屋上のギャラルホルン
004
泥水を大量に吸ったスポンジのように重たい身体を引きずるようにして、千葉ヨウコはなんとか寝台まで辿り着いた。
身体を投げ出し、重力加速にまかせるままベッドに突っ伏す。端から見れば、木こりに切り倒された巨木そっくりに見えたことだろう。受け身も何もない。枕に顔から突っ込む。
ただただ疲れ切っていた。
思考は限りなく鈍化している。呼吸すら面倒に感じられた。
このまま墜ちていくように眠りにつけたら――
そんな願いだけがぼんやりとあったが、しかし、なぜだか一向に寝付けなかった。
結局、疲労したといってもそれは精神のみなのだった。肉体が休息を欲しているわけではない。システムはフリーズしているが、電力は通常通りに供給され続けている。暗がりのなかで虚しくモニタの青白いバックライトだけを輝かせた、役立たずのコンピュータ。それが、今の己なのだとヨウコは自嘲的に理解した。
静かな夜だった。
もともと非常に防音のしっかりした建物ではある。しかし、夜陰の静謐とはこれほどのものであったか――。ベッドに突っ伏してしばらく、遠く足音が聞こえてきた。今夜はそれが地響きのように感じられる。
足音は限界まで近く、大きくなったところで止った。
「ヨウコ、起きてるか?」
ややあって、父のいつもより少し柔らかな声が、ダイレクトに聞こえてきた。
そういえば、ふらつきながらドアを開けたあと閉じた覚えがない。
普段ならあり得ないことだった。
「あのな、ヨウコ」
返事は期待していなかったらしい。聞こえていなくても構わない。そんな気配さえ漂われながら、訥々《とつとつ》と言葉がつむがれていく。
「俺と母さんは、その、今日のことは事前に一度聞いていた話だった。いや、はじめて聞く部分もあったけど……。とにかく、お前はすべてが初めてで、だから、ショックは我々とは比較にならないものだったと思う。時間が必要だと思う。俺と母さんは寝室にいるから。話たいことがあれば、いつでも来てくれ。頼むから独りで泣いたりはしないでくれ。せめてみんなで……家族で分かち合おう。そうさせて欲しいと、俺は思ってる」
それだけだ。もし、話しかけたことが気に障ったなら許してくれ。
父はそう告げて、話を終えた。踵を返そうとする、微かな衣擦れの音が聞こえた。
「――父さん」
彼が一歩を踏み出すより早く、ヨウコは身体を起こして呼びかけた。
「うん?」
返った声は優しかった。
「ありがとう」自然に出た言葉だった。そしてその一声で、意識にかかった霧のようなヴェールが一部晴れた。「母さんにも伝えておいて。私のために、一週間も我慢してくれて感謝してるって。父さんが心配してるみたいに、私は独りで泣いたりしないから。少し休んで落ち着いたら、ふたりの寝室に飛んでいって甘えるつもり。覚悟してて」
「伝えとくよ。それと、覚悟の方もしておく」
「うん」
足音が遠ざかっていくのを聞きながら、ヨウコはベッドからおりた。
その時ようやく、肩にバッグの革紐がかかったままであることに気付いた。
苦笑しながらクローゼットに向かい、着替えた。それからPCを起動させつつ、モニタの電源を入れる。時刻を確認すると、とっくに日付が変わっていた。真夜中といえる時間帯だ。シゲンに学校から連れ出されたのが夕方。あれからもう半日近くが経過した計算であった。
WEBブラウザを立ち上げ、ポータルサイトのニュースページを開いた。おめあての失踪関連動画は、探すまでもなくトップで特集扱いだった。
とりあえず最新の物を再生する。同時に別タブで失踪者リストを開きつつ、持って帰ってきた資料をデスクに広げた。
シゲンからこの書類を受取ったのが、恐らく昨日の十七時前後。そして、その十七時から現時刻までに失踪する予定の人物は、一覧を信じるなら十三人いることになっていた。
もちろん、誰かが失踪したとして、必ずしもそれが即日ニュースになるわけではない。むしろ、そんな例は稀だろう。家族が警察へ捜索願を出すにしたところで、一晩待ってから、というケースも多々あるわけだ。よほど状況が特殊でなければ、消えた数時間後に〈果て〉の被害者としてニュースになることはないのが現実なのである。
だが、今夜はその「よほど」の事例が発生していた。
リストの上から順に四番目。
大村健嗣。KENJI OMURA。日本。男性。四十六歳。
これは、ヨウコが「東雲達郎」の名で知る、中堅どころの俳優であった。主演を張ることこそないものの、多方面の作品に顔を出すいぶし銀。名脇役というやつだ。名は知らずとも、この国に住んでいれば八割型の人間が顔を見たことくらいはあるだろう。
ヨウコはその事実を今はじめて知ったが、東雲達郎は芸名であったらしい。リストには本名の大村名義で表記されており、これは電子版の新聞記事でも確認できた。調べれば、年齢あたりにもプロフィールとのギャップがあるのかもしれないが――
ともあれ、彼は今日の夜に失踪し、数時間後には全国民がそれを知っていたようである。
事情を探ってみると、その経緯には国営放送の大河ドラマが絡んでいた。
すなわちロケ地での撮影中、複数のカメラに狙われながらの演技シーンでいきなりいなくなったのだ。
まさに消失。
しかも、一般エキストラの環視のさなかであったというから、関係者からすれば条件として最悪の部類だろう。実際、エキストラによるネット拡散で、顛末はまたたく間に広がってしまっている。こうなると事務所も業界も隠しおおせない。少なくとも一時間後には、臨時速報のテロップがTVに出ていたらしい。新聞のネット版記事を見ても、十九時台の更新でもう速報があげられていたのが確認できた。今、視聴している最中の動画も、この名脇役の神隠しをメインに伝えるものであった。
ヨウコは抗ブルーライト眼鏡を外して、卓上に軽く放った。
背もたれに体重を預けて天井を仰ぐ。目を開けたまま深く嘆息した。
――早くも決まりってわけ?
