オウバルパ・ジィンファウス
054
慌ただしく近付いてくる足音に気付き、ムウブは手を止めた。
「御頭、失礼します」
飛び込んできたのは、まだ毛も生えそろっていない年頃の小僧であった。
顔に見覚えはあるが、名は知らない。
ムウブの下にはそういう子飼いが大勢いる。
ムウブは羽根ペンを机へ叩きつけようとし、意思の力を総動員して思いとどまった。
丁寧にペンを立てる。
念のためインクの蓋もしめた。
「おう、坊主。ちょっと来いや」
椅子から立ち上がりながら低く命じた。
「はい」
強ばった表情で、小僧が駆け寄ってくる。
手が届く範囲に入るや、ムウブはその頬を思いきり張り飛ばした。
破裂音にも似た乾いた音が室内に大きく響いた。
「うっ」という声にならない悲鳴をあげ、小僧が大きくよろめく。
構わずその腹を爪先で蹴り上げた。
「数字扱ってるときは声かけんじゃねえ。なんべん言や分かるんだコラ」
のたうち回る小僧の横っ腹に靴底を乗せ、踏みにじった。
「てめえら下っ端は刃物ちらつかせて村人怖がらせるだけで良いけどよ、組織預かるとなるとそれじゃすまねえんだよ。
数字で考えんだ、数字で。分かるか? この繊細な仕事がお前にできるか? 務まるか? やれねえなら邪魔するんじゃねえよ。
俺はな、頭空っぽのバカに集中を妨げられるのが一番我慢ならねえんだ!」
「す、みま……せん御頭……ですが……」
小僧が、切れて血を滴らせた唇を震わせる。
「あ――?」
「オウバルパ様が、お着きになったのでお知らせしろ、と言われて」
一瞬、言葉が喉で詰まった。
眼前が真っ白に染まる。
「それをさっさと言えやボケッ」
振り上げた踵を青二才の腰骨のあたりへ落とす。
二度繰り返した。
「クソっ、忌々しい〈イス〉の申し子め。
よりによってウチに来やがった!」
部屋を飛び出す。
早足で歩きながら深呼吸し、気分を切替えた。
大広間に入る。
奥の壁際、一段高く上がった座上に、その男の姿はあった。
スリージィンの紋章を刺繍した絨毯サイズのタペストリを背にするひときわ豪奢なこの上座は、当支部における権威の象徴だ。
すなわちムウブの専用席である。
反射的にこめかみの血管がぴくつくが、こらえた。
むしろ、よそ行きの笑顔を浮かべて、ムウブはそちらへ向かっていった。
久しぶりに見るオウバルパは、少し瘠せたように見えた。
もともとは痩せ形の中背。
移民系の人間で、頭髪は黒に近い焦茶色。
ほぼ同じ色の瞳。
ぱさついた青白い肌と、ナイフで削ぎ落としたようにこけた頬は、もとからあった病的なイメージをさらに助長させている。
彼は右膝を折り曲げて、踏みつけるように座面に足を置いていた。
そうしてさも当然のごとく支部長の専用座席に腰かける資格が、確かにその男にはある。
オウバルパ・ジィンファウス。
姓が主張するように、彼こそは〈スリージィン〉の頂点に立つ三大最高幹部のひとり、バッツ・ジィンファウスの実兄である。
もっとも〈スリージィン〉最強とも噂されるバッツと比較し、兄オウバルパは――実績しかり、カリスマ性しかり――あらゆる意味で有能な人物とは言いがたい。
一応ながら封貝は持っているが、戦闘力もせいぜい白級程度。
実力でいえば本来、ムウブの下につくのが自然な存在だ。
しかし、〈スリージィン〉の構成員たちにとって神にも等しい存在の身内、家族である事実は誰も無視できない。
ただそれだけで周囲が気をつかい、今の地位を得るに到っている。
「お待ちしておりました、オウバルパ様。
数ある支部から我々の拠点を選んでお越し頂き光栄です」
ムウブは踵を鳴らし、臣下の礼をとりながら頭を垂れた。
「あぁ?」
気だるそうについた頬杖の上、どろついた瞳がムウブを向く。
「なんだ、てめ――」
ムウブの長衣にほどこされた胸章に目を留めたのだろう。
オウバルパは途中で言葉を飲み込んだ。
白地に青い〈スリージィン〉の印は、支部長クラスにしか許されないものだ。
「お前、ここの頭のムウブとかいう奴か」
「はっ」
「そうかよ。しばらく世話になるぜ」
小さく鼻を鳴らしながら言う。
言葉と裏腹に、その眼はもうムウブを見てはいなかった。
「で、状況はどうなってる?」
ちぎった服の毛玉を指先で弄びながら、オウバルパが訊いた。
「状況、と申されますと」
「あ? 決まってんだろ。先住民族どもだよ。お前らには、近くにいるあの蛆虫どもの駆除を命令しといたはずだ。時間は充分あったはずだぞ」
