に沿うのなら、そもそも我々の出番がなかったのもまた事実だな」

「どういう、ことなの――?」

「何事にも例外は生じる。お前たちのいう〈あちら側〉の世界に呼ばれた者は、我々が手を下さずとも、形を奪われ、吸い寄せられるように〈壁〉を越える。お前たちが失踪、神隠しなどと表現している現象がそうだ。多方、〈あちら側〉の世界に呼ばれたにもかかわらず、形を留め、こちら側に留まり続ける個体もごくまれにだが現れる」

 一度言葉を切り、男は「お前のように」と続けた。

「そうした例外は、我々が直接(おもむ)き、手動で回収せねばならない」

「その回収という名の拉致が、あなたの仕事というわけね」

 男は答えなかった。めげるようなことではない。ヨウコは質問を変えて迫った。

「どうして私はその例外になったの」

「原因の特定は難しい。とはいえ、生まれてからの大半の時間を、あれほど〈三清〉に近しい環境で過ごしたことが無関係だとは考えにくいな」

 ――〈サンセイ〉。

 先程から幾度も繰り返されるその言葉が、恐らく玉池たまいけサトミ、楠上なんじょうシゲンらを示すのであろうことは、何となく想像できた。

 同時に、ヨウコには思い出されることがあった。

 余命宣告が行われたにも等しい展望レストランの席上で、シゲンが言っていた言葉だ。

「こうして土壇場も土壇場、一週間以内に何かが起るというタイミングに到るまで、当事者たる君に全ての情報を伏せていたのは、結局のところ、その情報が未来の宝くじ当選番号にも等しいものだからだ」

 知らないはずの情報を得た者は、不確定要素に変わる。

 不確定要素は、時に歴史を大きく歪ませる。

「――我々は、我々の知る未来に最適化した対応策プランを長年かけて練り上げてきた。不確定要素を増やして、この未来が大きく歪んでしまった場合、そうした準備が陳腐ちんぷ化してしまう怖れがあるのだ」

 つまり、シゲンやサトミたちは、タイムスリップしてきた未来人のような、世界にとって変則的イレギュラーな存在であったのだろう。下手に接すると歴史を変えてしまうかもしれない。まさに同じ意味で、彼らは自分たちが持っている情報を安易に隣人へ分け与えるわけにはいかなかった。

 そんな彼らと長年付き合ってきたヨウコは――たとえ細心の注意が払われていても――やはり何らかの影響を受けてしまっていたに違いない。

 そのおかげで、〈果て〉に呼ばれていきなり消え去ってしまう憂き目から救われたのだが。

「――さて、お別れの時間だ」

 不意をつく言葉に、ヨウコは思わず声を失った。

 言われてはじめて、獣が脚を緩め、揺れが小さくなっていることに気付く。だが、何も見えない目隠し状態は相変わらずで、眼前に迫っているであろう〈壁〉を視認することもできなかった。

「言い残すことがあれば、聞いておいてやろう」

「私が例外だとして、〈壁〉を越えたら後はどうなるの?」

「さてな」素っ気のない即答であった。振り返る気配さえない。「越えた後は、通常の例と何ら変わらないかもしれない。肉体を失い世界の一部になるか。もし運良く形が残ったとしても、〈封貝〉を持たない限り、ランダムな場所に転送され、全く違った存在に成り変わってしまうことからは避けられない」

「違った存在――? 生まれ変わるとでもいうわけ?」

「そこから先は、知っても無駄なことだ」

「えっ」

「お前は〈封貝〉の所持者、封貝使いではない。よって、お前とお前が持ち込もうとする全てのものは、〈あちら側〉の世界から異物と判定される。異物は取り除かれるものだ」

「取り除かれる?」

「〈あちら側〉に本来あり得ない物は、物質的な持ち物であれ、知識、技能の類であれ、全てが世界そのものによって没収、奪われるということだ。お前は消えるにせよそうでないにせよ、境界を越えた瞬間、ここで聞いた内容を全て忘れている」

