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番外編VI.新しい妹と ミカエル視点

 キードゥル95年9月


「……育てば育つほどクリスティーネに似てくるね」


 ミカエルは、目の前の赤子を見てそう言った。


 今年の1月、アイリスは三人目の女児を出産した。名はフェルネリッテ。銀の髪に水色の瞳。クリスティーネそっくりの赤子だった。

 ミカエルはクリスティーネの赤子の頃を知っているので、非常にそう思う。まぁ、リュードゥライナはあまりそうは思っていないみたいだが。


 あうー、と言って笑いながら、フェルネリッテはミカエルを見た。可愛らしい姿に思わず頬が緩む。クリスティーネが赤子の頃はあまり笑わなかったので、少し新鮮だ。


 ミカエルはフェルネリッテをフィルオーナに預けた。少し話があるのだ。

 フィルオーナはクリスティーネの元仮介添えだ。今はフェルネリッテの仮介添えをしている。

 そして、夏季休み期間、暇になるクリスティーネの側近たち――主に介添えはフェルネリッテの世話係やアイリスの介添えの代わりをしたりしている。

 実は、アイリスの産後の肥立ちが悪く、付きっ切りで看病しているそうだ。人手があることで、かなり楽になっているという。その分、文官の仕事が増え、それをクリスティーネの側近に補ってもらっている。


 そして、今フェルネリッテの世話係としているのはリーゼロッテだ。アイリスのところと交代しつつ行っているらしい。


「リーゼロッテ」

「はい、ミカエル様」

「養子の選別の準備はどうなった? もうすぐ行う予定だけど」


 3月頃に決まった領主の養子。ミカエルはかなり不服なのだ。まるで、クリスティーネが目覚めることを信じていないみたいで。


「完了いたしました。明日、一次試験の写しをミカエル様にお届けいたしますね」

「分かった。ありがとう」


 リーゼロッテに礼を言い、ミカエルはフェルネリッテの部屋を出た。




 三階から二階へ降り、図書館へ向かう。落ち着きたかった。

 最近はマシになってきたと思ったのに。やっぱり精神が不安定になりやすいみたいだ。


「おや、ミカエル様じゃあありませんか。お久しぶりですね」

「……えぇ、お久しぶりです」


(……あー、嫌いだ)


 ミカエルは心の中でそう思った。表情には全く出さないが。旧ルネーメヌ派閥の男だ。

 今、ヒサミトラールにある派閥はレトルート派閥。旧ルネーメヌ派閥。クリスティーネ派閥。――この三つだ。

 レトルート派閥はその名の通り、レトルートを支持する派閥だ。まぁ、そのままレトルートの決定に従い、次期領主であるミカエルを領主とする派閥。

 旧ルネーメヌ派閥は元々他領からやって来たルネーメヌを陥れようとして作られた派閥だ。いろいろあって、今はミカエルを領主とし、アイリスの子供であるクリスティーネやリュードゥライナを蹴落とそうとしている。

 クリスティーネ派閥は本人の知らないところでできていた派閥だ。クリスティーネを領主にしようとする派閥。今は勢いが落ちているが。


 まぁ、そんな感じで、ミカエルを支持しているが、継母や妹を害そうとしている派閥の人間。家族思いのミカエルが嫌いにならないはずがなかった。


「何か御用ですか?」

「久しぶりに貴方の顔が見れましたので、つい声をかけてしまいました」

「そうですか」


(そんなことで声をかけるな)


「そういえば、養子の件はどうなりましたかな? 是非教育係には、私の子供たちを指名していただきたいですね。貴族学院でも良き成績だったのですよ」

「恙なく進んでいるそうですよ。私は携わっていないので、詳しくは領主様に」


(どうせ、この男は養子を自身の傀儡にしたいのだろう。領子をそんな風に扱ってもらっては困るんだけど。きっと、父上がレトルート派閥から取るだろうね。もしかしたら、私の仮介添えだったレックスかも)


 元仮介添えのレックスを思い出す。最近はレトルートの執務室で見かけることはあれど、親しく話せてはいない。


「では、仕事がありますので」


 そう言って、ミカエルは踵を返す。図書館に行くのは無理そうだ。

 ミカエルは男が見えないところまで歩き、階段を上った。執務室に行っても仕事はないのだから。





「クリスティーネ……」


 クリスティーネの部屋の前には、クリスティーネの側近のレニローネが護衛として仕事をしていた。ミカエルはレニローネに人払いを頼み、一人で部屋に入った。


 ベッドの上には、眠り続けているクリスティーネがいる。美しいオッドアイは瞼に隠されていた。

 ベッドサイドの椅子に座り、手を握った。子供の手みたいに柔らかいけれど、同時に少し冷たくもある。仮死状態のようなものらしいので、仕方がないのだろうが。


「お願いだよ……クリスティーネ。早く目覚めておくれ」


 ミカエルの縋るような言葉は、部屋の闇に溶けていく。

 そして、人払いをしたはずの部屋にはもう一人の少女がいた。


「〈運命の女神〉様のお導きがあったみたいです、ミカエル様」


 その声にバッとミカエルは振り向く。そこにいたのは――リュードゥライナ。

 そして、その言い回しは――かつてミカエルに姿を見せた精霊、フェルリのものだった。

こうすると何だかミカエルがクリスティーネの恋人みたいだなぁ、と思いました…笑

禁断の兄妹恋愛とかこの二人でそんなの考えたことなかったのですが。そもそも半分は血がつながっているわけですし。まぁ、そんな予定はありませんので!笑

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