表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つきしろ骨董店へようこそ!~霊の願いは当店におまかせください~  作者: 市瀬瑛理
第二章 梅とネックレス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/57

第13話 探しものと梅の絵

「探しもの?」


 (みなと)がエリカと話した内容を説明すると、紫呉(しぐれ)はそう言って首を傾げた。


「エリカさんにとって、すごく大切なものみたいです。生前、田中(たなか)さんからもらったらしいんですけど」

「ネックレスねぇ……。どこでなくしたのかはわかんねーのか?」

「病気で入院する前なのは確からしいんですけど、どこでなくしたのかまでははっきりとした記憶がないみたいです。で、この絵から離れられないせいで探せなくて困ってるって」


 さらにエリカから聞き取った情報を紫呉に伝える。


「つまり、それが未練になってるってことか。まあ霊がモノから離れられないのはよくあることだからな。地縛霊(じばくれい)に近いやつだ」


 なるほど、と一つ(うなず)いた紫呉は、腕を組むとそのまま宙を(にら)んだ。何かを考えるような素振りである。


 その姿を見守る湊だが、少しして紫呉が顔を戻したタイミングで声をかけた。


「何とかできそうですか?」


 紫呉の顔を(のぞ)き込むようにして、不安そうに問う。

 せっかく願いが聞けたのに、叶えてあげられないのでは申し訳なさすぎる。


 しかし、紫呉はそんな湊の不安を吹き飛ばすような笑みを浮かべた。


「願いを持った霊ってのは、無意識にその願いと関係のあるモノに宿ることが多いんだよ」

「てことは、願いがこの絵に関係あるかもしれないってことですか?」


 湊がレジカウンターに置かれた絵画に改めて目を落とす。それから確認するようにさらに問えば、紫呉はしっかりと頷いてみせた。


「ああ。その可能性は高いな」

「うーん、これって梅の絵ですよね。梅とネックレス……ですか。梅の花がモチーフになったネックレスとか?」

「梅に関係のある場所って可能性もあるんじゃねーの」

「あ、この絵を描いたのもエリカさんですもんね。梅の絵を描きに行ったのかもしれないですね」


 確かに関係ありそうですよね、と湊が両手を合わせながら、納得したように頷く。


「まあ、詳しい話はそこのエリカさんに聞いてみた方が早いだろ。今回はかなり性格のいい霊みたいだから、素直に教えてくれるんじゃね?」


 紫呉が絵画を指差すと、湊は「そうですよね」と明るい表情で、その上にいるエリカを見上げた。


「エリカさん、梅に関係のある場所とか記憶にないですか? 亡くなる前に行ったとか。何でもいいんで情報が欲しいんです」


 湊の言葉に、エリカは少し間を置いてから首を縦に振る。


『……そうね。入院前に、梅公園には行ったことがあるわ』


 エリカの答えに、湊の顔がさらに華やいだ。

 やはり、梅に関係のある場所の可能性が高そうである。


「梅公園に行ったことがあるそうです」

「その梅公園って、もしかして平岡(ひらおか)公園のことか?」


 湊が紫呉の方に顔を向けて通訳すると、紫呉は悩むことなく、すぐにそう返してきた。

 それを受けて、湊はエリカに改めて聞き直す。


「梅公園って、平岡公園ですか?」

『……そう』


 エリカは小さく頷いた。


「平岡公園で合ってるみたいです」

「よし、わかった。ここからわりと近いし、明日そこに行ってみるか」


 紫呉がわかりやすく口角を上げると、それを見ていたのかエリカも嬉しそうに微笑んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