「――はっ、随分と上手く管理されてるじゃない」

 もはや体調の不良は耐えがたいものになりつつあったが、ヨウコはそれを気取られぬよう悪態の声を張り上げた。

 だが実際のところ、〈あちら側〉の世界とやらのシステムには感心させられていた。

 つまり、タイムスリップしてきた未来人からは、株価や当り馬券の情報を奪ってしまう。それどころか、自分が未来から来たという記憶すら消し去り――なぜ自分がそこに居るかすら分からない、泥酔して記憶を飛ばした酔っ払いさながらの状態で放り出すというわけだ。

「私は……私ではいられなくなる、のね……」

 身体ごと素粒子レヴェルまで分解されて無になるか。

 身体は残るが、カエルにでも姿を変え、自分が何者であるかすら忘れて生きるのか。

 いずれにせよ、千葉ヨウコという人間の物語は、ここで終わりを迎えるのかもしれない。それを強いられるのかもしれない。

 だが――

 ヨウコはすがるように、自分の右脚に手を這わせた。その足首には切断されたカズマの手がまだ残っている。型が残るほどの締付けだ。血流が妨げられ、痺れで感覚が鈍化している。

 そっと指先で触れると、それはもう冷たくなりかけていた。

 不思議と、それを気味の悪い血塗れの肉片だとは感じなかった。むしろ逆だった。カズマがこんな姿になりはててまで、側についてくれている。護ってくれている。

 頼もしさすら覚えた。気が狂い始めているのかもしれない。だが、それが唯一の心の支えであることは変わらぬ事実だった。

「――名前を教えなさい」

 顔を上げ、毅然きぜんとしてヨウコは命じた。

「私は消えないし、自我を失いもしない。千葉ヨウコとして生き延びて、きっとあなたに借りを返しに行く」

 その言葉に、男は驚きも嘲笑ちょうしょうもしなかった。

 ややあって、なめし革の鞍が微かに軋む音がした。男が身をよじり、身体ごとヨウコを向いたのが分かる。

「イングリスだ」

 そう、生真面目にも聞こえる声が言った。

「こちらからも一つ訊きたい。全身に倦怠感けんたいかんがあるな? 比較的重度の感冒かんぼうに似た症状、頭痛、吐き気、関節痛……」

 なにかひやりとしたものが額に触れた。それが男の手だと気付くまでしばらくかかった。

 何故か嫌悪感はなかった。そのせいで、振り払おうとするのが遅れた。結局、ヨウコが動くより早く、男の手は自分の方から離れていった。

「熱もある。症状はいつからだ」

「このケダモノに乗せられてからよ」

 吐き捨てるような口調にせよ、どうして素直に応じたのか分からない。関係ないでしょ。そう突っぱねなかったのが自分でも不思議だった。

「なるほど」ひとり得心したような声が返る。

「何なのよ。さらった女の心配? 健康でないと高く売れないってわけ?」

 挑発めいたその罵声を無視して、騎手が静かに言った。

「――もしお前が自分の言葉通りに振る舞えるなら、どこに転送されるにせよ北を目指すことだ。〈大北壁だいほくへき〉と呼ばれる前人未踏の超級ちょうきゅう大山脈だいさんみゃく地帯の手前に、ユゥオと呼ばれる国家がある。そこではシガー・イングリスにまつわる情報を容易に入手できるだろう。それでも、俺まで行き着けるとは誰も考えないだろうが」

「ユゥオのイングリス……」

 胸に刻みつけるように、ヨウコはゆっくり言った。

「私はカズマと必ず落とし前をつけにいく。そして、この世界にふたりで帰ってくる」

「カズマとは、先ほどの子供か?」男がかぶりを振るような気配が伝わった。「いくら〈三清〉と関わりの深い人間であってもな……いずれにせよ、お前たちは〈壁〉を越えた行き来を安易に考えすぎている。自分が口にしたことの重さを理解していない」

「そっちこそ、カズマという奴を理解してない」

 ヨウコはほとんど自分に言い聞かせるように言った。

 今は、「またすぐ会える」という彼の言葉を信じるしかなかった。

 勿論、普段のカズマは、何か大きな事を期待できるような存在でない。何をおいても惰弱だじゃくな男だ。昔から頼りがいなど皆無であった。ヨウコは多くのシーンで、彼を手間のかかる弟分として扱ってきた。

