第一話 幸せの絶頂から断罪されて性奴隷に
後半は主人公が神の愛子となって無双しますが、前半は胸糞悪くなるようなひどい目にあいます。
そういうのが苦手な人は気をつけてください。
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私、公爵令嬢オクタヴィアはノーリプトン公爵家の美しい一人娘として生まれました。
七歳のときからランバード王国の王太子であるカイン様と婚約しています。
政略による婚約でしたが私達は幸せでした。
カイン様は見目が良いだけでなく誠実で優しくて私のことをとても大切にしてくださいました。
そんな優しさにほだされて私もいつしかカイン様を愛するようになっていったのです。
厳しい王太子妃教育が始まってお城で学ぶ時間が長くなりました。
カイン様はストレスを溜め込んでいる私をねぎらってお茶会で優しくしてくださいました。
そんなカイン様の隣に立つのに恥ずかしくならないように私は必死で努力しました。
いつしか完璧令嬢の純白の薔薇と呼ばれるようになっていたのです。
純白というのはとても清楚で穢れを知らないという意味でした。
私は夜会で他の高位令嬢から嫌がらせをされても気分を害して怒ることはありませんでした。
思いやりと慈悲の心があれば大抵の人間とは協力関係を築くことが出来ると信じていたからです。
どうしても私とわかり会えない人はカイン様が遠ざけているようでした。
そんなふうにして教養と知識とマナーを身に着けながら九年の歳月が過ぎました。
私とカイン様は同じ歳なので王立学園に同時に入学しました。
カイン様は毎日私とお茶会をして愛の言葉を囁いてくれました。
完璧令嬢として表情を変えない訓練をつんでいる私もその時ばかりは顔が赤く火照ってくるのを抑えられないのでした。
私とカイン様が十七歳になったときに神殿が聖女を召喚しました。
聖女を異世界から召喚するのは百年ぶりということです。
召喚は成功してイブリースという名前の美少女が今代の聖女であると大司教の名で宣言されました。
聖女イブリースは私達と同じ十七歳だったのでノルン男爵家の養女となって王立学園に入学してくることになりました。
イブリース様はピンク色の髪の可愛らしい美少女でした。
元いた世界では平民だったらしく身分差に無頓着で誰にでも親しそうに話しかけます。
最初はみんな聖女の礼節をわきまえない奔放な行動に不快感をつのらせていたのですが、数ヶ月すると雰囲気が変わってきました。
騎士団長の息子や宰相の息子や魔道師団長の息子など高位貴族の子息がイブリース様に侍るようになっていったのです。
彼らには幼いときに決められた婚約者がいたのですが、白昼から堂々と婚約者を蔑ろにしてイブリース様のそばにいるようになっていったのです。
当然、彼らの婚約者は怒りました。
騎士団長の息子のアベル様の婚約者はスザンナ侯爵令嬢だったのですが、怒りに任せてイブリース様を校舎裏に呼び出しました。
激しく罵って二度とアベル様に近づかないように念を押したそうですが、イブリース様は無表情で薄笑いを浮かべていたそうです。
それから三日後、スザンナ侯爵令嬢は学舎内に侵入してきた不審者によって顔に毒物を振りかけられました。
酷いことに顔は焼けただれて光魔法で治療しても火傷痕の引きつった傷は元には戻らなかったそうです。
アベル様との婚約は解消されて領地にこもって誰とも会わずに生活することになったそうです。
次に悲劇に見舞われたのは、宰相の息子のロビン様の婚約者であるカトリーヌ伯爵令嬢でした。
王立学園から邸宅に戻る途中の馬車がならず者の一団に襲われて、連れ去られたのです。
すぐに王都の警備隊が捜索にあたったのですが、なかなか犯人にはたどり着きませんでした。
