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偽聖女の生贄で性奴隷にされた令嬢は転生して神の愛子となる  作者: 華咲 美月


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第十九話 大聖女の生誕祭を楽しむ

色々流れでストーリーが変わってきたので、完結までのプロットを作り直しました。

疲れが溜まってきて執筆するのがしんどい感じですけど、もう少しで完結するので頑張ります。

 暗黒邪神教事件が解決して暫くしてから、大聖女マリアンヌ様の生誕祭が開かれることになりました。

 王都の大教会が主催者です。

 教会の権威を高めるために大聖女の誕生日を盛大に祝うのだそうです。


「俺達は出かけるけど、ヴィシュヌたちはどうする?」

 マリアス様が勇者の館のリビングルームで相談してきました。

「勇者の館でお留守番してもらいます。騒ぎを起こされたら困りますから」

 私はヴィシュヌと四天王の方を見ました。


 ヴィシュヌと四天王は人化の魔法を使って人間の姿になっています。

 ヴィシュヌはミニスカートのメイド服を着ています。

 最初に着ていたマイクロビキニみたいな衣装は人間界に紛れて暮らすのには露出度が高すぎます。


 彼女は人間の十六歳くらいに見える外観で赤髪の美少女なのです。

 しかも、スタイル抜群で胸もお尻もボンと大きくてウエストはくびれています。

 神の愛子の私とはタイプが違いますが、人外の美しさを持っているのです。


 ミニのメイド服はララとリリィが選んでヴィシュヌに着せたものです。

 ヴィシュヌはスカートの裾を掴んでモジモジしています。

「御神祖さまぁ……。こんな服は恥ずかしいですぅ……」


 最初のマイクロビキニみたいな衣装の方が露出が高いのにミニのメイド服のほうが恥ずかしいなんておかしなものだと思いました。


「ヴィシュヌにはこれからはララとリリィと一緒に専属のメイドとして働いてもらうのですからそのメイド服が制服です。元のマイクロビキニを着ることは許しませんよ」

 私はきっぱりと命令しました。

 こういうことは最初が肝心です。

 御神祖である私に対する忠誠心を試すために、恥ずかしがることもやらせなければなりません。


「うう……わかりました、御神祖様」

 ヴィシュヌは観念したようです。


 四天王の四人は執事の服を着ていました。

 勇者の館で働いている執事のギブソンの部下として勤めてもらうことにしたのです。

 ずっと人化の魔法を使って人間として働いてもらうことになりますけど、人間の中に溶け込んで暮らすことを条件にアブノー国王陛下からノルテア王国で暮らす許可を頂いたのです。


 魔王の娘や四天王を信用できないと言う貴族たちは多かったのですが、神の愛子である私が眷属として受け入れたのですから認めてほしいということで受け入れてもらったのです。


「それではオクティ様もおめかしして出かけましょうね」

 私はララとリリィに手を引かれて衣装部屋に連れて行かれました。

 ノルテア王国の民族衣装のようなブラウスとスカートを着せられます。


「とても良くお似合いですよ」

 ララとリリィは上機嫌でアクセサリーなども付けていきます。


 マリアス様たちもメイドに準備をしてもらって出かける用意ができたようです。

 生誕祭の主役のマリアンヌ様は昨日から大教会に泊まり込んで準備をしています。


 マリアンヌ様は飾り付けられた派手なオープンの馬車で手を振りながら大通りを行進するそうです。

 それを見越して大通りの周りはすごい人混みです。


 少し大通りから離れたところには出店が沢山並んでいます。

 私はマリアス様と一緒に大聖女生誕祭を楽しむことにしました。

 アベル様は大教会に所属している聖騎士なので大聖女のマリアンヌ様を護衛する仕事があるのです。


「マリアス様、あれはなんですか?」

 私はマリアス様の手を引いて甘い匂いのする屋台を指さしました。


「あれはベリー水飴と言って、ベリーの実を焼いたものに蜂蜜とバターを付けたものだよ。食べてみるかい?」

「はい」

 私はコクンと頷きました。


 ベリー水飴は蜂蜜の甘さとバターの風味がベリーの実の芳醇な甘さと相まってとても美味しいです。

 令嬢としてはお行儀が悪い気がしましたけど、食べながら歩きました。


「今日ばかりはお行儀は気にしなくていいよ。屋台にはこういうお祭りでないと食べられない美味しいものが沢山あるからたらふく食べたら良いよ」

 マリアス様が眩しい笑顔で手を引いてくれます。

 前世の公爵令嬢時代も含めてこういうお祭りで自由に楽しんだ記憶はないので、とても珍しくて楽しいです。


「あの美味しそうな肉の串焼きはなんですか?」

「あれはオーク肉の照り焼き串だね。柔らかくて肉のボリュームがあるから美味しいよ」

 マリアス様に買ってもらってオーク肉の照り焼き串を食べました。

 オーク肉は何度か食べたことがあるのですけど、こういう屋台のものは屋外で食べるサプライズ感もあって特別美味しく感じました。


 食べ終わった串をゴミ箱に捨ててから、マリアス様が湿らせたタオルで指を拭いてくれます。

「庶民が買うような装身具も屋台で売っているんだ。見てみようよ」


 小綺麗な屋台の前に町娘達が集まっていて指輪やネックレスやイヤリングを見ていました。

 本物の宝石ではなくてガラスのイミテーションなんですけど、モーリタニアの技術で宝石のように見える色のついた輝くガラスを作るのは難しいのだそうです。


「この銀の髪飾りはオクティさんに似合うんじゃないかなぁ」

 マリアス様が手に取ると店主が笑顔で説明を始めました。

「その髪飾りの意匠はアイビーで『永遠の愛』を意味しているのですよ。恋人に贈れば離れ離れになることはなくなると言われています」


 店主の説明を聞いて私の顔が輝きました。

 マリアス様とずっと一緒にいられたらとても嬉しいのです。


「これが気に入ったみたいだね。プレゼントしてあげるよ」

 マリアス様が購入して私の髪に付けてくれました。


「よく似合ってるよ」

「嬉しいです」


 私は幸せな気分でマリアス様と手を繋いで歩いていました。

 すると噴水前の広場から吟遊詩人の歌声が聞こえてきたのです。


 そう言えば前世ではマリアス様は吟遊詩人をしていて、噴水前の広場で私と出会ったんだわ。

 私が吟遊詩人の歌声にとらわれているのを察したマリアス様が噴水前に近づいていきました。


 吟遊詩人が弦楽器のリュートを演奏しながら歌っています。

 緑の髪の男性でした。

 耳が少し尖っているのでハーフエルフ族なのでしょうか。


「不思議だなぁ……。音楽にはそんなに造詣が深くないんだけど懐かしい感じがするね」

「私も凄く懐かしいです」

 私の中には言葉にできない思いが溢れてきました。


 私はやっぱりこのモーリタニアに転生してもマリアス様が好きなのです。

 そのことを実感したのでした。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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