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LVII.武官団長とレスツィメーア

キードゥル93年9月


「わたくしの参加までお許しいただき、ありがとう存じます、クリスティーネ様」


初対面の挨拶を終えると、少女はニコリと微笑んだ。

少女の名前はローゼリア・アレクサンド。コリスリウトの妹で、リュードゥライナと同い年の側近候補だ。


「いいえ、わたくしも貴女とお話ができて嬉しいです」


クリスティーネもローゼリアにふわりと微笑む。


今回の参加者はクリスティーネ、ミカエル、ディーリト、ローゼリアだ。


「あ、そういえば、時間があれば、リュードゥライナが見学に来たいと言っていました。よろしいかしら?」

「そうなんですか!?」


ローゼリアがビックリした様子で大声をあげる。クリスティーネがそれに頷くと、「やった」と小さく喜ぶのが見えた。


(未来の主だろうし……楽しみにもなるものよね)


「ミカエル様、クリスティーネ様、レンリトルやコリスリウトの様子はどうでしょうか?息子たちは反抗期に入ったのか、あまり貴族学院でのことを話してくれないのです。特にコリスリウトが」


ディーリトが眉を下げつつそう言った。確かに、二人ともそんな時期だろう。


「そうだな……レンリトルはとても良く動いていくれているよ。武官主任を任せているが、文官や介添えのことも気にかけてくれている」

「コリスリウトもまとめ上手ですし、ありがたいですよ。レニローネと一緒に、イディエッテの勉強も見てくれています」

「お二人からそのようなお言葉を聞けるのでしたら、少しは安心できますね」


ディーリトは父親の顔で微笑んだ。



「それでは早速、始めていきましょうか」

「レスツィメーアを教えてほしいとのことでしたよね?」

「はい、来年度から子供たちに教えていくとなると、武官団長である私が真っ先に知っておくべきかと思いまして。そういえば、成人への規定はどうなりましたか?」

「領主夫妻、それからディーリト、君の許可を得た者、ということになったよ。生徒たちへの規定も同じだ」


(もうそこまで話が進んでいたんだぁ……)


クリスティーネの知らないところで既に話が進んでいたらしい。初耳だ。


ディーリトは「了解いたしました」と頷き、クリスティーネの方を向いた。


「クリスティーネ様、魔力配列などはすでにまとめられているでしょうか?簡単でもいいので」

「えぇ、既にまとめています。ラナ、お願いします」


ラナはコクリと頷き、近くのテーブルに紙を広げた。


「こちらでございます」

「……!?」


その紙には、魔力配列が書いている。魔法を使う時には、魔力配列を考えて生み出さねばならない。光線系の魔法を打ち付けるだけならば、多少魔力配列が荒くても問題はない。だが、矢を作るレスツィメーア、波を作るフェンネム、拘束をするヴェンデエーゼ、など細かい操作には魔力配列を考えなければならないのだ。

魔素の結合量を変えるものは特に難しい。魔素結合にも魔力を使うのだ。


「なるほど……。…………レスツィメーア」


ディーリトは杖を出し、その上にレスツィメーアの矢を発生させた。風属性なので緑色をしている。


(すごい……!魔力配列を見ただけで再現できるなんて!)


流石武官団長である。


「……かなり思い切った配列ですね。慣れていないと維持するのに少し魔力を食います。先生方も驚かれたのでは?」

「いえ、先生方にはまだ公開していませんよ」


ディーリトとミカエルは「えっ」と声を揃えた。


「クリスティーネ様お一人でこれを書いたのですか?」

「はい」

「クリスティーネ……」


ミカエルは呆れたような顔をすれば、クリスティーネは何のことか、と言わんばかりに首を傾げる。

ミカエルはコソッとクリスティーネに耳打ちした。


「……魔力配列を習うのは二年生だよ。それに、魔力配列を書いたりするのは三年生以降だし」


(はっ!!そういえば、そうでしたっ!)


アイシェの頃の感覚がまだ抜けていないのだろうか?