「その件でしたら……仰せのとおり、奴らの集落を幾つかマトにかけておきました」
「徹底してやったろうな? 手順も通達しといたろ」
確かに少し前、そうした通達が一方的に下りてきていた。
殺す前に必ず三本以上、指落とせ。
切断方法は問わない。
ガキであれ女であれ例外はない。
後に、連中がありがたがってる焚き火を目の前で吹っ飛ばす。
種族としての象徴を破壊する。
殺すのは、肉体と精神、両面から痛めつけ、たっぷり絶望させてからにしなくてはならない。
「最後に村に火ィかけて、灰になるまで焼き尽くすまでが仕事だ」
「いや、流石にそこまでは……」
ムウブは微笑を浮かべて言った。
「殺しは、国との協定違反になりますので」
タンという小さな音が、やけに大きく広場に響いた。
オウバルパが、座面に置いていた右脚を床に下ろしたのだ。
「――オイ」
声音ががらりと変わっていた。
ともなって、室温までもが低下したような錯覚に襲われる。
オウバルパの濁った双眸が険呑にぎらつき、ムウブを鋭く睨めつけた。
「やってねえのか」
低い声が、短く問うた。
ムウブは反射的に目を逸らす。
それが答えになった。
察したオウバルパが無言で腰を上げる。
「そりゃつまり、やってねえってこったろ」
恫喝めいた口調で問い質しながら、オウバルパが歩き出す。
三歩目をのそりと踏み出したとき、彼は真横に向けて右手を一払いした。
瞬間、ムウブの視界を光の斜線が過ぎっていく。
ほとんど間を置かず、右の壁際から絶叫が轟き渡った。
見ると、腹心のひとり、ピールの左肩から長い棒が生えていた。
長さ的には杖に近く、形状的には槍にも近い何かだった。
考えるまでもなく、オウバルパが無口訣で召喚した白兵戦用封貝に違いない。
淡く発光するその封貝は、ややあって霧散するように虚空へ消えていった。
ピールが思い出したように膝から崩れ落ちる。
その傷口からは鮮血が迸り、瞬く間に血溜まりとなって広がり始めていた。
「ピールさんッ」
手下たちが血相を変えて駆け寄ろうとするが、当のピールがそれを手振りで制した。
「騒ぐな。お客様の前だぞ」
脂汗を額に浮かせ、苦痛に顔を歪めながらも、彼は強引に口元を微笑の形にしようとしている。
「オウバルパ様」
ムウブは努めて静かに呼びかけた。
「私の部下は組織の貴重な人員。
無用に傷つけられては困ります」
「てめえが舐めたマネするからだ」
封貝使いでもない部下など消耗品に過ぎない。
オウバルパの表情は如実に本音を語っていた。
「お気持ちはお察しします。しかし、〈スリージィン〉の基本方針は生かさず殺さず。獲物から定期的、長期的に富を吸い上げ、組織に還元すべしとされています。相手が先住民族とは言えそれは変わらぬはず。どうかご理解いただ――」
言葉は途中で強引に遮られた。
無表情に歩み寄ってたオウバルパに胸ぐらを掴みあげられる。
「気持ちはお察しだァ?」
底冷えする声が言った。
「てめえに俺の気持ちが分かるってのか」
「リースゴ氏は惜しいことをしました」
「その名を軽々しく口にするんじゃねェ!」
いきなりの怒号だった。
飛び散った細かい唾液の粒が一滴、ムウブの頬に付着する。
直後、その場所を力任せに殴られた。
背後で部下たちがいきり立つのが気配で分かる。
血気盛んな若い衆など、ほとんど殺気に近いものを膨らませかけている。
ムウブは先ほどのピール同様、それを手振りだけで抑えつけた。
「お気に障ったのなら、申し訳ありません」
「奴らはリースゴを殺したんだぞ。あのクソ先住民族どもがよ。俺のリースゴをだッ。
奴は……リースゴには何にも代えがたい価値があった! 先住民族が何万いようが、その全てを合わせたより遥かに」
「だから、皆殺しですか」
「当然のことだ!」
「しかし上に確認をとりましたところ、それは三大最高幹部が認めた〈スリージィン〉の意思ではない、との回答でしたが」
「あ? それがどうした。それがなんだってんだ、オイ」
オウバルパは長テーブルとセットになっていた、近くの椅子を蹴り飛ばした。
白級程度とはいえ、封貝使いには違いない。
荒くれ用として相応に頑丈な造りであった木製品だが、椅子はあっけなく砕け散り、尖った危険な破片として周囲に散らばっていく。
「奴らは、この件に関しちゃ俺にでけえカリがあんだよ! 特に弟――バッツはな。もともと俺の小姓だったリースゴを引き離して、強引に下部組織に預けたのはあいつだ」
その話は聞いていた。
リースゴという名の男娼は、ムウブも総会のときに二度ほど見かけたことがある。