 軽薄で、およそ何かに真剣に打ち込むということがない。競争心に欠け、しのぎを削るといった局面はことごとく忌避きひする。勝負事からはすぐに自分から下りてしまう。

 自分自身のために、自分の力を発揮できない。彼はそんな人間であった。

 だが、それが全てではない。

「あいつは唯一、私が泣いたとき、人が変わる」

 勿論、千葉ヨウコは人前でそうやすやすと涙を晒すほど柔な女ではない。

 だから、それをほとんど全ての人間が知らない。

「私には分かる。今日は負けたけど……でもそのことがカズマを本気にさせる。あいつは私を追いかけて〈果て〉を越えようとするでしょう。そして来る。本気になったあいつは、誰のいうこともきかない。何にも負けない。本気になったあいつより凄いことをしでかす男なんて、この世にいない」

 微かな身じろぎの気配が伝わり、男がまた前を向いたのが分かった。

「――Fox 2《フォックスツー》」

 無機的な声が短く唱えると、刹那、暗闇の中で稲妻のような光が明滅した。

「……ッ!?」

 その一瞬の閃きと同時、ヨウコの右足を何かがかすめていく。熱線に肌をあぶられたような灼熱感は、気付くとカズマの手を消し去っていた。破壊や爆発による霧散なのか、高熱による蒸発であったのか、単に振り落とされただけなのかは分からない。

 ただ、ヨウコからカズマの加護が失われてしまったことだけは確かだった。

「この世にいない、か。これからお前が行くのは、この世を越えた世界だ」

 男の声が冷ややかに断じた。

「お前の認識は〈あちら側〉では通じない」

「イングリスッ!」

 ヨウコが憤怒の声を上げた時、妖獣〈四不像〉は果ての壁を超えていた。


 硬骨魚こうこつぎょとなって仄暗ほのぐらい海の底から一気に釣り上げられるような――

 人知れない密林の底なし沼に、どこまでも飲み込まれていくような――

 どこか非日常めいた暗転を想像していたヨウコは、だが気怠けだるさにさいなまれながら、ごく自然に目蓋まぶたを開いた。

 二、三度(しばたた)くが、視界からかすみが晴れない。

 だが、先ほどから一転、周囲が非常に明るいことは分かった。暗がりに慣れすぎていたのか、眼球を突き刺すような痛みに近いまぶさを感じる。状況が、掴めなかった。

 眠って、いた――?

 ぼんやりと思考して、それが間違いないことだけは何とか理解する。

 目を開いたということは、閉じるという動作をどこかでしていたということだ。

 加えて、地面を背に横たわっていることも分かる。ふしくれだった木の根か小石のたぐいか、左の肩胛骨けんこうこつあたりに尖った感触もあった。

 だが、地べたに寝転がるに到った経緯は全く覚えていない。

 ――残っている最後の記憶は……

 しばらく考え、ぞっとした。

 思い出せない。周波数の合わないラジオのように、思考にノイズがかかっている。

 生まれて初めての経験であった。

 途端に、胸の奥でじわりと毒のような焦燥しょうそうが広がった。

 落ち着きなさい。自分に言い聞かせた。一旦、目蓋を閉じて深呼吸を繰り返す。

 分からなくなったら、分かるところまで戻れば良い。

 目を開ける。改めて思考した。

 まず――そう、名前は?

 千葉蓉子(ヨウコ)。これはするりと出た。

 プロフィール?

 二〇二〇年、十月十九日生まれ。来月で十六歳。高校一年生。血液型はA。

 家族構成は?

 父、母。兄弟姉妹はいない。ただし、集合住宅コンドミニアムの隣部屋に、二日遅れで同じ病院の産婦人科に産まれてきた、弟分のような――

 そこまで思い出した瞬間、全ての記憶が一気に蘇った。

 ヨウコは寝坊した時のように飛び起きかけ、だが頭蓋の内側を突き抜ける鋭い痛みで、巻き戻すように後ろへ倒れ込んだ。かき氷を一気にかきこんだ代償だいしょうに訪れる、あのアイスクリーム頭痛ヘディックに良く似た責苦せめく。神経に直接くる痛みであった。

 ……つまり、どういうこと?