これで少なくとも、シゲンの失踪者リストがデタラメな代物である可能性は淡く、儚く消え去った。あっさりと否定された。
こうなると、残りの十二人も遅かれ早かれニュースになるんでしょうね。
ヨウコは諦観と共に、それを認めざるを得なかった。そもそもからして、一%でも偽物だと言い張れる要素があれば、両親がとっくにそうしていたはずなのだった。だが、今日の彼らに許されたのは、終始、沈痛な面持ちでうつむき続けることだけであったのだ。
ヨウコは天井を見上げたまま、前髪を後ろへ撫でつけるように掻き上げた。
何の前触れもなく、カズマの顔が脳裏に浮かんだ。
それで思い出す。
シゲンはヨウコに。サトミはカズマに――。今日の話は、彼にも同時に伝えられたはずなのだ。
ヨウコはすぐに立ち上がった。
玄関を出るまではこらえられたが、そこから先は自然と小走りになっていた。
向かったのは彼の住まう隣家ではない。コンドミニアムの屋上だった。
予感があった。
カズマはそこにいる。自分を待っている。そんな予感だ。
通常ルートである屋上へのドアは、常に施錠されているため使用しない。かわりに、非常口のある西側の端まで足を急がせた。
その誰も寄りつかない壁際に備えられたタラップは、知る人ぞ知る第二のルートだ。これを梯子の要領で登っていくと、マンホールのような円形の蓋に突き当たる。留金こそあれ、こちらには鍵自体が存在しない。ヨウコは潜水艦の――もしくは戦車のハッチに似た重たい跳ね上げ扉を肘で押し上げ、ようやく人ひとりが通り抜けられるスペースを這い上がった。
月の明るい夜だった。ほとんど欠けの見られない、真円と見紛う月だ。
規則正しく並んだ無数の太陽光パネルが、降り注ぐその光を弾いて青白く輝いている。
とはいえ、フェンスで四方を囲まれた屋上は無駄なまでにだだっ広過ぎる。遠くのオブジェクトは夜闇に潰れて、流石にシルエットですら認識が難しかった。
それでも、ヨウコは一番奥に佇む彼に気付いた。
貯水タンクのコンクリート土台に浅く腰かけた、カズマの姿である。
この場所に来るとき、彼は食料品や暇潰しの道具を持ち込むのが常だ。楽器が選ばれることも多く、今夜はその夜風に乗る音色からブルースハープを忍ばせてきたことが分かった。別名〈テンホール〉。文字どおりわずか十個の穴しか持たない、極めてシンプルな構造の小型ハーモニカである。
もうヨウコの存在に気付いているはずだが、カズマは特に反応を見せなかった。
多くのプレイヤーとは対照的に、彼は演奏中、ほとんど身体を動かすことがない。表情も特別変化はせず、故にそのパフォーマンスはどこか淡々として見える。
そんなカズマのテンホールから漂い出す調べは、波間を漂うように一音一音がゆっくりと穏やかだった。粒だった音が不思議なほど煌びやかな印象を抱かせ、ヨウコに陽光を反射してキラキラと光る透き通った川面と、その豊かな流れを思わせた。ときおり涼やかに揺れるビブラートは、さながらそこを流れていく鮮やかな新緑色の葉舟だ。
カズマの音楽はいつもそうだった。空間を支配し、そこだけ別の世界にしてしまう。
たとえば真夜中の屋上に、うららかな春の午後の川べりを鮮やかに描き出す。ピアノが置かれただけの空虚な体育館を海猫の鳴く大海原に変え、通りかかる放課後の生徒たちにふと潮の香りを思い出させる。気付くと身体にリズムを刻ませている。
ヨウコの知る限り、彼は生まれながらに音楽をたずさえ、気付けばか様々な楽器を、その奏法を知っていた。
そうか。カズマと会えなくなるなら、もう二度とこんな時間を過ごすこともなくなるのか――。
今更ながらにその事実を思い知らされ、ヨウコは無意識に服の胸元を握りしめた。
やがて、最後の一音がつむがれ、それが空間に溶け込むように消えていく。
余韻さえも薄れ、そこはなんでもない夜の屋上に戻る。
カズマがマウスピースから口を外し、軽く息を吐いた。そして言った。
「こんばんは」
「こんばんは」微笑んでヨウコは返した。「ブルースハープなのに、ジャズ?」
「ブルースハープだからブルースしかダメって法もないしね」
「今の即興よね? はじめて聴いた」
カズマは服の裾でカバープレートを拭きながら、うんと頷いた。
「メロディラインとか全然違うと思うけど、敢えて言うならムーンリバーみたいな感じがした……のかな?」ヨウコは言って、カズマの隣に同じ格好で腰を落ち着けた。「少なくともアンディ・ウィリアムスの歌は合いそうだった。私の気のせい?」
これにはカズマが軽く声を上げて笑った。
「どうだろうね。でも、川ってイメージは当たってるよ。どっちかっていうと天の川の方がイメージに近いんだけど」
