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三題噺もどき3

週明け

作者: 狐彪

三題噺もどき―よんひゃくきゅうじゅうきゅう。

 


 ジワリと汗が噴き出す。


 じりじりと照りつける日差しが心底恨めしい。

 カッターシャツの襟元を寛げ、ぱたぱたと仰ぐ。

 たいした涼はとれないが、汗をかいた体は多少なりとも冷えていく。

 用事を済ませ、コンビニに寄り、帰路についているところだ。

「……っつ」

 夏用の通気性のあるやつではあるんだけど……それでも暑い。

 今日はまぁ、そこまできっちりした格好でなくてもいいだろうと思ってはいたのだけど。挨拶というか、うん。今までお世話になりましたっていうのだったから、一応、それなりの格好で行った方がいいだろうと言う判断になった。

「……」

 おかげで暑すぎて倒れそうだ。

 ただでさえ、一昨日あたりまで体調不良で動けなかったこの身に、この暑さは堪える。

 今だって完治した感覚が全くないので、家に帰り着いたら倒れるかもしれない。

 電車内と外の温度差も相まってか、降りてすぐは少し気分が悪かったりもしたし。

「……」

 ほんとうに、なんというか、ひっさしぶりにあんなに体調を崩した。

 多分、色々とめどがついて気が抜けたんだろう。

 たまりにたまっていた疲労が一気に襲ってきた感じだ。

 せいぜい2,3日だろうと思っていたのに、一週間程引きずるとは思っても居なかったが。

「……」

 熱が出たのは初日だけだったが、その後も妙に微熱が続いた。

 食欲はなくなって、モノを食べるのもいっぱいいっぱい。

 病院には何とか行けたが、ほんとに這う這うの体って感じだった。

 その時にもらった薬を飲むために食事をしていたと言う感覚の方が近い。

「……」

 食欲は未だにしっかりと戻っているわけではないが、動けるようにはなったのでよかった。

 なんというか、空腹ではあるのだけど、食べ物を受け付けないという……学生の頃によくこういう症状になっていたのだが、またなるとは思っても居なかった。

 いや、働いていた頃はわりとなっていたな……忘れていただけか。

「……」

 今日は一応、コンビニおにぎりを買ってみたものの、果たして食べられるかはまた別の話だ。冷蔵庫の中身が底をつきそうなので、買い物にも行きたいのだが、こうも暑いと外出にも気がひける。熱中症にならないためにも、食事や睡眠や水分補給はしておきたいところだけど。

 それを体が拒むからいけない。何とか詰め込んでも、吐き気を催すから、更に食べたくなくなるのだ。何ともまぁ、悪循環って感じ。

「……」

 先週、唯一抵抗なしに食べられたものといえば、キャンディぐらいだろうか。

 口に放り込んで放置しておけばいつの間にか無くなるから、意識しなくていいから、食べられた。これを食事というべきではないだろうが。

「……」

 果物系のではなくて、サイダーとかコーラとかそっち系の味がよかった。

 数種類入っていた中で、その二種類だけが唯一食べられた。さっぱりとした甘さだからだろう。果物系はなんというか、甘ったるいのでもう少し元気な時なら抵抗なく食べられたはずだ。だって、桃味とか昔から好きだし。パインアメとか結構食べている。

 まだ同じ袋の中にあった果物系がたくさん入っているから、新しくは買わないが、そのサイダー味とかだけが入ってるのがあれば、買っておいてもいいかもしれない。

 食料もいい加減底をついているので、買い足さないといけない。

「……」

 うーん。

 一旦帰ろうかと思っていたんだが、このまま買い物まで済ませてしまおうかな。

 道中少しそれてしまえば、スーパーがあるはずだし。

 いま帰っても、何も食べることなく倒れ込みそうだ。

「……」

 まだ、元気という程ではないが、動けそうではあるし。

 ならば今のうちに、要外出の予定を済ませてしまっておいてもいいかもしれない。

 そうしたら、帰り着いて最悪倒れ込んでも何も問題はあるまい。

 いや、食事は済ませておきたいものではあるけど、無理に食べる必要もないだろう。

 あ、薬を飲まないといけないから、このコンビニおにぎりぐらいは食べないといけないのか。

「……」

 ま。

 とりあえず。

 買い物まで済ませてしまおう。

 その後のことは、その時に考えればいいだろう。

 案外、空腹に耐えかねてあっさり食べられるかもしれないし。






 お題:カッターシャツ・コンビニおにぎり・キャンディ

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