 横たわったまま眉間みけんみつつ、状況の把握はあくに努める。

 どうやら、空を走る鹿の化物に背に揺られ、全身ごと脳を掻き回(シェイク)された影響がまだ残っているらしい。むしろ、症状は酷くなっているきらいいがある。

 だが、だとしたら……ここはどこなのか。

 結局、〈果ての壁〉を越えることはなかったのか?

 状況を整理すれば、直前で振り落とされ、どこかの雑木林にでも不時着したと考えるのが自然であった。もし〈壁〉を越えて〈あちら側〉に辿り着いたとすると、状況と合わない部分が出てくるからだ。

 ここが〈あちら側〉であるなら、シゲンや拉致犯の男が言っていたように、今頃、素粒子レヴェルまでばらばらに引き裂かれ、千葉ヨウコとしての個も意識も失っているはずである。

 あるいは姿を変え、記憶を失い、自分が何者なのか、どうしてここに居るのかも理解できず、永遠に〈あちら側〉を彷徨い続ける存在になっていなければならない。

 ところが現状、千葉ヨウコの肉体を維持し、記憶もまた残している。

 ならば、〈壁〉の手前で何らかの突発的事態が生じ、〈あちら側〉に連れ去られるすんでのところで助かったとしか考えられなかった。

 問題は具体的に何が起ったかだが、それは思考したところで結論が出る問題ではない。

 ――と、ここまでなんとか思考をまとめ、ヨウコは当座の結論とした。

 まず、仰向けの状態から身体をゆっくりと反転させた。うつ伏せの体勢になる。それから頭痛を刺激しないようそっと両肘を立てた。上手くいくと、今度は肘を手のひらに変え、腕立て伏せ運動(プッシュアップ)の要領で、時間をかけて地面から身体を引き剥がしていく。

 最後に立ち上がろうとしたが、膝に力が入らなかった。

 焦りすぎたかと自分の迂闊さを呪いかけるが、もう遅い。待っていましたとばかりに吐き気がぶり返してくる。そればかりか頭痛も激しさを増し、これに耐えるためヨウコは薄目しか開けていられない状態に陥った。

 それでも何とか手探りで近くに樹木らしきものを探り当て、それを支えにようやく二本の脚で地を踏みしめることに成功した。

 ただ立ち上がるだけに一体、何分を要したことか。こんなことはかつてなかった。

 全身が燃えるように熱かった。脈拍は無酸素運動の直後ばりに高まっている。激しい息切れで肩は大きく波打ち、毛穴という毛穴から汗が噴き出していた。

 自力では長い間バランスを保てず、ヨウコは背を樹に預けざるを得なかった。額に手をやると、ぬるりとした感触があった。大量の汗が膜を張るように手のひらを覆っている。スナップをきかせて振り払うと、汗がぴっと飛び散っていった。

 流石に、これはおかしい――。

 ヨウコはこの段に到って、ようやく自身の不調が乗り物酔いの類ではないことに気付きつつあった。

 発熱がある。それも、足下がふらつく程の高熱だ。経験上、これは三十八℃を大きく越えた時特有の症状であった。

 前提として、乗り物酔いは三半規管さんはんきかんの刺激によって起る。これがて自律神経失調症に繋がるのだ。その本質は目眩めまいと言って良い。

 事実、良く知られる〈トラベルミン〉にせよ何にせよ、酔い止めとして処方される抗ヒスタミン剤は、自律神経を落ち着けて目眩をやわらげるためのものである。

 伊達だてに製薬会社勤務の大人達に囲まれて育ってはいない。それくらいのことはヨウコも予備知識として知っていた。

 では、自律神経の失調で高熱が出ることはあるか?