「私は春の小川っぽいと思った」
「間違いじゃない」カズマはぼんやりと星空を見上げつつ、認めた。「今日は月がそれだけ明るいしね」
〈果ての壁〉の存在が、世界から多くの人工光を奪ったことも大きいのだろう。古い世代の人々が口を揃えて証言するには、近年、夜空に驚くほど星が増えたらしい。
「そうだ。ヨウコ、お腹すいてない? 僕、ホットドッグ持ってきてるんだよね」
言うと、カズマは嬉しそうに足下のバッグを漁りだした。保温バッグに手製の料理を入れてきたらしい。カレー粉で味付けした刻みキャベツ入りのホットドッグは、彼一番の好物だ。
「吹く前に食べるのは良くないから、終わるまで我慢してたんだ。はい、ヨーコの分」
「まったく、この男は」緊張感の欠片もない、と苦笑しつつ、差し出されたつつみをありがたく受取った。「私が来ること、分かってたの?」
「だって、テストの点悪かったり、親と喧嘩したりして家に居づらくなったら、ヨウコってばすぐここに来るじゃないか」
「テストの話はあなただけでしょ。私は恥じるような点を取ったことなんてありません」
ハハ、と彼が調子よく笑う。それから、「どうぞ」と紙コップを差し出してきた。
月明かりだけでは判別しにくかったが、香りで分かった。珈琲だ。
午前二時のカフェイン摂取。普段なら論外であったが――どうせ今夜は眠れない。
肩をすくめる思いで一口すする。
と、それがスイッチであったかのように、不思議に思えるほど食欲をかきたてられた。神経の麻痺が解け、各部のセンサーが正常に稼働し始めたのかもしれない。自分がかなりの空腹状態であったことを今更ながらに思い知らされる。
思えば、今日は夕食をとっていないのだった。シゲンは会合の途中でディナーをオーダーしたが、誰も――シゲン本人を除いて――それに箸をつけられるような精神状態ではなかった。緊張で口内がからからに乾いたため、水だけは何度もおかわりしたのだが。
「うーん。やっぱりちょっとだけ冷えちゃってるね」
「でも、美味しい」
「そう?」カズマが飾り気のなく喜色を露わにする。「なら良かった」
そのやり取りを最後に、ふたり無言でホットドッグに向かった。
ほとんど一気に平らげてしまっても、しばらく沈黙は破られなかった。ただ、包み紙を片付ける乾いたノイズだけが場を賑わせる。
それすらも途絶えてしばらく、
「……カズマもさ、今日、私の話……聞いたのよね?」
随分と中身の軽くなった紙コップを両手で抱え、ヨウコは訊いた。
「うん」自分のカップに二杯目を注ぎつつ、カズマが答えた。「ヨウコに言われて図書室で罰の書写してたら、なんかクラウセンさんがいきなり現れてさ」
「へえ、シゲンさんのリムジンだったけど、そっちにはあの人が迎えに行ったんだ」
仕草で珈琲のおかわりを問われる。ヨウコは自分の紙コップを突きだしてそれに応じた。
ルネ・クラウセン。
その名前は、もちろんヨウコも知っていた。馴染みがあるとさえ言える。同じ製薬会社に勤める、シゲンの同僚の名だ。いわゆる同期の仲というやつらしいが、付き合い自体はもっと古く、就職以前、学生時代からの親友なのだと聞く。部屋こそ離れているが同じコンドミニアムに住んでいることもあって、楠上家には今も頻繁に出入りしている。千葉・楠上両家の合同ホームパティを通して幾度となく顔を合せているため、ヨウコとも一応以上の面識があった。ノルウェー系の移民で、独身。天然のブロンドの映える、陽気な紳士だ。
「いやあ、学校とはイメージ結びつかない人だからねえ。流石に驚いたよ」
珈琲をすすりながら、カズマはのんびりと笑う。
「それからサトミさんのところに?」
「うん」
「どこまで聞いたの。リストは見た?」
「見た。どうして、サトミさんがあんなリストを持ってるかも、大体の事情を話してもらった。他にも、どうして夫婦でも家族でもないシゲンさんと一緒にいるのかとか。世界に〈果て〉が生まれた切っ掛けのこととか」
「そして、私がこれからどうなるかも、ね」
「うん。聞いた」
「どう、思った? カズマは……あれを聞かされて」ヨウコは意味もなくサンダルの爪先同士をこすり合せた。その動きを同じくらい無意味に目で追いながら続ける。「私はどうやら〈果て〉に引きずり込まれて、消えて、しまうらしいけど……」
「どんな時でも信じていられる人間を三人挙げろといたわれたら、僕の場合、サトミさんとシゲンさんと、ヨウコがそうだ」
きっぱりとした声が言った。
「だから、サトミさんが話してくれたことは、どんなことであれ微塵も疑うつもりはないよ。あのひとは本当のことしか話してないし、彼女が口にしたならそれは真実なんだ。少なくとも、サトミさんにとっての真実ではあると思う」