「……来年や再来年の予習をしていましたので……はは」


ディーリトはかなり驚いていたが、とりあえず誤魔化した。

まぁ、クリスティーネが転生者だと言う発想にはならないだろう、多分。


「ちなみに……ディーリト、矢を放つことはできますか?」

「……難しいでしょうね。私は弓をよく使いますので」


確かに、常に弓で矢を放っているディーリトからすれば、矢を杖一振りで動かすレスツィメーアは扱いにくいだろう。


「お兄様、杖を弓矢に変える魔法(アコーフェツィア)は使えますか?」

「うん」

「では、ディーリトの矢を使えるか試してみてはどうでしょうか?ディーリトは矢を掴めるように硬化させてほしいです」

「分かった」「分かりました」


ミカエルとディーリトは揃って頷く。


ちなみに、ディーリトがアコーフェツィアを使うのではなく、ミカエルに使ってもらうのは、ミカエルの練習のためで、特に理由はない。ついでに言うと、ディーリトは魔法の同時進行ができるのか、クリスティーネはよく知らない、というのもある。


そして、ミカエルは「アコーフェツィア」と唱えて、一緒に出てきた矢をテーブルの上に置いた。

それから、ディーリトが表面を硬化させた矢を掴み、的の直線上に立つ。


「行くよ」


呟くような声を口にして、ミカエルは矢を構える。


そして――放った。


「……うーん、ちょっとブレるね」


ミカエルは的の端に当たった矢を見てそう言った。


「でも、慣れれば何とかなると思う。あ、あと、同じ属性の方がやりやすいだろうね」


ミカエルの言葉をラナが記録していく。

その時だった。


「お兄様!お姉様っ!」

リュードゥライナだ。嬉しそうに、楽しそうに笑って、クリスティーネたちの方までやってくる。

急いできたのだろう。軽く息が切れていた。


「リュードゥライナ、ごきげんよう。お勉強の方はどうだった?」

「見学を早くしたくて、頑張りました!」

「偉いね、よく頑張った!」


ミカエルはニカッと笑ってリュードゥライナの頭を撫でれば、リュードゥライナは「えへへ」と笑う。最近、大人っぽくなってきたという思いがあったが、こういうところはまだまだ子供っぽくて可愛らしい。


「あ、あのっ、リュードゥライナ様っ」

「ローゼリア!」


リュードゥライナはローゼリアに目を向けた。


「お久しぶりね。今日は武官の格好ですか?カッコよくていいと思いますよ」

「あっ、ありがとう存じます!」


ローゼリアはモジモジとはにかむような笑顔で応えた。


「では、リュードゥライナとローゼリアは見学にいたしましょうか」

「あっ、あの、お姉様!お願いがあるのですけど……」

「何かしら?」


リュードゥライナはビシッと手を挙げて発言を求めると、クリスティーネはコテリと首を傾げる。


「わたくし、魔法戦が見てみたいです!報告書で、お姉様とコリスリウトが魔法戦をしたと伺いました」

「あっ、そうでしたね。コリスリウトお兄様が『楽しかった』とおっしゃっていましたよ」


(そっかぁ。コリスリウトが楽しかったのなら良かったなぁ)


「お兄様とディーリトはいいですか?」

「はい、レスツィメーアのご教授はいつでもできますからね」

「うん、私も構わないよ。チーム分けはどうするんだい?」

「私が二人の相手をしましょう」


ディーリトはフッと笑えば、ミカエルも同じく挑発的に笑った。


「あぁ、受けて立とう。ね、クリスティーネ?」

「はっ、はい。頑張ります」


クリスティーネはふんすっ、と意気込んだ。

お久しぶりです。琴華です。

そろそろ12月ですね……!早い。早すぎる。

で、本題なんですが。


この度、活動を休止させていただくことにしました。

ちょっと丁寧に言ってみましたが、普通に私の判断です。受験当日までの日付が迫っておりまして。

通学時間でのスマホの時間はできるだけ書いていくつもりですので、ちょっとずつは進むと思います。

受験が終わるまでに数話くらいは更新できるかなぁって感じですかね。


本当に、こんなに総合評価がいただけるとは思ってなかったですし、いつも励みになっております。

多分アクセス回数とかはちょくちょく見に来るので0くらいになってたらへこむかもしれませんが。笑

Xは暇だったら更新するかなぁ。でも、書くことないんよね…


更新頻度がかな―――り減りますが、これからもこの作品と作者をよろしくお願いいたします!

長文失礼しました。

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