 微熱が出るという報告は数多い。が、三十八℃を大きく越える例はまれであろう。

 しかも、原因である怪物の背からはとっくに解放され、一眠りまでした後なのだ。症状が悪化するというのは臨床研究エヴィデンス的におかしい。

 だったら、自分の身体に一体、何が起っているのだろう――

 考えようとした矢先、一際強烈な吐き気がヨウコを襲った。これまで何度か強弱の波があったが、今度のそれはさながら津波であった。

 反射的にこらえようとするも、もはや遅きに失している。なんとか身体を反転させるのがやっとだった。

 次の瞬間、ヨウコは樹木の根元に、胃の内容物を全てぶちけていた。

 感情とは関係なく、まなじりに涙がにじむ。

 幸いだったのは今日は一日食欲がなく、ほとんど食事をしていなかったことだ。

 それでも、カズマにもらったホットドッグは残らず戻した。

 彼との最後の記憶。ささやかな晩餐……

 あの大切な一時まで一緒に、吐瀉物としゃぶつとして吐き出してしまったような気がした。喪失感と罪悪感が、胃液の苦みと共にヨウコを打ちのめした。カズマとの間に辛うじて残っていた絆、心の繋がりまで台無しにしまったように思えた。

 救いを探すとすれば、戻すだけ戻したことで当座の吐き気が収まったことだけだった。

 それにしたところで、口内に残った嫌な酸味を払拭ふっしょくするため、ヨウコは何度もつばを吐き捨てなければならなかった。この著しく品位を欠くこの行為が、美学にはなはだしく反するものであることは言うまでもなく、また、飛び散った胃液の一部がお気に入りの〈カシウェア〉を汚したことも、気分を最悪にさせた。

 ヨウコは涙を拭い、軽くかぶりを振った。

 眼をこすりながら、一本分、木の間を移動した。

 改めて周囲に視線を巡らせる。

 辺りは、いわゆる叢林そうりんのように見えた。

 全体的にやや薄暗くはあるが、これは木立が頭上で陽光をさえぎっているせいであり、夜の薄闇とは明らかに性質がことなっている。忌々しい〈壁〉に朝日を遮られ、夜のような暗がりの中を登校することに慣れきっていた人間にすれば、木漏れ日差し汲む森の中など、むしろ眩しくすらある。

 なんにせよ、自分は少なくとも、この場所で一夜を過ごしたらしい。ヨウコはそう結論付けた。

 視線を足下に転じる。一面に広がっているのは、堆積たいせきした腐葉ふようを取り込んだ、栄養価の高そうな黒土だった。非常に柔らかく、履いていたはずのサンダルをいつの間にか失っていた素足のヨウコが踏みしめても、ほとんど不都合を感じさせない。

 傾斜がないことから、どこかの山中というより森林地帯なのではないか、とヨウコはぼんやり考えた。

 ただし、いわゆる雑木林ではないらしく、こけ灌木かんぼく[人間の身長より低い木]、その他の草花の類を別にすれば、樹木は一種類のみしか生えていなかった。

 問題は、それがかつて見たことのない品種であることだ。

 幹は線で引いたように真っ直ぐで、灰色を基調とした樹皮には霜降しもふりのような白い模様が入っており、加えてキウイを思わせる産毛に似たものが一面を覆っていた。

 また、良く見る桜や松などと違って、木登りの足がかりになりそうなふしはほとんど見当たらなかった。太さはヨウコが二人いれば四本の手で抱きか抱えられる程度だが、高さはソメイヨシノの少なくとも二倍はあるだろう。

 ヨウコは、植物に特別詳しいというわけではなかった。

 が、こうまであからさまだと、一つの結論に至ることもさほど難しくはない。

「こんな木……」

 続く、東京には生えてない、という言葉はみ込んだ。

 違う意味でも頭痛がしてきそうだった。

 どこからか、聞いたこともない鳥の鳴き声が響いてくる。

 吐瀉物の後遺症でツンと痛んでいた嗅覚きゅうかくは、正常化していくに従い、自分の知る環境のそれとは明らかに違う空気の匂いをとらえはじめている。

「嘘よ、ね……嘘でしょ?」

 つぶやきながら、ヨウコはふらつく足取りで周囲を彷徨さまよった。

 遥か頭上に生い茂る葉群はむれに遮られ、太陽の位置すら掴めない。すなわち、方角ほうがくが分からない。この森林はどこまで続いているのか。どちらへ向かえば脱出できるのか。