「うん」
「でも、想像するのは難しいね。やっぱり。ヨウコがいなくなるとか、消えるとか」
「ピンとこないよね」
「それだ」カズマがヨウコに人差し指を向ける。「ピンとこない。現にヨウコはここにいて、こうして話してて……生まれた時からずっと、一晩寝て朝が来れば当たり前のように顔を見れる存在だったわけだし。そんな毎日が一週間以内に終わって、もう二度と戻らないとかさ。そう決まってるんだとか言われても、どうしたってリアルには考えれないよ」
じっと注がれていたカズマの視線が、ふいとヨウコから外される。
彼は星空を仰ぎ、どこかおどけたような口ぶりで続けた。
「大体、〈果て〉に捕食されるってなにさ。なんたらレヴェルまで分解だとか、エネルギーに還元だとか、僕にはちょっと難しすぎる。あとブラックホールがどうとかもさ。あれだって分からない。正直、話の半分以上はアタマ素通りしてたよ」
ヨウコは乾いた笑みで応じた。「まあ、カズマはそうかもね」
ブラックホール。その表現なら、ヨウコの方でもシゲンがまったく同じように用い、それをもって一連の失踪事件が説明された。
「たとえるなら〈果て〉とは――」と、夕食のヒレ肉をナイフで切り分けようとしていたその時の彼の仕草まで、ヨウコは鮮明に思い出すことができる。「特異点のようなものだと考えて欲しい。言い方を変えるなら、ブラックホールだな。聞いたことくらいはあると思うが」
特異点。主に数学や物理学の分野で使われる学術用語だ。
その業界でのルール、常識というものが当てはまらない「例外」のことである。
天文学の領域においては――シゲンの言う通り――ブラックホールの中に存在する、重力の特異点を指す。
「知ってのとおり、重力とは引力の一種だ。ここでは〈中心に向かって引っぱる力〉だと単純に考えてもらって構わないと思う。ブラックホールとは、この引っぱる力が強くなり――、なり過ぎてしまったものだ。〈引っぱる力〉があまりに強くなりすぎ、自分自身までもが己の中心点へ向かって押し潰されるように引き寄せられ、ついには崩壊を起こしてしまった重力暴走の塊だ」
そんなものへ不用意に近付きすぎた運の悪い宇宙船があったとしたら、どうなってしまうか。
大方の予想通り、宇宙船は掃除機に狙われたティッシュペーパーさながら、特異点の方へと吸い寄せられていく。その吸引力はやはり掃除機同様、離れていればいるほど小さくなるため、すぐさまエンジンを全開、反対方向へ退避すれば、出力次第では逃げ切ることもできるだろう。
だが、貧弱なエンジンでは吸い込む力に抵抗しきれない状況も、時として想定される。
この場合、宇宙船はアリ地獄にとらわれた虫も同然だ。やがて、どんなに強力なエンジンを吹かしても――たとえ光の速さで驀進しても離脱できない、そんな死のラインに到達し、越えてしまう。
哀れティッシュは掃除機の、小虫はアリジゴクの腹の中に、というわけだ。
「〈果て〉の失踪者リストに載ってしまった人間とは、つまり特異点に近付きすぎてしまった宇宙船と同じなのだ」
ヒレ肉を優雅に口元へ運びながら、シゲンが続けた。もちろんその時、ヨウコと両親の前にも同じメニューの皿が並べられていたが、こちらは一切手が付けられないまま、ただ冷めていくのを待つばかりであった。今思い返しても、ウェイターがいつそれを運んで来たかすら、ヨウコは思い出せない。
「――もちろん、肉体が文字どおりの意味で〈果ての壁〉に近付いたと考えるのは誤りだ」
多少の表現の違いはあれ、確か、シゲンはそのように説明を続けたと記憶している。
「実際、ここから車で少し走れば〈果ての壁〉には辿り着く。だが、仮にそうしたところで、我々は〈壁〉に吸い込まれたりしない。つまり物理的な距離感の話ではないということだ。そうではなく、自分でも知らないうちに――そうだな、魂の距離が〈果て〉に接近してしまった、とでもいうように解釈して欲しい。運の悪い人間が、自分の意志とは関係なく癌になり、知らない間に死に接近してしまうことがあるのと同じだ」
〈果て〉は特異点のように、あるいは死のように、近付いたものを捕食する。
その手にからめ捕られ、脱出不能の〈シュヴァルツシルト半径〉を踏み越えてしまった獲物は――
ブラックホールの穴に落ちた宇宙船がそうであるのと同様、強制的に殺人的な加速をつけられ、引き千切られ、元の形を留めていられなくなる。潮汐力の純然たる暴力は、かつて宇宙船であった物を素粒子レヴェルまで分解するのだ。
そして、二度と帰れない領域に連れ去っていく。
この話を聞いているとき、ヨウコの脳裏に浮かんだのは〈エンジェルフォール〉であった。南米大陸はギアナ高地にあるという、世界最大落差を誇る伝説的な滝だ。
