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第八話 聖女の巡幸に癒やしの性女として同行する

プロットでは1~2行の文章が、Wordで執筆していると長く伸びていきます。

それだけキャラが立っているのかもしれないですけど、なかなかお話が進まないですね。

挿絵(By みてみん)

 今日は女神の薔薇園が休みの日なので王宮のカイン国王とイブリース王妃の寝室にいました。

 貴人牢の専属侍女のマリアンヌも一緒です。


 朝から大きなベッドの上で組んず解れつして、まるで取っ組み合いでもしたかのように乱れに乱れてすごい有り様になっていました。

 王族の性欲はすごいものがあって尋常ではなかったのです。


「オクタヴィアが寝室に来てくれるようになって助かったわ。カイン様の精力は凄くて私一人では受け止めきれなかったの」

 イブリース様が荒い息をついて髪をかきあげました。


「恐れ入ります。ですが、私よりもマリアンヌ様のほうが身体を張っているのではないでしょうか」

「私はオクタヴィア様と一緒に性奴隷として扱ってもらえれば満足ですわ」

 上気した赤い顔のマリアンヌが私の背中からしがみついてきました。


 マリアンヌは子供の頃から完璧令嬢の純白の薔薇と謳われた私に憧れていて、性奴隷に貶されても慕ってくれているらしいのです。

「そういうわけにはいきませんわ。私は国家反逆の大罪を犯したとされて性奴隷に貶されましたけど、マリアンヌ様は何の罪も犯していませんもの」

「いいのです。憧れていたオクタヴィア様が性奴隷として生きていくのなら私も性奴隷として扱われてみたいのです」


 マリアンヌは潤んだ目で私の顔を見つめてきました。

 最初に貴人牢で会ったときは無表情で無口でしたけど、今は仮面が剥がれて私に恋い焦がれている素振りを隠そうともしていません。


「マリアンヌ様……」

 私は困った顔で彼女を引き離そうとしましたが、離れてくれません。

 極悪非道の悪女として王宮の中だけでなく国中の民衆に憎まれている私は、本当は味方してくれる女性が現れて嬉しいのです。

 だから、同性愛ですが彼女を拒絶することは出来ませんでした。

 もとより、隷属の首輪をはめられているので、何をされてもされるがままにならなければならないのですけれど。


「マリアンヌは憧れのオクタヴィアと愛し合えて満足なようね。まだ時間はたっぷりあるから二人で気の済むまで楽しんでいなさい」

 イブリース様がそう命じられると私もマリアンヌ様も抱き合って愛し合うことを続けなければなりませんでした。


 マリアンヌ様はうわ言のように私の名を呼びながら、女にしかわからない特別に感じるところを的確に入念に責め立ててきます。

 私は忘我の境地で頭の中が白くなって意識を失うまで愛し合ったのでした。


 私がベッドの上で意識を取り戻すとマリアンヌ様は侍女の服を着て傍で控えていました。

「オクタヴィア様、拘束具を装着させて頂きます」

 マリアンヌ様は申し訳無さそうな顔をして、私の身体に黒い革の拘束具を巻き付けていきました。

 私はされるがままになっていました。

 王宮の中では貴人牢の外では普通の服を着ることは許されていないのです。


「イブリース王妃様、私にも拘束具を装着するようにお命じください」

 マリアンヌ様がイブリース王妃に懇願しましたが、王妃様は首を振りました。


「オクタヴィアは国家反逆の大罪人だから罪を償うために拘束具を着て辱めを受けているのよ。大罪人に情をかけていたら罰にならないからね。高貴な風貌の専属侍女に鎖で繋がれて王宮の廊下を歩くことも刑罰の一環なのよ。だから専属侍女のマリアンヌは気品のある侍女服を着ていなければならないわ」