そして、二週間後にカトリーヌ様は変わり果てた姿で発見されました。
激しく凌辱された痛々しい姿で全裸で王都の中央の大広場の女神像に逆さに磔られていたのです。
警備隊が駆けつけて救助したのですが、その頃には大勢の市民が目撃者となっていました。
たとえ傷が癒えたとしても、カトリーヌ様の貴族令嬢としての人生は回復不可能なほどに壊されてしまいました。
当然、ロビン様との婚約も解消されたのです。
魔道士団長の息子のドズル様の婚約者は、メアリー伯爵令嬢です。
彼女はとても怯えて私のところへ相談にきました。
スザンナ様とカトリーヌ様が悲劇に見舞われたのは、イブリース男爵令嬢と関係があるのではないかということでした。
状況からすると怪しいのですが、ただの男爵令嬢がそんな恐ろしいことをするならず者たちとつながりがあるとは思えません。
「疑いたくなる気持ちもわかりますが、イブリース様は聖女として召喚されてきたのですから、そんな恐ろしいこととは無関係なのではないでしょうか……」
「ですが、あの女、イブリースは私の方を見て嗤っているんですの。次はお前の番だと言わんばかりですわ!」
メアリー様は両手で胸を掻き抱くようにして身を震わせていました。
私も表情を曇らせました。
その頃には、王太子であるカイン様もイブリース嬢のそばにいるようになってしまっていたのです。
私と毎日のようにお茶会をして愛を囁いていたのが嘘のように、今はイブリース嬢に夢中のようでした。
もう半年もカイン様と言葉をかわすことができなくなっていたのです。
それから3日後にメアリー様は王立学園から姿を消しました。
親にも知り合いにも行き先を言わず届け出をしないままに失踪したのです。
学園内の雰囲気も大きく変わってきました。
以前は王太子の婚約者で純白の薔薇と謳われた私に敬意を示す人が多かったのですが、今はイブリース嬢に親しみのこもった目を向けて、私には敵意と侮蔑のこもった目を向ける人が増えてきたのです。
イブリース嬢は奔放な性格をあらわにして高位貴族の令息を恋人のように何人も侍らせて女王のように振る舞うようになっていました。
その一方で私は陰湿な嫌がらせを受けることが多くなっていったのです。
十八歳になって卒業間近になる頃には、学園内で私に味方するものは一人もいなくなっていました。
それでも逃げなかったのは、完璧令嬢の純白の薔薇と言われた自分の矜持を失いたくなかったからと、カイン王太子と過ごした甘い愛の記憶がまだ残っていて彼を信じていたいという気持ちが捨てきれなかったからです。
そして王立学園の卒業パーティーが始まりました。
カイン王太子殿下はイブリース嬢をエスコートして現れました。
イブリース嬢はカイン様から贈られたと思われる青色の豪華なドレスを身にまとっていました。
鮮やかな青色は王家の色でカイン殿下の瞳の色でもあります。
それだけでなくカイン殿下の髪の色と同じ金色の純金のネックレスもしていました。
対して私はエスコートしてくれるものは誰もおらず一人で入場しました。
周りには私の味方は一人もいません。
皆、嘲るような目線を向けてヒソヒソとうわさ話をしています。
カイン王太子殿下の婚約者でありながら蔑ろにされている惨めな令嬢と噂されているのです。
悔しいことにそれは事実なので、気丈に高貴な笑みを浮かべていましたが、内心では今にも泣き崩れてしまいそうでした。
カイン王太子殿下が右手を振り上げて大きな声を出しました。
「オクタヴィア公爵令嬢よ! 前に出ろ!」
私は息を呑んで一段高い壇上にいるカイン殿下に歩み寄りました。
カイン殿下にはイブリース嬢が腕を絡めてすがりついており、取り巻きの高位貴族の令息たちが周囲を固めていました。