少女と見紛うばかりの、繊細そうな移民系であった。
なんでこんな奴が組織に。
そう思わせる人材が〈スリージィン〉には多い。
リースゴも多くの者にとって、そんな一人だった。
最初は、バッツ・ジィンファウスに近い筋の支部に、普通の構成員として入ったと聞いている。
それを性別にこだわらず、衆道にも通ずるオウバルパが見初めた。
寝ても覚めてもリースゴ。
一目で彼に夢中となったオウバルパは、ただちに直属の支部長にかけあったそうだ。
実弟の名を勝手に出すなど、かなり強引な手を使い譲渡を迫ったのは有名な話だ。
そうして最後は、念願のリースゴを手に入れた。
この件に限らず、オウバルパという男の素行の悪さには以前から上層部も手を焼いていた。
実弟への根深い劣等感が根底にあるのは明白であったため、ちょっと諫める程度ではどうにもならない。
天災と思ってあきらめるしかなかった。
だが、リースゴがこれを変えた。
彼という癒しを手にしてからというもの、オウバルパの凶暴性はなりを潜めた。
破壊的な衝動に身を任せるといったことも激減していったのだ。
少なくともニ、三年はそれでうまくいった。
一方で問題も生じた。
一介の構成員でしかなかったリースゴが、高位幹部のお気に入りというだけで上にいった事実は、多くのやっかみを育てもしたのだ。
言うまでもなく〈スリージィン〉は徹底した実力主義だ。
求められるのはもっぱら戦闘能力。
あるいは既得権益の維持拡大。
新たな販路の開拓、仕事の創出。
要は「力」か「金」による立身しか認められない社会なのである。
美しい容姿で上に取り入る――といったやり方は、組織では理解を得られにくい出世であったのだ。
また、すっかりリースゴに入れ込み、彼のために湯水のごとく金を注ぎ込むオウバルパの放蕩ぶりも問題視され始めていた。
気まぐれに部下を惨殺するようなことはなくなっても、組織の資金にまで手をつけ、毎夜毎夜の豪遊となれば、それはそれで素行の問題となる。
リースゴには立場に見合う経験を積ませ、オウバルパには少し頭を冷して貰う。
そのためにリースゴを下部組織へ一時、出向させる。
この決定を下したのは、他ならぬバッツ・ジィンファウスその人であった。
バッツはかなり徹底した合理主義者であり、身内の特別扱いも本来、非常に嫌う性格の人物として知られている。
合理主義であるが故に公正。
オウバルパについても、最初から他の者と変わらない扱いで接するべきと考えていたらしい。
むしろ、「それはあんまり」と周囲の人間から押しきられる形で、オウバルパは特権を与えられていた節がある。
だが、この件ではバッツも容赦はしなかった。
彼の命令でオウバルパは泣く泣くリースゴを――二年という短期間とはいえ――手放すことになったのである。
彼が「弟にはでかいカリがある」と主張しているのは、このことを大袈裟に表現しているだけだ。
弟の言い分を飲んで、俺が譲る形でリースゴを送り出した。
オウバルパの中ではそういう話になっているのだ。
実際、それはある意味で間違っていない。
結果論ではあれ、出向先の下部組織でリースゴは死んだ。
先住民族の隊商を襲撃した際、返り討ちにあったのだ。
下部組織といっても、連中は〈スリージィン〉の支部ではない。
独立した野盗集団で、上納金を納めるかわり〈スリージィン〉の庇護を受けているというだけの外部組織である。
当然、〈スリージィン〉とは違って国家の公認もない。
要は単なる野盗。襲われれば、時として被害者側も抵抗くらいはする。
そんな「時として」のケースに運悪く遭遇し、リースゴたちの部隊は壊滅的な被害を受けた。
リースゴ自身、敵の封貝使いがなぎ倒した巨木の下敷きになった。
仲間によってアジトに運ばれ、治療は受けたが状態が悪すぎた。
左手の小指から中指までの三本を喪失。
加えて、ほとんど全ての肋骨が潰れるように折れており、それがあちこちの内臓を突き刺していた。
早急な処置も間に合わなかった。
預かっていたリースゴを死なせた。
この事実に下部組織は震え上がった。
彼が、〈スリージィン〉の高位幹部のお気に入り男娼であることは広く知れ渡っている。
それを無惨な死体に返したとあっては、どんな報復をされるか分からない。
否、間違いなく幹部は怒り狂い、自分たちは皆殺しにされるだろう。
下部組織は事実を隠し、だが、結局は隠しきれなかった。
知らせを聞いたオウバルパは全てを放り出し、〈尾剣山脈〉を超えて下部組織の拠点へ急行。