この滝から流れ落ちる大量の水流は、距離八〇〇メートルを越える自由落下の途中、徐々に拡散していき、最後は霧状になってその形を失ってしまう。あまりに落差が大き過ぎるのだ。それ故、〈エンジェルフォール〉には滝壺が存在しない。地表に到達する前に全ての水分が空気に溶け込み、下界で荒れ狂う暴風雨の一部となる。
「〈果て〉の向こうにいった等と噂される失踪者たちが誰一人として帰ってこないのは、おおむね今言ったような末路を辿るからだ」
シゲンは青ざめる千葉家の面々を見やりながら、そう無慈悲に告げたものだった。
「人間は生命、意思、記憶、個、形、存在を保ったまま〈壁〉を越えることはできない。彼らは純粋なエネルギーに還元され、〈果て〉の向こう側にある世界の一部となる。これは俗にいう〈土に還った〉というのと実質、なにも変わらんわけだ」
では、夏梨は――
消えてしまった自分の友人、柴田夏梨もそうなのか。
彼女もまた粉々になるまで引き裂かれ、〈果て〉の向こうの世界に散っていったということなのか。
唇をわななかせながらのヨウコの問いにさえ、シゲンは平然とした口調で答えた。
「彼女の身にも、まさにキミの言う通りのことが起ったはずだ」そう、彼は言った。「海に落ちた雨粒は、もう雨粒ではなく海だ。混じってしまった雨粒だけを海から再分離することが不可能であるように、エネルギーとして〈果て〉の一部と化したものを元の人間に戻すことはできない。こればかりは、たとえ〈マクスウェルの悪魔〉でも無理な話だ。完全に、不可逆な変化なんだよ」
その宣告は、千葉家の面々を絶望の底へ突き落とすに十分なインパクトを伴っていた。
が、なおもシゲンの話は続いた。
問題は――、という言葉でそれは間髪入れずに語られていった。
意外にも、千葉家に一筋の曙光を差しかけるような、そんな内容を伴って、である。
「問題は、それら通常のパターンに属する人間が、一切の情報、予備知識を持たず、当然のこと自分がリスト入りしている事実さえ感知せぬまま、気付いた時には消え去り、あちらに取り込まれてしまっているものだ、ということだ」
つまり、柴田夏梨のような失踪者は自分が〈果て〉の向こうの世界に喰われることなど知らず、気付いた時には死んでいる。
「それでいくと、ヨウコ君。キミはこれで稀有な例外となったことになる。なぜなら、我々からリストの存在と〈果て〉についての基本的な情報を得たからだ。キミは本来、人間が絶対に知り得ないはずの、自分がいつ死ぬかという未来を知ったのだ」
これは〈果ての壁〉を越え、個と精神と記憶を維持したまま「こちら」と「あちら」を行き来できる、〈封貝〉の持ち主にむしろ近しいポジションと言える――。
「ヨウコ――?」
不意に耳元から聞こえたカズマの声で、ヨウコは我に返った。
「大丈夫? なんかぼんやりしてたみたいだけど」
「ゴメン。ちょっと、今日聞かされた話を思い出してただけ」取り繕って答える。「想像よりリアルに回想できたもんだから、ちょっと意識が入り込んじゃってたみたい」
思い返すだけでも意識を根こそぎ刈り取っていかれる。シゲンの話には、確かにそれだけの破壊力があった。平常心と日常の破壊だ。
「まあ、無理もないよ」自分も同じだ、というようにカズマは微笑を向けてくる。
「もう大丈夫。で、なんだっけ」
「いや、だからさ。一週間くらいなら、学校も休んで一切の外出を控えてさ、長い鎖で自分と柱を繋いでおくとかすればいいんじゃないかなって」
「それこそ、刑務所みたいな檻の中に入るとか?」
「うん」大まじめにカズマは頷く。「それで連れ去られずに済むなら、少しくらいの不便も我慢できるでしょ。なんなら僕も付き合うからさ」
「無理よ」
「ええと」彼が苦笑交じりに頬をかく。「嫌ってこと?」
「じゃなくて、無意味ってこと。だって、〈果て〉に引っぱられたとかいって神隠しが怪談話みたいになってるのは、それこそ密室みたいなあり得ない状況下から人がいなくなるからじゃない。拉致とか誘拐とか、そういう人為的な痕跡が見られる話なら私だってこんなに悩んだりしない。でも、今日の役者の例だってそうだったでしょ。ニュース観てないの? 大河ドラマの撮影してた俳優が、複数のカメラでばっちり狙われてる最中に消えたのよ? しかもロケ現場には一般参加の百人近いエキストラだっていて、全員が彼をその目で見てたのに。それでも誰ひとりとして消失の理屈や理由を説明できてないんだから。どう考えたって人間業じゃない。これでどうしろってのよ」
そもそも、刑務所の中から消えた例はもうとっくに報告されているのだ。
