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私とあの子と槻山くんの49日間  作者: 雨咲まどか
隣の席の槻山くん
1/6

私の日記

4/17 (水) 晴れ


 美波みなみが飽きもせず続けてるから、私もなんとなく日記始めてみよって思った。これって日記になるのかな? でもたぶん、ちゃんと毎日なんかつけないだろうなあ。




4/18 (木)


 槻山つきやま君は私の話をごく真面目に聞く。なんともない、ただの世間話みたいに聞く。誰に言ったって子ども特有の妄言だと思われてきたのに。

 槻山君とは隣の席になってまだ一週間くらいなのに、知り合ったばかりなのに、洗いざらい喋ってしまいそうになる。

 彼はきっと、探偵業に向いているだろう。そう言ったら、「もし探偵になったらサインしてあげる」と言われた。なるとしたら名探偵だと決まっているあたり、彼は本ばかり読んでいたタイプだろう。




4/19 (金) 曇り


 槻山君は、左の犬歯だけやけに発達してる。美波とは逆側の八重歯だ。

 特徴的なものってなんだかいい。お母さんのえくぼも、お父さんの薄毛(気にしてるから禁句)も、なんだかいい。

 私って、なにか特徴あるのかな。何かあったらいいな。




4/20 (土)


 休みの日は好きだけど、いつもより寂しいのはなぜだろう。新学期始まりたてだからかな。

 槻山くんの寝癖具合を確認できないのはなんだかつまらない。

 まなみが太った太ったとここの所嘆いていたから、ちょっと自分のも気になってきて久しぶりに体重計に乗ると3キロ増えていた。悔しいので10回ほど腹筋しておいた。けどその後、疲れたからチョコレートを食べたのでプラスマイナスゼロかもしれない。もう一回腹筋してから寝るとする。




4/22 (月) 雨


 もしかして、私たちの中でびっくりするような事が起こっているのかもしれない。どうしよう。もし、本当にできるなら、どうしよう。




4/23 (火)


 火曜日は数学と理科、両方授業があるから嫌い。どうしてわざわざおんなじ日にしてしまうのか。

 二時間目のあとで頭を抱えていたら、槻山君に「前に古谷さんが言ってた事ちょっと想像してみたんだけど、きっとその人は古谷さんが覚えてるだけで嬉しいと思う」みたいな事を言われた。そうかなあ。なんでそんなことわかるんだろう。聞けば良かった。





4/24 (水)


 まなみが言うには、槻山君は小学生の頃はもっと暗かったらしい。私は中学からここだから知らなかった。好きなのか、と聞かれたけど、それはどうだろう。好きか嫌いかで分けたらそりゃ好きだけど。

 槻山君のまなみ評価は「63点」だった。点数がいいのか悪いのかはわからないけれど、がんばれ槻山君。

 あ、昨日の事きくの忘れてた。




4/25 (木) 晴れ


 槻山君は「誰かいなかったら、自分もいなくなっちゃう気がするじゃないか。そういうことだよ」って説明した。

 私、やっぱり、槻山君のこと好きなのかもしれない。

 美波、どうしよう。




4/26 (金)


 槻山くんは携帯を持っているようなので、番号とアドレスを教えてもらった。我ながらさりげなく聞いたつもりが、まなみに「ナンパみたいだね」と言われた。まなみの評価はもう気にしない事にする。

 帰りに食べたガリガリくんが当たっていたのでその旨を写メ付きでメールすると「おめでとう」と飾り気なんかみじんもない返信が来た。しかし私ももう中2なのでコンビニの経営への心配りとして当たりは交換してもらわない。


 それにしても、ここのところ日記が槻山君だらけだ。





4/27 (土) 晴れ


 夕方、とうとう我慢できずに槻山君に電話した。他にももっとしたい事がいっぱいあるはずなんだけど、気づくとケータイを握り締めていた。

 どうにか電話したものの、声がうまく出せなかった。でもやっぱり槻山君は優しい。また電話したいな。

 

 会いたいなあ。





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