愛した小姓の死を確認すると、彼ら自身が予測していた通り、下部組織の連中を血祭りに上げた。
無論、それだけではおさまらず、オウバルパは先住民族を見るや、誰彼かまわず捕らえ、リースゴの悲劇を再現するように指を切断し、肋骨を潰し、拷問の限りを加えて殺し回った。
そして、布令を出し、檄を飛ばした。
「反逆により我等は同志リースゴを喪った。
先住民族に裁きと報復の鉄槌を」――と。
それはもちろんのこと、ムウブの元へと届いた。
中には、点数稼ぎにとただちにこの命に従う支部もあった。
「三大最高幹部の実兄」というオウバルパの地位は、やはり無視しがたい大きな影響力を持っているのだ。
彼に従い、彼に気に入られれば……。
そんな思惑で動く者がいることは、ムウブにも理解できる。
だが本来、〈スリージィン〉支部に広く指令を送る権限は、いかに高位幹部であろうとオウバルパにはない。
彼と同クラスの高位幹部が連名で命令を出すか、あるいは最高三大幹部の承認が必要な事案なのである。
よって、ムウブはオウバルパの命令に、理屈としては従う義務はない。
三大最高幹部も「これは〈スリージィン〉の意思にあらず」と、これがオウバルパの暴走であることを正式に認めている。
「四半刻くれてやる。兵隊そろえろや」
乱れた長衣の毛皮衿を撫で整えながら、オウバルパが言った。
「それからこの辺の地図出せ。近い順からオクスゥどもの集落を潰していく」
「しかし! やつらの中にも戦士はいます。封貝使いです」
「だからどうした」
「我々が集落を襲撃して回り、〈原初の分け火〉まで容赦なく消し飛ばしていることは奴らも全体で理解しています。
既に徹底抗戦の意思を固め、戦力を集めているという情報もあるほどです」
「うざってえ!」
吐き捨てるような口ぶりだった。
「だからなんだって言ってんだ」
「奴らも死に物狂いです。文字通り、死を恐れずに玉砕覚悟で抵抗してきます。そこにこちらも数を集めてぶつければ、それはもう本格的な民族紛争になってしまう。収拾が――手打ちがききません」
「手打ち? てめえ、まだ分かってないみたいだな。最初から俺はそんなもん考えてねえよ。こりゃ端っから殲滅戦だ。民族浄化ってやつだ。俺ァ、奴らを滅ぼす気でやってんだ」
「貴方はそうでも、上は違います。三大は戦争など望んでません」
当然だ。
〈スリージィン〉は商売をやっているのだ。
金にならない仕事はしない。
狩場を焼き払い、獲物を刈り尽くして不毛の地に変えることが何になるだろう。
まして戦争など論外だった。
一グラティアにもなりはしない。
むしろ消耗し組織を弱体化させるだけだ。
「オウバルパ様。今のままでは、国も黙っていません。とんでもない大事になります。どうか、お考え直し下さい」
「うっせぇ! 収拾がつきません、取り返しがつきません……そりゃこっちの台詞だボケ。
リースゴの命はどうなる! 生き返んのか? 戻ってくるのか? だったらてめえの話も聞く価値はある」
「それは……」
「取り返しがつかねえ? それを最初にやられたのはこっちの方だ。
舐められたら終ェの商売だろが。
良いか。四半刻だ。時間までに数揃えてなかったら、まずてめえらから殺す」
一方的にまくしたてると、肩に引っかけた毛皮の長衣を翻し、オウバルパは立ち去っていく。
勝手にその辺の部屋を使うつもりなのだろう。
その主の背を、影のように控えていた一人の封貝使いが追っていく。
肩胛骨のあたりまで伸ばされた、女性のような長髪が緩やかに揺れるのが見えた。
三大最高幹部の実兄という立場とは別に、オウバルパが強権を振える所以が――あの男だ。
ジン・〝氷狼〟・フェイジョー。
〈氷狼〉のジン。
百人長クラスとの噂も高い、〈スリージィン〉でも屈指の封貝使いである。
オウバルパの護衛役として、あの男が常に傍らについている以上、誰も彼らには逆らえない。
靴音が小さくなり、遠くで扉から乱暴に閉じられる音が聞こえてくる。
途端に、部下のひとりが身を案じて駆け寄ってきた。
「御頭、大丈夫でしたか」
「ああ、俺はなんともねえ」
無意識に殴られた口元を指先で触れる。
殴られた瞬間は口内に血の味が広がったが、もうそれもない。
封貝使いの治癒力が瞬時に癒したのだ。
「それよか、ピールはどうなった」
奴は、俺と違って定命の人間だ。
胸のうちで言葉を重ねながら問う。
「今、別室で治療受けてます。なんとか命は助かったらしいですが、かなりの重傷ですね。今はポーションで眠ってます」