誰もいない所に独り籠もっていても無駄。大勢に囲まれていても無駄。誰も防げない。なんとしても抗えない。だからこそ、〈果て〉関連の失踪はこれ程までに恐れられるのである。
「だとしたら、警備の人も無意味ってこと? この建物の敷地内にいる間は、二十四時間体制で遠巻きに守ってくれる人がいるって、今日、サトミさんから聞いたけど。彼らは無駄働きってことなの?」と、カズマは思い出したようにきょろきょろしだす。「今も徹夜してどこからか見守られてるのに」
「ああ、その話ね」ヨウコは肩をすくめた。「私もシゲンさんから聞かされた時は、それはそれで驚いたけど」
まるで政府の高官のような扱いだと言えた。姿を見せないとはいえ、自分に――俗に言うところの――ボディガードがつくなど、これまでの生活感からは考えられない。
否、正確に言えばこの認識すらも正しいとは言えなかった。彼らはこれまでの生活の中にも、ヨウコに知られないところで存在していたからだ。生命の期限が一週間に迫った今、警戒レヴェルの段階が上げられた。人員も増えた。そういうことに過ぎない。
これもまた、シゲンから今日になって明かされた事実のひとつだった。
つまり、このコンドミニアムには特殊なセキュリティが敷かれている。
もっというなら、最初からそれに備えた設計で作られた施設が、この集合団地なのだ。
元々は〈果て〉の向こう側を知るシゲンやサトミ、その扶養家族であるカズマを守ることを目的としてとられた安全策であったという。
そこにヨウコが加わることになったのは、シゲンの表現をそのまま借りれば「恐るべき」偶然が絡んでいた。
「――カズマの誕生を目前に控えたかつての我々は、安心して暮らせる場所、保有している数々の貴重な情報を安全管理できる拠点を必要としていた。そのために作られたのが、現在の我々の住み処なんだよ」
シゲンのそんな言葉を思い出す。あの時の彼は確かに諦観混じりの苦笑を浮かべていた。
「だから、一般開放していた何部屋かに千葉という若い夫婦が隣に越してきて、やがて生まれた娘に蓉子の名をつけた時は、実際、運命的なものを感じたよ」
それは、さしもの彼らも予測していなかった事態であるらしい。
彼らも、リストにある人間を全て記憶した上で生活しているわけでもないのだ。しばらくは、この奇跡的符合に気付かなかったほどだという。そもそもから、セキュリティがもっぱら〈果て〉の向こう側からの脅威に向いていたことも、後手に回った理由のひとつだった。
ともあれ、ヨウコの存在は無視できない危険因子となった。同い年の隣の子となれば、カズマとからまないほうが不自然であるからだ。いずれ来るその日に、ヨウコが消える日に彼が巻き込まれでもしたら――
当然、シゲンたちはこの危険因子の放逐を含め、様々な対処を考えたという。
その気になれば、千葉夫妻を幼い子どもと一緒にコンドミニアムから追い出すこともできた。方法はいくらでもあった。
だが、最終的には遠ざけるより手元で管理する道がとられた。
「運命的なものを感じた」と皮肉に言いたくなるレヴェルの縁である。下手に断ち切ろうとする努力が、かえって状況の複雑化を招いてしまう可能性もある。そんな危惧があったためだ。
そうして出来上がったのが、今までヨウコが日常だと信じて享受してきた環境であったのだ。
「結局――日常なんて嘘みたいなものだったってことよね」
自分でも驚くほど低い声が、他人事のように言った。
深く嘆息してヨウコは冷たく続ける。
「本当に大切な部分を誰かに隠されて、そうやって与えられてた紛い物を自分の世界だと思ってずっと生きてきた……。私が信じてたものってなに?」
「うーん。難しいね。立場としては僕も同じようなもんだけど」
カズマが座ったまま足をぷらぷらさせてつぶやく。
しばらくして、彼がふと思い出したように言った。
「ヨウコはさ、最初にこの屋上に入ったときのこと、覚えてる?」
「なによ、唐突に。今、そんなこと関係あるの?」
棘のある言葉で返しながらも、ヨウコは思い出していた。
忘れようにも忘れられない。この屋上に出入りできる事実を発見したのは、ヨウコ当人であったからだ。
もう十年近くになるだろうか。当時、ヨウコはカズマを一方的に鬼に任命して、よく隠れんぼに興じていた。わざと色んな――どうあっても見つかりそうにない――場所に身を潜めては、彼を困らせてほくそ笑んでいた。
不法投棄された冷蔵庫の中。ドラム缶の山の中。時に、自力で脱出不可能な場所に入ってしまい、大人たちを巻き込んだ大騒動に発展させてしまったことすらある。
「ここに入れるなんて思わなかったから、あの時は難儀したよ」
当時の苦労を思い出したのか、カズマは複雑な笑みを浮かべて言う。