 マリアンヌ様は悲しそうな顔をしましたが、それ以上は何も言いませんでした。


「それよりもオクタヴィアに話があるのよ。準備ができたならこちらに来てソファーに座ってお茶にしなさい」

 私はイブリース王妃に促されてソファーに座りました。


「話というのは悪い話といい話の両方があるわ」

 イブリース様はカイン国王の隣に腰を下ろしました。


「ランバード王国の各地で暗黒邪神教の信者共が事件を起こしているんだよ」

 今まで黙っていたカイン国王が話し始めました。

「王都の商人や地方の農民の家で、美しい若い娘が拐かされて邪神の生贄として儀式に使われる事件が立て続けに起こっているんだ」


 イブリース様は眉をひそめて続きを語りました。

「拐かされた娘たちは命こそ奪われなかったものの、目をくりぬかれたり顔を薬品で焼かれたり激しい凌辱を受けていたりと酷いことになっているのよ」


「そ、そんな酷いことが……」

 私は言葉を失いました。


「それでね、民衆の怒りはオクタヴィア、あなたに向かっているの」

「えっ!?」


「あなたはもともと暗黒邪神教とつながって国家反逆罪を犯したことになっているでしょう。だから今回の一連の事件も貴族や民衆はオクタヴィアの起こした事件だと思っているの」

 イブリース様は眉をひそめて紅茶を一口飲みました。


「そ、そんな私には身に覚えがありません!」

 私は激しく動揺しました。

 断罪されて性奴隷にされてから、一日の休みもなしに凌辱されたり娼婦として性奉仕させられてきたのです。

 暗黒邪神教と関わりを持つ余裕などありません。


「オクタヴィアには王家の暗部の影を監視でつけているから、あなたが暗黒邪神教とつながりを持っていないことはわかっているのだけど、貴族や民衆は分かりやすい悪役を欲しがっているのよ」

「オクタヴィアは元々国家反逆の悪女として有名だったからな、一連の事件もお前のせいだということにしたほうが貴族や民衆が納得するんだ」


「それで困ったことに、『悪女のオクタヴィアを処刑しろ』という貴族や民衆からの圧力が高まっているの」

 イブリース様が語る言葉で私はガタガタと震えました。


「皮肉なことに性奴隷に貶されたオクタヴィアを犯したことのある貴族や商人などは、お前を庇っているんだ。従順な性奴隷のオクタヴィアが罪を重ねるはずがないと言ってな」


「あなたが性奴隷として大勢の男性に性的に奉仕してきたのも無駄ではなかったのよ」

 イブリース様はフフッと少し笑いました。


「それでね、カイン国王と話し合ったのだけど、救済措置を取ることにしたの。聖女の私がランバード国内の瘴気を払う巡幸の旅に出るからオクタヴィアも『癒やしの性女』として付いてきなさい」

「癒やしの性女というのは聖女の代わりに民衆に性奉仕して癒やしを与える仕事だ。オクタヴィアは元々性奴隷として性奉仕の仕事をしてきたんだからそんなに辛いことではないだろう?」


「ランバード国内を回る巡幸の旅は一年間を予定しているのよ。一日で二十人の男に性奉仕すれば一年間で七千人以上には癒やしを与えることができるわね」

 イブリース様は嬉しそうに手を叩きました。


「七千人以上の民衆がオクタヴィアの性奉仕を受けて、お前が従順な性奴隷であることを認めれば世論の空気も変わって処刑を求める声も小さくなるだろう」

 カイン国王も紅茶を口に含みながら楽しそうに話しています。


「あなたを処刑から救うために聖女の私が王妃の仕事を他に回して、巡幸に出ることにしたのよ。私に感謝する気になったかしら?」

「吟遊詩人のマリアスというものだったか、影から報告は受けているぞ。オクタヴィアに惚れていてお金を貯めてお前を身請けするためにファルス王国に帰ったんだろう。処刑されたらその男にも会えなくなるんだぞ」


 私はビクンッと身を震わせました。

 マリアス様のことも王家の影に調べられてカイン国王たちに知られていたのです。


「ただの吟遊詩人なんでしょう、そのマリアスという男は……。オクタヴィアを身請けするお金なんて用意できるのかしらね。あなたは特別に高いのよ。完璧令嬢の純白の薔薇と謳われた公爵令嬢がやんごとなき事情で性奴隷になったのだから。ただの娼婦を身請けするのとは金額の桁が違ってくるわ」