「そうか……」
「しかし、なんなんですかあの人は」
別の部下が、オウバルパの去って行った方を睨み据えて吐き捨てる。
「あれがバッツ・ジィンファウス様の実の兄貴たあ、到底信じられませんよ。まるでその辺のチンピラだ」
「おい、声おさえねえか」
ムウブは諫めた。
「万一、耳に入りでもしたらどうする」
「ですが、ズェフ。こりゃ、あんまりでしょう」
「こいつの言うことももっともですぜ、ズェフ。俺もリースゴって奴の話は聞いてますけどね。実力もねえのに上に行ってた奴が、現場で無能さらして死んだ。そんだけの話です」
一度口を開くと、彼らの不平は止まらなかった。
「そうですよ。襲った隊商に返り討ちなんざ、俺らの業界じゃ逆に恥じゃないですか。
それを難癖つけて暴れ回って、組織に迷惑かけて……到底通る話じゃありませんって」
「おめえらの言い分は分かる。もっともだ」
ムウブはゆっくりと手下達を見回して、言った。
「だが現状、黙ってしたがっとくしかねえ。
オウバルパ様自体は問題ねえが、あの人が連れてる〈氷狼〉がやべえんだよ。知ってるだろ。命令されりゃ、是非も問わずになんでもやるって話だ。あんな化物に暴れられたんじゃ、ここは壊滅する」
「じゃ、本当に数集めて先住民族どもと戦争やるんですか。俺らにゃ何の得にもなりゃしねえのに」
「……とにかく、時間を稼ぐんだ。
良いか、いつも言ってんだろ。組織を動かしてる人間は、ケンカも戦争も常に落し所を探りながらやるってよ。
上もそうだ。国に協定違反問われて特権剥奪なんて形は絶対に避けたいはずだからな。もう、オウバルパ様の暴走止めるための用意はしてるはずだ。もしかすると待ってりゃ、バッツ様御自らおいでになるかもしれねえ」
「御頭がそう言うんなら、俺らついていきますけどね。
で、兵隊揃えるって、どこまで招集かけるんですか」
「何がどうなるか読めねえ。とりあえず、かけられるだけ声かけろ」
ムウブが取り仕切る支部の構成員は、末端を含めると三八名。
|うち八割に当たる三〇名を人間が占めている。
必然、残りは亜人、獣人ということになるが、彼らは例外なく戦闘要員だ。
封貝使いはムウブを含め全七名。
ただし全員が戦闘向けというわけではない。
先ほど重傷を負わされたピールだが、それを今、治療している兎人がまさにその好例である。
かのウサギの亜人は非常に珍しい治癒の能力を持つ封貝使いである一方、攻撃力のある封貝には覚醒していない。
一応、白兵戦用だけは持っているが、一見する限りその辺に転がっている木の棒にしか見えず、事実ただの木の棒と大差ない働きしかしない。
それで触れると、隠れた病巣や血行の悪い場所などが光って見える、というだけだ。
戦闘には何ら使えない。
それでもムウブ以外に青級がもう一人、白級は三人いる。
これは〈スリージィン〉の同規模支部内でも比較的高めの戦力だと言えるだろう。
小規模な街なら、うまくすれば単独で陥落させることすら可能な陣容だ。
ムウブはこれら全てに招集をかけた。
人員も四〇人近くになると、全員が山砦に常駐してもいられない。
情報収集。
物資の調達。
これらの役割を担う小隊などは、むしろ留守にしていることの方が多いのも道理である。
オウバルパの指定した四半刻後、彼らを除くほぼ全員が大広間に勢揃いした。
見計らったように、ぴったり時間どおりにオウバルパも姿を現わす。
「ちゃんと揃ってるじゃねえか」
にやりとすると、彼は当然のように指揮権を要求してきた。
ムウブとしては従わざるを得ない。
だが、完全なお飾りになる気もなかった。
「――命令していただければ、手下には自分がに号令をかけます。
ウチは亜人も多いですし、オウバルパ様の直属と違って粗野で頭も良くありません。こちらで噛み砕いて指示しないと、通りが悪いでしょうから」
「そうかよ。だったら、部下の働きにはてめえが責任取れよ」
「はっ」
意外にも、オウバルパが連れてきた親衛隊は一〇名足らずだった。
しかも、最高の戦士ですら白級未満の封貝使いである。
彼らの多くは定命の人間で、装備こそ高クラスの宝貝で固めていたが、上級幹部の護衛としては心もとない。
〈氷狼〉さえいれば他はどうでも良い――。
逆に言えば、オウバルパは自分の切り札にそれだけの絶対的信頼を置いている、と見ることもできる。
実際、ムウブたちが総戦力でかかっても、〈氷狼〉のジンを仕留められるかは微妙なところだ。