どこか遠い口調だった。
「あなたがなかなか見つけてくれないもんだから、暇になって歌ったり声かけたり、色々ヒントあげたんだけどね」
「そうそう。でもいくら探しても声はすれども姿は見えずでさ」
だが結局、カズマは屋上に辿り着いた。
そしてヨウコの姿を見つけた瞬間、満面の笑みでそのことを宣言した。
「――ヨウコは確か、あの辺にいたよね」
カズマは立ち上がると、太陽光パネルの影あたりを指差した。
そう。あれは暑い夏の日のことだった。だから、ヨウコは日陰を求めたのだ。太陽に向かって角度のついた発電用パネルの裏側は一番の適所だったのだ。
「このマンションだけに限らずさ。近所の道も、駄菓子屋もスーパーも学校も、全部そうだよ。場所を言われれば、そこにまつわる過去の出来事がぱっと思い浮かぶ。で、そのイメージの中にはいつもヨウコがいるんだ。僕にとって世界ってさ、シゲンさんとサトミさんと、ヨウコとの思い出を刻みつけておく巨大な記憶装置だったんだ。小さい頃からずっと――多分、今でもそれは変わらない」
少し驚いて、彼を見た。
こんなことを幼馴染の口から聞いたのははじめてだった。カズマがそんな思いでいてくれたなどと、想像したこともなかった。
「誰かに繕われてた束の間のものであれさ。僕とヨウコは同じものを自分たちの日常だと思って、共有してたわけでしょ。それとも、それもヨウコにとっては掴まされた現実になっちゃう?」
「……ううん」ほとんど考えることなく首を振った。お菓子は嫌いか、と問われた幼児がそうするように。「違うと思う」
「疑わしいものがでできたからって、信じて良いものまで偽物だったみたいに思うのはもったいないし、思い出として共有してる僕としては、なんだか寂しいよ」
「うん」
「だから」カズマが歩み寄ってきて、ヨウコのすぐ側で正面から向き合った。膝を折って視線を低くすると、諭すように続ける。「僕的にはヨウコさえいてくれればそれで何も問題ない日常なんだって感じるんだと思う。逆にさ、ヨウコなしの生活には、それなりに平穏な毎日であっても、なんかちょっと違う感じが残る気がするんだよね」
そう言って、彼はヨウコの手に自分の手を重ねた。
熱くも冷たくもない。秋の落葉の焚き火にも似た、素朴なあたたかさが伝わった。
「いつか僕たちも、一緒にいるより優先すべきものができて、離れて生活するような日がくるのかもしれない。でもそれは、誰かの悪意みたいなもので押しつけられるものであっちゃいけないと思うんだ。少なくとも僕は、そんなことになったら抵抗くらいはするよ」
「でも、どうしたら――」
思いがけず、涙声になりそうになってヨウコは口を噤んだ。
「そうだね」カズマが指先に少し力をこめる。「こうやって、手を繋いでれば防げるものなら良かったんだけど」
「私だってできることがあるならやりたい。好きこのんで絶望してるわけじゃない。でも、いくら考えても何も出てこない」
こらえられず、ほとんど叫ぶように言った。
「うん」
「いつか死ぬことは知ってたはずなのに、いざそれが一週間以内だって言われるとこんなにも怖い。抗う術がないのが悔しいの。戦えないのが嫌なの。手の施しようがないってなに――? 前例なら幾らでもあるのに。誰ひとり消失のメカニズムに仮説すら立てられてない。何をしたって防げないものをどうやって……どう受け入れれば良いの」
「僕も怖いよ」
カズマがゆっくりとヨウコの背中側に手を回した。左手が後ろ髪を優しく撫でてくれる。
「ヨウコがいない世界で、どう生きていったら良いか。想像もできないよ」
抱き合う形なら、ヨウコが見られたくないであろう顔を見ずに済む。そんな気遣いが伝わった。
強ばっていた身体から急速に力が抜けていった。泣きつかれた子どものように、もう声を張る気力も振り絞れない。
「ここのセキュリティがどれだけ強固でも――」かすれた小声でヨウコは言った。「結局、無駄なのは皆知ってることでしょ。心遣いに感謝はしてるけど。でも、駄目。ボディガードがリアルタイムで見守っていようと、手を繋いで、抱き締めてもらっていても、その瞬間がきたら私は消えてる」
零れかけたものを防ぐため、ヨウコは少し顎を上げた。洟をすする。
瞬間、不意に錆びた香りが鼻をついた。
最初は何かの気のせいかと思った。それとも、鼻孔の奥で毛細血管がわずかに切れでもしたか。中国の故事のように、涙に血が混じったのか。
否、屋上には配管が無数に這っている。その大半は金属製だ。貯水タンクもそこそこの年代物で、塗装に剥げも目立ちはじめている。ところどころに錆が浮き、場合によっては腐食が生じて水が染みだしている箇所があるのかもしれない。現実的には、それが匂いの原因であろう、とも考えた。
