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ウツの あとには、花が咲く。  作者: 佐々木 こおり
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メマイ

 高校生の頃だった。母と居間で話をしていると急に天井が歪んだような感覚に陥った。私は母に「気分が悪い」と訴えた。母は「え?」と尋ねた。


「なんかすべてがグルグル見える。ああ、動けない」


 私は独り言を言うかのように呟き、椅子をかき集めて並べ横たわった。これがメマイというものなのか。

蛍光灯の光が眩しく見え、両手で目を覆った。


「ちょっと待って。病院に電話して聞いてみるから」


 慌ただしく動き回る母の足音が家中に響いた。ちょうど夕方から夜にかけてだったため、ほとんどの病院は診療時間を終えていた。母はあちこちに電話をかけた。


「○○耳鼻科がまだ開いてるって。車で行こう? 歩ける?」


 母の問いに首を横に振るのが精一杯だった。


「でも行かなきゃ。お母さんが腕を掴むから。いい?」

 

 私はなんとか立ち上がり、母にもたれかかりながら一歩また一歩と歩いた。その日は車までの距離がとても遠かった。



 病院に着き、先生に説明した。突然メマイがして歩けないほどだと。先生は


「ストレスですね。点滴しましょう。お薬も出しますから。二、三日安静にしてください」


 と言った。私も母も一安心だ。私は家に帰るとすぐベッドに寝転んだ。医師の言う通り安静にし薬も飲んだ。だがメマイは酷くなる一方だった。母は食事を用意し、部屋まで運んでくれた。始めはただのストレスだと信じていた私も、もっと大きな病気なのかもしれないと段々不安になっていった。





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