先住民族ごとき、何千集まろうと物の数ではない、ということだろう。
その〈氷狼〉を含めたオウバルパ・ムウブ連合部隊は、早々に山砦を出陣した。
今回の作戦は、単に殲滅が目的ではない。
総大将の意向で、生かしたまま拷問し、住居の破壊はその後という手順を取る。
したがって小数の封貝使いより、大勢の一般兵の働きが重要になる。
威力の高すぎる封貝は、一〇人をまとめて肉片に変えることはできても、捕虜の指を一本いっぽん斬り落していく繊細な作業には向かないのだ。
必然、一般兵に進軍速度を合わせることになるため、進みは遅々たるものだった。
当然、全員に馬が行き渡るはずもない。
結局、一番遅い徒歩のぺースにならざるを得ないのである。
「――おい、もう一階地図見せろや」
黒毛ランコォル種の馬上、オウバルパが気だるげな声を上げた。
自分が応じるべきか。
ムウブが返答の声をあげかけた矢先、〈氷狼〉が無言で主に馬を寄せた。
後部の荷袋から羊皮紙製の筒を抜き取り、差し出す。
思わず、ムウブは斜め後方からその高位の封貝使いの横顔を盗み見た。
ジン・〝氷狼〟・フェイジョーは、噂通り――否、噂以上に――寡黙な男だった。
自分の分は口数多いオウバルパに譲っている。
そう言わんばかり、少なくともムウブはまだ彼の肉声をまともに聞いていない。
トレードマークになっている背中まで伸びた癖のない直毛は、麦畑を彷彿とさせる薄茶色。
移民系としては非常に明るめの色彩であるため、とにかくこれが目立った。
馬から伝わる上下運動で揺れるそれは、陽光を弾いての輝き方といい、澄んだ小川の流れを思わせるものがある。
肉体年齢は二〇歳を少し超えた程度で止まったのだろう。
およそ戦闘向きには見えない痩躯だが、実際は素手で鋼鉄の剣をねじ切るくらい容易にやってのける化物だ。
当然、実年齢も見かけはまったくあてにならない。
それを示すように、切れ長の眼は若々しい外見とは裏腹に、深い諦念を湛え虚無的に凪いでいる。
言葉同様、表情でも語るタイプではないらしく、思考はおろか喜怒哀楽すら読み取るのが難しいタイプだった。
「おい、ムウブだったか」
「はっ、お呼びで」
呼び声で、ムウブは我に返る。
「このシーホとかいう集落、このペースだとあとどのくらいだよ?」
「それでしたら――」
慌てて手綱をたぐった。
オウバルパに馬を寄せる。
完全に横並びにはならないよう、少し鼻先を下げるのは作法だ。
ほんのわずかだが、うっかり前に出てしまった者が上役の逆鱗に触れて半殺しの制裁を受ける。
この業界ではよくある話だ。
自分の幻獣型封貝〈火眼金晴獣《獣》〉の方が乗り慣れているのだが、今回は避けた。
これも同様の作法だ。
下っ端が、目上より格の高い乗騎にまたがる。
これもたいへんな侮辱にあたる。
ほとんど挑発と言いかえてもよい。
「前を失礼します。え――今が、だいたいこの辺りです」
オウバルパが広げる地図に手を伸ばし、指差しながら言った。
「先住民どもがシーホと呼んでいる集落はここ。ですから、今は三分の一ほど進んだことになります」
「んじゃ、あと四半刻ってとこか」
「おおよそその程度かと」
「なんだよ、オイ。わりと近えじゃねえか」
途端に相好を崩す。
オウバルパはそのまま勢いよく後方を振り返った。
「おう、てめえら。じきに狩りの時間だ! 気合い入れていけよ」
「はっ!」
異口同音に威勢の良い返答があがる。
だが、高らかに声をあげたのは、オウバルパが連れてきた直属の部下たちだけだった。
ムウブの部下たちは対して冷え切っている。
その温度差に気付かなかったのか、気にも止めていないのか。
オウバルパは上機嫌のまま、前方に視線を戻す。
心は、目前に迫ったお楽しみの時間に飛んでいるのだろう。
しかし、彼の口元に笑みが浮かんでいたのは、シーホに実際到着するまでであった。
「……なんだ、これは」
手綱で停止を命じられたオウバルパのランコォル種が、惰性で二歩進んだあと、蹄の音を止める。
先頭切ってシーホの村に侵入したオウバルパは、それきりしばらく黙り込んだ。
馬から下り、表情の抜け落ちた顔で村を見回す。
それからおもむろに射撃型封貝を呼出した。
脚でひくタイプの大型クロスボウから、弓のギミックを除いたような形状であった。
銃身は成人男性の腕より長く、驚くほど派手で鮮やかな紅色を基調としている。
みるからに突撃ライフル系といったフォルムであった。
オウバルパはそれを腰だめに構えると、立ち並ぶ先住民族特有の木造建築群に銃口を向けた。