 なにより、ここはどこなのか。本当に自分の知る世界なのか――

 急に動いたのが良くなかったのだろう。だしぬけに、視界がぐにゃりと歪むような目眩に襲われた。池に落ちたカナヅチが板切れへ飛びつくように、慌てて近くの木に避難する。

 左手を樹に沿わせた状態で、右手を軽く曲げた膝頭ひざがしらについた。息切れで肺が痛い。脳は高熱で溶けそうだが、身体の芯は悪寒おかんでぞわついている。結露した窓のように肌を埋め尽くす大量の水滴は、冷や汗の類だ。

 その時、どこかで茂みが音を立てた。

 風で葉擦はずれが起った、というのとは違った。

 相応の質量を持った、生物の移動に伴う音だ。

 異様に重たく感じる頭を、苦労してあげた。首を振って視線を巡らせるだけの体力的余裕はない。眼球だけ動かし、気配の発生源を探す。

 小枝を踏み折る乾いた音が、それを容易にした。

 十五メートルほど向こう、木々の狭間からずんぐりした背格好の男が現れた。あちらも、既にヨウコの存在に気付いており、結果、視線がかち合うことになる。

 半月ほど飲まず食わずで獲物を追い続けていた――とでも言うような、半分野生化した猟師とも言うべき、中年の男であった。

 だが、何よりその男を的確に表現する言葉がある。

〈ベルセルク〉だ。

 古北欧(ノルド)語で「熊皮の上衣を着た者」を意味する、狂戦士の総称である。

 英語ではバーサーカーとも発音されるこの恐るべき野獣と同様、現れた男は熊――あるいはそれに類する獣を皮を剥ぎ、なめして作ったアウターを着込んでいた。

 背はヨウコよりり低そうだが、良く鍛えられた骨太な体躯の持ち主だ。露出した毛深い二の腕は丸太のように太く、右側の手にはなたのような、何か長い刃物を握りしめているのが見えた。

 皮脂と汗でてかる肌は薄汚れ、近付かなくとも酷い悪臭を放っているであろうことが分かる。頬にまで広がった黒い無精髭と、その中にあって奇妙に目立つ黄ばんだ歯。なにより標的を見定めギラついた双眸は、まさにケダモノのそれでしかなかった。

 男は、ヨウコと一瞬見つめ合うと、すぐににやりと好色そうな笑みを浮かべた。

 学校で時おり男子生徒から感じる、あの無遠慮でねちっこい熱視線が、順にヨウコの顔、胸部、下腹部、そしてフェイクデニムのレギンスでラインの露わになった脚部へ注がれる。

 剥き出しにされたその劣情が、ヨウコの背に怖気を走らせた。うなじの毛が逆立つ。

 考えるより早く、本能に脚を突き動かされた。

 ヨウコは息を止め、身を翻し、ふらつく足取りで走りだす。

 直後、背後で指笛を鳴らす音が聞こえた。

 猟犬か、仲間か――

 とにかく、逃げなければならない。

 血走ったあの眼に、理性や倫理など微塵も感じられなかった。捕まれば、なにをされるかなど考えるまでもない。

 震える手で、〈カシウェア〉パーカーの裾を探った。YKKファスナーの引き手(スライダー)を掴むと、走りながら首元まで上げた。

 サンダルをなくしてしまっていたのは、むしろ幸運だったかもしれない。足場の悪い木立の中を走るには、むしろ素足の方が都合が良かった。

 が、いかんせん膝に力が入らない。身体が重い。高熱と間断かんだんなく襲い来る偏頭痛、正体不明の倦怠感が織りまぜになって、まるで足下が定まらなかった。嵐の中を暴風に煽られながら進んでいるようだった。身体が前に進まない。直進しているつもりが、どうしても蛇行を繰り返してしまう。

 その余力さえあれば、叫び上げていただろう。

 背後から迫る足音が、どんどん距離を詰めてくるのが分かる。相手側はもう一人が合流したようで、聞いたこともない言語で短くやりとりし、連携を深めようとしていた。

 だが、彼らに戦術など必要なかった。

 万全なら百メートルを十三秒台で走るヨウコだったが、今はその半分の速度も出せずにいた。加えて柔らかな土壌は滑りやすい。シダ系の植物や、小岩にこびりついた苔類に至っては言うまでもなかった。加えて、這うように伸びた木の根や罠のように半分地中に埋もれた小石は、ヨウコを幾度となくつんのめらせた。

