ISISに告ぐ
耳は聴こえない。目は開かない。
肌は冷え、回路が麻痺してゆく。そんな人間に、何を言っても無駄だと、賢人が唄う。
そうではなく、目に見えぬ心こそが真理だと、我が身が問う。
どちらが正しいのか、知る由も無い。
識りたくない。
戦場に散る儚き人の身が、我ここに在りとせめてもの血胤を残す時、
人知れず手にしている生命。
そんな誠実さを持ちながら、いとも簡単に折れてしまうその脆さ。
全てが愛おしい。
悲しむ暇もない。
囀る余韻だけが残る。
死すら償いには甘い重すぎる業のそれが、
今まさに解き放たれようとしている。
全てに盲目的な屍は、それが己の肉と知らずに喰らう。
どうにも折り合いはつきそうにない。
最初から出来ることなど何もない。
人の身には悪魔が潜んでいる。
それでも、あどけないこの身に、彼の手に、
平和が集う。