躊躇いなくトリガーを絞る。
ボッという空気そのものが爆ぜるような音が轟き渡る。
一度ではない。
怒濤のごとく連続し、ほとんど繋がって木霊しはじめる。
いきなりの乱射だった。
大きめの反動を見る限り、突撃ライフル系としては威力が若干強めのタイプなのだろう。
この系統は代償として集弾性が低く、乱射すると弾がばらけるのが普通だ。
精密な射撃は至難の業である。
また通常、特殊効果もまったく乗らない。
だが、相手が建物ほど大きな的なら、これほど使える武器もない。
対物攻撃手段としてなら、すこぶる優秀なのだ。
実際、尽きることのない理力の弾幕は、オクスゥたちの住居を積木細工のように粉砕していく。
ほとんど爆散という勢いで木片が飛び散り、衝撃波は砂塵をもうもうと巻き上げる。
どれくらいしてだろうか。
薙倒すことを目的とした広角射撃で周辺の瓦礫の山に変えたオウバルパは、荒い呼吸音とともにようやく銃口を下ろした。
「これァどういうことだ、コラァ!」
金切り声をあげながら、足元の砂を蹴り上げる。
――もはや、疑う余地もない。
村は無人であった。
人っ子一人、家畜の影すら見当たらない。
金品を含め、とうの昔に逃げ出していたのだろう。
充分な時間をかけて、だ。
「ムウブッ」
「はっ。既にお知らせしましたように、オクスゥどもは種族として徹底抗戦の構えを決め込み、戦力をかき集め始めたという情報があります。この集落の奴らは、その決定にしたがった例なんではないかと」
先住民族はもともと遊牧民だ。
〈原初の分け火〉と一緒なら、氏族そろっての移動を厭うことはない。
小数のグループが分散していると、各個撃破されて滅ぶ。
ならば各地に散った部族が結集し、戦力を一極化させた方が良い。
連中がそう考えるのは極めて自然だ。
そして、事実そうし始めたのだ。
「ここの奴らはどこに消えた、ムウブ」
この状況はお前の責任。
そう言わんばかりの刺すような視線で問われた。
「いくらフットワークが軽いとは言え、家畜まで連れて遠くまではいけないでしょう。恐らく、近場の大規模集落を拠点にして、そこに集まってるんでしょう」
「その大規模集落とやらはどこにある」
「この辺ですと……チュゴ族って先住民族の氏族が比較的でかい集落を作ってます。我々の行軍速度だと、半日強の距離です」
「半日強? 夜中になるじゃねえか」
あからさまな渋面だった。
陽が暮れてしまうと、夜陰にまぎれてちりぢりに逃げられる可能性が高まる。
そのことを考えているのだろう。
「途中に、奴らの集落はないのか」
「あります。無理なく寄れる範囲に一つ。
遠回りになっていいなら二つです」
「最短距離で行く。その無理なく寄れるって集落の場所を教えろ」
オウバルパは祭壇の石段に腰を落とすと、地図を要求する。
〈原初の分け火〉を祀っていたはずのそこに、部族を象徴する灯火はない。
当然のごとく、オクスゥどもは〈分け火〉を抱えて逃げ出したのだ。
地図を見る間、オウバルパは部下たちに略奪の許可を出した。
制限時間は十割刻(約一〇分)以内と短かったが、それで充分であった。
大方の予想通り、住人たちは着の身着のまま――というのではなく、たっぷり準備時間をかけて集落をあとにしていたのだ。
金目のものなど残っていようはずもない。
結果、略奪というより調査、あるいはただ腹いせの破壊行為にしかならなかった。
最後に全ての木造家屋に火をかけてまわると、休憩もそこそこに部隊は再出発した。
次の目標は、チュゴ族の大集落への途中にあるカワヒ族の村落である。
「機動力のある封貝使いを先に行かせ、様子を探ってはどうか」
ムウブの提案も、今回ばかりは素直に受け入れられた。
好きにしろ。
事実上の許可を得て、ムウブは手下の封貝使い二名を偵察として派遣。
これによって得られた情報通り、一刻(約二時間)足らずで到着したカワヒ族の住み処ももぬけの殻になっていた。
事前に知ってたこともあり、今度はオウバルパも暴れない。
「おう、今日はこの村で一泊するぞ。手下ども休ませて飯食わせろ」
指示を出し、自分は族長が使ってたと思わしき邸宅に入っていく。
しばらく広場で全体の指揮におわれたムウブは、一通り仕事を終えると、オウバルパの元へ戻った。
「オウバルパ様。この辺に詳しい部下が合流しました。やはり連中、ここ数日であそこに人を集めてますね。防備を固めて迎え撃つつもりです」
「どれくらいの規模になってんだ」
