第十四話 贅沢な買い物
昨日は小説を徹夜して読んでいたので執筆するのに時間が足りなくなりました。
今回はちょっと短いです。
魔王のダンジョンに近い森の中で拠点にしている小屋に、グランドル砦から迎えの騎士団が到着しました。
黒い鎧を着た三十人の精悍な騎士たちです。
「こちらが神の愛子のオクティ様か?」
騎士団長のブレイバー様がマリアス様に尋ねました。
「そうです。凄まじい神気でしょう?」
ブレイバー様は私の顔をじっと覗き込みました。
「……はわわわっ」
ブレイバー様はマリアス様とはタイプの違う強面のイケメンなので見つめられて顔が赤くなりました。
「確かにすごい神気がオクティ嬢から立ち上っているのを感じる。それに、この世のものとは思えないほどの美しさだ。創造神ブリミアル様に愛されているのだろう」
「オクティさんに似合う服を買ってあげたいのよ」
マリアンヌ様が私の傍に立って肩を抱いてくれました。
長い封印から目覚めたばかりの私は現実の生活感覚をかなり喪失していて、マリアンヌ様がお姉さんのように支えてくれるので助かっていました。
「そうだな。それが良い。すぐに準備してアルザースの町まで移動しよう。マリアスたちはオクティ嬢と一緒に馬車に乗ってくれ」
ブレイバー様は小屋の扉を開けて馬車に乗るように促しました。
◇◇◇◇
馬車での移動は何事もなくて一週間ほどでアルザースの町に到着しました。
「我々は領主のところへ行って魔道士を使って王宮と連絡を取る。国王の許可が出れば転移の魔法陣で王都に帰還する予定だ。それまではマリアスたちはオクティ嬢と一緒に宿屋で休んでいてくれ」
ブレイバー様は騎士団のメンバーを連れて領主の屋敷へ向かいました。
私はマリアス様たちに連れられて町で一番の高級な宿屋に部屋を取りました。
「私達、勇者パーティーは大金持ちなのよ。後でブティックでオクティさんの服を買ってあげるわね」
マリアンヌ様が笑いかけてくれました。
私はほっこりと楽しい気分になってへにょっと相好を崩しました。
前世の公爵令嬢時代はいつも気を張り詰めて完璧に自分を律していたのですが、このモーリタニアに転生して黒い宝珠から開放されてからは頭の中がほわほわしてしまうのです。
これも神の愛子として生まれ変わった影響なのでしょうか。
宿の中の食堂で皆んなで昼ご飯を食べました。
「この鶏肉の照り焼きは大好物なんだ」
マリアス様が美味しそうにバクバクと食べています。
「俺はボルシチが好きだな。故郷で母親がよく作ってくれたんだよ」
アベル様も楽しそうに話しながら飲み食いしています。
「二人共、野菜もしっかり食べないとだめよ」
マリアンヌ様はレタスときゅうりと人参のサラダを器いっぱいに取り分けてドレッシングをかけています。
さすがは魔王を倒した勇者パーティーのメンバーです。
豪快な食べっぷりでした。
私は豚肉の生姜焼きを頂きました。
ロールパンにレタスと一緒に挟んで食べると美味しいです。
食事が終わるとブティックに私の服を買いに連れて行ってくれました。
「オクティさんは凄まじい美貌でスタイルもいいから何でも似合うわね」
マリアンヌ様は楽しそうに色々な服を試着させてくれました。
「国王陛下の許可が出たら転移の魔法陣で王都に戻るから旅装でなくてもいいのよね。オクティさんに似合う可愛いワンピースを選んであげるわ」
「ありがとうございます。私お金を持っていないのに……」
「そんなこと気にしなくていいのよ。私達は大金持ちだって言ったでしょ。それにマリアスがオクティさんにプレゼントしたがっているわ」
「オクティ嬢の着る服は俺に選ばせてくれ」
マリアス様が言うとマリアンヌ様が小突きました。
「ちょっと、それキモい!」
「何でだよ! 俺好みの服を着せたって良いじゃないか!」
「わ、私、あまりエッチィのはちょっと……」
私が顔を赤くするとマリアス様が慌てて言い訳しました。
「ち、違うぞ! 俺はそんなにスケベじゃないぞ!」
「やっぱり、オクティさんの服は私が選ぶわ。これから国王陛下に謁見するんですもの清楚な装いでないといけないわ」
「マリアスの趣味に合わせていると露出度が高くなるからな。マリアンヌもそれで昔……」
アベル様が昔のことを述懐するとマリアンヌ様が顔を赤くしました。
「昔、誕生日にマリアスから服をプレゼントされたことがあるのよ。上は白いホルターネックで肩と背中がむき出しで、下は膝上三十センチのマイクロミニスカートだったの。大聖女の私にそんな露出の高い服をプレゼントしてくるなんて変態なのよ」
「俺は変態じゃない! 男なら普通の趣味だ!」
「恋人でもない女にそんな露出度の高い服を贈っておいて何を言ってるのよ!」
マリアンヌ様はマリアス様をボコッとぶん殴りました。
賑やかな買い物になりましたが私はとても楽しい気分でした。
モーリタニアに転生できて良かったのだと実感しました。
「この清楚な白いワンピースと可愛いピンクのワンピースにするわ。それと下着と靴も買わないと」
マリアンヌ様はブティックの店員と相談して私の服と下着と靴を買ってくれました。
「後は王都に転移するだけだけど、まだ旅は終わっていないから服は最小限でいいわね。王都の屋敷に戻ったらオクティさんの衣装部屋が一杯になるまで買ってあげるわ」
「国王陛下に謁見するならアクセサリーも必要だろう。宝飾店に買いに行こう」
「そうね。オクティさんは神の愛子なんですもの。高価な宝石で身を飾ることも必要だわ。宝石を持っていないと貴族達に舐められるものね」
私は宝飾店に連れて行かれてサファイアのネックレスやルビーのイヤリングを買ってもらいました。
「指輪もあった方が良いな」
マリアス様の言葉にマリアンヌ様が頷き、魔力の籠もった魔晶石の指輪を買ってもらいました。
「魔晶石は普通の宝石よりも高価なのよ。左手の中指にはめておいてね」
今日一日で凄く高価なものをたくさん買ってもらいました。
こんなに贅沢して良いのでしょうか。
「オクティさんは神の愛子なんですもの。このくらいの買い物は贅沢のうちに入らないわよ」
「王都の屋敷に戻ったらもっとたくさん買ってあげるからね」
マリアス様が爽やかな笑顔で贅沢宣言しました。
「オクティ嬢は世界で一人しかいない神の愛子なんだ。友誼を結ぼうとする貴族や商人達が贈り物をこれでもかというくらいに送ってくるだろうな」
アベル様が買い物した荷物を持って歩きながら言いました。
「俺達、勇者パーティーはオクティ嬢の守護者だからね。王都の俺達の屋敷で暮らして贅沢をしていればいいよ」
マリアス様はレディーファーストで扉を開けてくれました。
「王族からもたくさんプレゼントが届くでしょうね」
マリアンヌ様が笑顔で私の腰に手を添えて歩き始めました。
私、モーリタニアでは世界で唯一の神の愛子として凄く大切にされるみたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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