しかし――違う。
最初こそ、錯覚を疑うほどの微臭であったものは、既にむせかえるような異臭に変容していた。カズマもヨウコから身を剥がす。その怪訝そうな面持ちが、彼も同じ物に気付いていることを物語っていた。
ここに到って、ヨウコの本能が鳴らす警鐘は頭蓋を割らんばかりの大音響となっている。
もはや、これは配管の錆がどうのというレヴェルではない。空気が肌に纏わり付くような粘度の高い湿り気を帯びている。伴われた生臭ささは、それがより有機的な原因から生じていることを示していた。すなわち夥しいとすら表現すべき、血溜まりがごく近い場所で生み出されたのだ。
こんな夜中に、風通しの良い屋上まで漂ってくる血臭。その出所など幾つもない。
そこまで理解したとき、声は聞こえてきた。
「もう、警護はいない」
地の底から響いてくるような低音は、その実、頭上から降ってきたものであった。
隣のカズマと同時、ヨウコは弾かれたように顔を上げた。
そして、声の主を見た。
見た瞬間分かった。
あれは、自分の知る世界の理に帰属する存在ではない。
この世の外側で成立したもの。幽界から到来した異形の何か。まさしく特異点に他ならないのだ。一度捕らわれれば何人も決して逃れられることは許されない。いかなる抵抗も意味を成さない。そも、術すらない。そんな理不尽と絶望が形を成した、自分の世界を終わらせるものだ。
正視してはならない。本来、認識すらすべきではない。本能に最も近い、原始的な意識がさかんに警告しているが、ヨウコは魅入られたように視線動かせずにいた。キャパシティを越える情報の嵐を収めようとすれば常人の精神は決壊し、砕け散ってしまう。神を降ろした巫女が後遺症として人格崩壊の宿命を負うように。それは、人間が受け止められる限界を越えた存在なのだ。
分かりすぎるほど分かっている。だが、なんとしても逆らえない。
自分を待つ不可避の運命を知り、喉の奥の筋肉が反射的に収縮した。
ひっという悲鳴にも似た音が勝手に鳴った。
魂を存在ごと押し潰すような圧力に、自分の精神が歪みはじめているのをヨウコは感じていた。
「チバヨウコ」
中空に佇む、大型肉食獣サイズの大鹿――と言って良いものなのか、その背から長躯の男が声を発した。
その音が、自分の名を言葉で結んだものだと気付くまで、数瞬を要する。
「来い。お前を迎えに来た」
例の流れからウェーイ!
2015年最後の更新、いかがだったでしょうか。
壁紙を追加して、オリジナルレイアウトにしてみました。
一応、複数環境で表示テストしていますが、なにか不都合があったら報告して下さい。
さて、今回は私同様、「このサイトのことほとんど知らないよ」という方のためにシステムをご案内します。
▼表示について
「さし絵」の表示/非表示、背景色や文字色は、読者が自由に変更できます。
一番右上に出ている「表示調整」から行えます。
「背景のロゴと本文が重なって表示される!」という場合も、ここから「標準設定」や他のモードを選ぶと、背景画像なし版をご覧いただけます。
下にスクロールしてもずっと「メニューバー」がついてきて鬱陶しいという方も、ここから追従をオフにすることが可能です。お試しあれ。
※一部のスマートフォン、一部のブラウザでは、ここに「横書き・縦書きの切替え」などの表示がプラスされ、お好みの表示方法を選ぶことも可能です。
▼活動報告
目次ページや小説本文の一番下にあるメニューに「作者マイページ」という項目があります。ここからは、私の活動報告に飛ぶことができます。
ちょっとした日記、ブログ的なもので、今後の予定や…本編中には書けない設定資料などもここで公開されることがあります。
▼その他について
基本的に「読むこと」「感想を書くこと」は、会員とか関係なく誰にでもできるように設定しています。
なので「うわっ会員制なのかよ面倒だな」というのは、ほとんど感じることなくご利用いただけるかと思います。
感想は画面一番上のメニューから贈っていただくことが可能です。
また、各話のページ終わり(最下部)にも、評価&感想を送信できる機能が表示されることがあります。
※一部、広告ブロック機能をご利用の場合、表示されないことがあります。
「良い点」「悪い点」「一言」みたいに項目が分かれていますが、書くのはどれか一つだけでOK。
あとは空欄とかでも普通にイケるそうなので、「悪い点とか書きにくいよ」という人は、「一言」部分に感じたことを…みたいなノリで問題ないらしいです。
以上、業務連絡でした。
次回更新は2016年。いよいよ物語も本格的に動きはじめます。
お楽しみに。