 イブリース様の言葉を聞いて私はホッとしました。

 マリアス様がファルス王国の王族だということまでは知られていないようなのです。

 それを知られたらファルス王国にどんな迷惑をかけてしまうかわかりません。

 マリアス様の立場も悪くなってしまうでしょう。


「特別なご配慮で処刑を避けられるように手配してくださったことに感謝いたします」

 私はソファーから降りると、カイン国王とイブリース王妃の前で三指を突いてひれ伏し最上級の感謝の意を表しました。


「うむ、そう畏まるな。オクタヴィアが悪役になってくれているおかげで暗黒邪神教の事件の不満も王家には向けられていないんだからな」

「聖女の私が巡幸に出れば貴族や民衆の不満も静まっていくでしょう」


「巡幸の旅に出るのは一ヶ月後なのだけど、その前に旅の無事を祈る壮行パーティーを開催するのよ。オクタヴィアも癒やしの性女としてパーティーに参加するのよ」

「かしこまりました。……ですが、ドレスを持っていませんわ……」

 私は困惑しました。


 服は地下牢で着ていた貫頭衣か革の拘束具か貴族牢で着ている白いワンピースしか持っていないのです。

 それ以外は、性奴隷の私の身体を貪ってきた貴族や兵士や下男がプレイを楽しむために持ってきた変態的な卑猥な夜着しかなかったのです。


「それなんだが、ドレスはノーリプトン公爵夫妻が用意するそうだ。お前を貴族籍から抹消して縁を切ったとは言っても血の継った親子なんだ捨てきれない情があるのだろう。壮行パーティーではオクタヴィアに会いたいそうだぞ」


「もちろん会ってあげるんでしょう? 親子の縁を切ったとは言え実の親と娘の情まで消えたわけではないのだから……」

 イブリース様がひれ伏していた私を立たせてソファーに座らせました。


「はい。性奴隷に貶された親不孝で惨めな娘ですが、父と母にはちゃんと会ってお詫びがしたいですわ」

 私のせいで父と母がどれだけ心痛を抱えていたかを想像したら、悲しくて申し訳なくなりました。


「そうね。聖女の私はあなたと入れ替わりにノーリプトン公爵家の養女になったの。ノーリプトン夫妻から見れば娘の仇みたいなものなのに、私に怒りを向けることもなく公爵家の娘として大事にしてくれているのよ。オクタヴィアが使っていた部屋は今は私の部屋になっているわ。ドレスは売り払って新しく買ったけど、宝飾品などはあなたのものをそのまま使っているの」


「イブリースは今は王宮の王妃の部屋で暮らしているから、ノーリプトン公爵邸の部屋はそのままになっているだろうな。オクタヴィアが持っていた宝飾品などは全部イブリースのものになったが」


「宝飾品だけではありませんわ。オクタヴィア自身も私が所有している性奴隷ですし、ノーリプトン公爵夫妻も今では私が本当の娘のように接してくれていますわ」


「はははっ! 蝶よ花よと大事に育てられていた公爵令嬢が国家反逆の大罪人として性奴隷に貶されて聖女であるイブリースにすべてを奪われたのか! どんな気分だ、オクタヴィア?」


「全ては神の思し召しのとおりですわ。今の境遇は私が自ら招いたものと心得ています。怒りも憎しみも持ってはおりませんわ。処刑を免れるように手配していただけたのですから感謝しかありません」


「はははっ! 本心からそう思っているのなら心の底から真実、性奴隷に染まったようだな」

 カイン国王は私に蔑みの目を向けると嘲り笑いました。


「ほほほほ……。本当に可愛い性奴隷ですこと」

 イブリース王妃も楽しそうに笑っています。


 その後は特別な話もなく、隷属の首輪に鎖をつけられてマリアンヌに引かれて貴人牢に戻されました。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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