 多方、男たちは明らかにこうした条件での活動に慣れていた。気配から伝わる確固とした足運びが、如実にそれを物語っている。

 そして程なく――何かの巣穴にでも突っ込んだのか――くぼみのようなものに大きく足を取られた。「あっ」と声を上げた瞬間には、視界いっぱいに地面が迫っていた。

 咄嗟に受け身を取った両の全腕部が、地面にこすれて鋭い痛みを伝えてくる。

 半メートルは前のめりに滑っただろう。ようやく止った時、男たちは既に前後に別れてヨウコを挟み込んでいた。

 実際にそれを知ったのは、もう少し後のことだった。

 弾かれたようにその場で身体を反転させたヨウコは、まず足下側に熊皮の小男が仁王立ちしているのを見た。反射的に両手だけで後ずさろうとした時、今度は背中がドンと何かにぶつかる。それが、もうひとりの――こちらは長身痩躯の男だった。

「――ッ!?」

 背の高い方が、ブーツの脚を軽く横に払った。支えの腕を蹴られる格好になったヨウコは、バランスを崩して再び倒れる。気付いた時には、二人がかりで組み敷かれていた。

 痩躯の男によって、両腕を頭の上で固定された。全体重をかけて抑え込まれており、ヨウコの膂力りょりょくでは何としても抗えない。

 ならばと、覆い被さってくる小男に前蹴りを繰り出す。

 だが、相手はその動きを予測していた。易々と足首を掴み取られ、逆に薙ぎ払うような右手でほほを張られた。これが、運悪く顎に入った。視界が暗転した。意識が飛ぶ。

 そこからはもう、何がなんだか分からなかった。

 ファスナーという物に対して未知であったのか、小男は随分とこれに苦戦していた。力任せに引き裂こうとばかりして、だがカシミア風に調整された伸縮性のある化繊に手間取っているようであった。

 業を煮やしたのか、相棒の方が批難ひなんの色をにじませ、ヨウコの知らない言語で何事かをえる。苛立いらだったように、小男の方も何かを怒鳴り返し、短いやり取りが交わされた。

 その間にも、月光にきらめく水面を見つめながら、ゆっくりと深い湖の底へ沈んでいくように、ヨウコの意識は遠ざかりつつあった。


 ……てやがる。手……ってない……っとナ……を使え!

 ……せ…………こともね……こ……ぞ! ひょ……るとたか……れるかもしれ……

 あ……つか…て……だ! 手め……やらな……ら、オ……やるぜ……

 わかっ……しかた……な……ょっとま……ろ……


 頭上で飛び交う罵声ばせい応酬おうしゅうに、なぜか一部聞き取れる部分が混じりだした――ように錯覚した瞬間、上着が何か鋭いもので割かれる音が、一際ひときわはっきりと鼓膜に飛び込んできた。それは意識を失う間際に起きた、たちの悪い奇跡の一種であったのかもしれない。

 役に立たないなたを捨て、手で引き裂くのも断念し、最後は予備のナイフでも取り出したのか。いずれであれ、ヨウコは自分の上着が台無しになりつつあることを知った。

 ――冗談じゃない。お気に入りの〈カシウェア〉なのに……。

 ぼんやりとした頭で、場違いなことを考える。

 ややあって、誰かの固く無骨な手が、荒々しく胸元に伸ばされてくるのが分かった。

 次いで、エサの皿を目の前にした犬そっくりの荒い息遣いが、すぐ耳元から聞こえた。生あたたかく湿った吐息がヨウコの肌を粟立あわだたせる。

 ぽたぽたと粘着質の唾液が顔に落ち、首筋から頬にかけてをざらついた不快な感触がっていった。

 下卑た笑い声が、風呂場にいるように反響して聞こえる。

 それが最後の知覚だった。

 直後、ヨウコは繋ぎ止めていた意識の最後の欠片を手放した。

連載開始からだいたい1ヶ月。なんだかあっという間だったような…

次回は主人公視点に戻って、もう一人のヒロインが登場。

そして一部のクライマックスへ。

第8話「ナージャ・クラウセン(仮)」。ご期待下さい。

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