折れない角 鬼の裔、粗挽きの胡麻
愛している。
残すことばに 感動を
透かす鋼の弾頭を見えない手に支えられると よい
重ならない悲しさ とは
また昧妙な問いかけもあったものだ。
鬼は粗挽きの胡麻を手足に刷り込むとき
咳き込むような
淡い期待をどこかに持つというのは
とうとう喉にあると 私は見ているのである。
寂しい街道沿いの 小さな神社の
石の磨り減った硬い鳥居にも苔の生えているのを見ると
硬さと なるものとは折れない 角のようなものかと思えてくる。
暗さとは見える物とは 光の強度とは
郷土とは
なにか。
愛しているのか。
落とす言葉に 感動 を
張り紙のない 岩の 壁を触らせよ
君よ 白濁する君よ。
蔵の前で 鬼の裔と遊ぶ 私には 粗挽きの
胡麻の風味にしか 愛が触れぬとは思わないかと
問うことすら もとい
知り合えぬなら 短い桜の芽にも幸福はあるのだ。
愛して 愛している とも
などと も
言うが易しと 謗るのは君なのか 私と胡麻の
黒胡麻の臭気 なのか
それは分厚い角にも似て
鬼よ
血を吸え
地を吸って生き延びよ
愛するところに 鄙びた鬼よ
居るべきではない 殺しても
穿てとも 霧の中に棲んだときから
私には 角も 生かしておけないとばかり
そこから……
愛している。
残すことばに 感動を
透かす高嶺の半島を見えない恵に支えられると よい
重ならない悲しさ とは
また妙味な問いかけもあったものだ。