食堂の上座に陣取ったオウバルパは、椅子を後ろに傾け、両脚をテーブルに乗せた格好でくつろいでいた。
「詳しいことは分かりません。数百人規模かと思います」
「なら、封貝使いも何人かいそうだな」
「まず、間違いなく。奴らにとっては背水の陣です。たとえ封貝を持っていなくても、奴らは最後の一人になるまで抵抗してくるでしょう」
「知ってるよ、お前に言われなくたってな。俺がいくつ奴らの集落を消してきたと思ってんだ? あのアバズレ女神の焚き火を消そうとすると、奴ら血相変えて抵抗し始めるからな。
それを力尽くで抑えつけて、火ィ吹っ飛ばしたときのあの発狂っぷりほど愉快な見世物もねえ」
言って、オウバルパは腰のあたりを手で払うような仕草を見せた。
そこに飾ったベルト状の装飾を揺らしたのだ。
カラカラと乾いた音をあげるそれば、良く見れば人骨であった。
斬り落したオクスゥの指の骨を加工し、細く頑丈な糸で繋ぎあわせた醜悪な飾り物である。
使われている指は一〇本分では明らかに少ない。
二〇か三〇か。
一体何人分の指を集めたものなのか、もはや想像もつかなかった。
「手ェだすと奴らが顔色変えるものは三つある。〈分け火〉とガキと、そして巫女だ。お前もよく覚えとけや、ムウブ」
「はっ」
「明日は村人全員とっつかまえて、まずあのでかい焚き火がある広場に集めろ。で、全員が見てる前で巫女をズタズタに犯す。それから指落として殺す。
ショウを最大限盛り上げるには必要な手順ってもんがある。これはリースゴの弔いだ。作法は無視できねえ。
――おい、ムウブ。チェゴ族の巫女ってのはどんなやつだ。情報あんのか」
「はい。ネネとかいうまだ一〇代の小娘だそうです」
「ハッ」
オウバルパが下卑た笑みを浮かべた。
「ババアじゃなくて良かったぜ。衆人環視のもと犯すとは言ったが、干涸びた年増はごめんだからな」
なにが可笑しかったのかは分からない。
部屋の四方を取り囲むようにずらりと並んだオウバルパの取り巻きたちが、どっと哄笑の声をあげた。
「あと、これは未確認の情報なのですが――」
ムウブは遠慮がちに口を開いた。
ここいらで、部下の持ってきたとっておきの手土産を披露するのも悪くない。
このチンピラに恩を売っておくのも悪くない。
そんな思惑が開かせた口だった。
「あ? なんだ」
「東部でリースゴ氏が返り討ちにあったというオクスゥの隊商なのですが……」
オウバルパの顔からすっと笑みが引いた。
それと分かるほど場の空気が凍り付く。
ビシリと氷のはる音が今にも聞こえてきそうだった。
「おい。その名を出すなら覚悟して口開けよ、ムウブ」
封貝使いとしてのオウバの殺気が膨れあがる。
格下とはいえ、相手は〈氷狼〉の飼い主だ。
二の腕がにわかに粟立つのが分かった。
「はっ。重ねて未確認の情報であることを前置きさせていただいた上で、今申し上げた巫女のネネが、その隊商にいた疑いがあることをお知らせします」
聞いたオウバルパは、じれったくなるほどの時間をかけてテーブルから両脚を下ろした。
それからさらに無言の数拍をおいて、ようやく命じる。
「詳しく話せ」
ぞっとするような低いトーンであった。
「――手下が入手してきた情報によれば、チェゴ族のオキシオという有力者を中心に据えた行商部隊が、当時インカルシ周辺をうろついていたという話があるそうです。
巫女のネネは幼少のみぎりから異様なほど算術の才に長けているらしく、氏族から大規模な商取引にの行商が出る際は随伴することが多かったと」
「おい」
オウバルパが鋭く叫びながら、取り巻き達に視線を転じた。
「確かリースゴをやった隊商には、やけに丁重に扱われてた若い女がいたんだったな」
「はい」
「確かにそんな話もあったかと」
親衛隊たちが口々に声をあげる。
だがそれは、オウバルパが卓上に拳を叩きつけるけたたましい音で、唐突に遮られた。
「……ついに見つかったってことかよ」
目を血走らせたオウバルパが絞り出すような囁き声で言った。
その口元に、凄絶な笑みがゆっくりと広がっていく。
「おう、ムウブ。その情報持ってきたてめえの手下、今すぐここに連れて来い。あと明日まで関係する情報を集められるだけ集めろ。特に、その隊商にいたメンツの詳細だ」
「はい。ただちに」
ムウブは一礼し、その場で踵を返した。
退出しようと出口に向かう途中、背中にオウバルパが独り言つ声が聞こえた。
「巫女のネネ……オキシオ……そうか。明日が楽しみで今夜は眠れそうにねえな」