「オクタヴィアよ、お前は聖女であるイブリース嬢に嫉妬し、いじめや虐待を行っていたな! それだけでなく毒を盛って暗殺しようとしたと調べはついている!」
「そのようなことはしておりません!」
私は真っ青な顔で抗弁しました。
それらのことは私がイブリース嬢にしたことではなくて、イブリース嬢の取り巻きの派閥のものが私に対してしたことばかりでした。
「証拠は上がっていると言っただろう!」
宰相の息子が前に一歩進み出ると、証人から聞き取ったという供述を語りました。
「証人となるものは大勢いるんだ! 言い逃れなど出来ないぞ!」
「それだけではないぞ、オクタヴィア! お前はノーリプトン公爵家の力を使って裏稼業の組織を動かしていたな!」
宰相の息子がニヤリと笑います。
「スザンナ侯爵令嬢、カトリーヌ伯爵令嬢、メアリー伯爵令嬢、彼女たちの悲劇の事件もオクタヴィアが裏稼業の人間を使って行った犯罪なのだ!」
「濡れ衣です! 私は裏稼業とのつながりなどありません!」
「そう言うと思って証人を呼んできている!」
人波をかき分けて黒いローブの怪しい男が現れました。
「俺は暗黒邪神教の暗部の元メンバーでグレルというものだ。スザンナ侯爵令嬢、カトリーヌ伯爵令嬢、メアリー伯爵令嬢の事件を引き起こしたグループにいた。確かにそれらの令嬢を襲撃するように依頼してきたのは、オクタヴィア公爵令嬢だ」
「そ、そんな嘘です!」
カイン王太子殿下は無慈悲な笑みを浮かべました。
「そのグレルという男とは司法取引をしている。オクタヴィアの悪事をすべて話せば罪を軽くしてやるというな!」
「オクタヴィア公爵令嬢はノーリプトン公爵家の力を使って、麻薬の密売や人身売買や敵国への軍事機密の漏洩など国家反逆罪に問われるようなことをしていた」
「嘘です! 私には身に覚えがありません!」
「見苦しいぞ、オクタヴィア! お前は国家反逆罪の大罪人だ! 身分を剥奪の上処刑する! ノーリプトン公爵家も連座でお取り潰しだ! 一族郎党すべて処刑だ!」
カイン王太子の宣言を聞いて眼の前が真っ暗になりました。
「お待ち下さい、カイン様」
今まで黙っていたイブリース嬢が口を開きました。
「オクタヴィア様はまだ若いです。生きて罪を償わせるほうが良いですわ。それに一族郎党皆殺しはやりすぎだと思います」
「そうか、だが甘い処分をすれば逆恨みしてこちらに牙を向いてくるぞ。ひとおもいに一族郎党処刑したほうが後腐れがないのだ!」
イブリース嬢はクスクスと嗤いました。
「死ぬよりももっとつらい目に合わせてやれば、十分に罰になりますわ。悪女のオクタヴィアは慰安婦にしましょう」
「慰安婦というのは何だ?」
「聖女の身代わりになって国民に性的に奉仕する性奴隷ですわ。完璧令嬢の純白の薔薇と呼ばれた高貴な女性が性奴隷となって奉仕してくれるのです。国民が喜びますわ」
カイン殿下はしばらく考えてニヤリと嗤いました。
「確かに公爵令嬢のオクタヴィアにとっては死ぬよりも辛い罰になりそうだな」
「そのようなこと、国王陛下と皇后陛下がお許しになられません!」
私は絶望に歪んだ顔で国王陛下と皇后陛下にすがったのです。
「国王と皇后は先日より重い病を患って意識不明だ。今のこの国の最高権力者は王太子のこの俺だ!」
カイン殿下が勝ち誇ったように言いました。
「ノーリプトン公爵家ですが、私を養女として迎え入れるならお取り潰しはやめておいてあげましょう」
「そうか、それで良いのか?」
「私はカイン殿下と結婚して王妃になるんですもの。男爵令嬢のままでは身分が釣り合いませんわ。オクタヴィアの身分を剥奪して性奴隷に貶し、私が公爵令嬢になったほうがうまくいきますわ」
「そうか、なるほどいい考えだな。ノーリプトン公爵も一族郎党処刑になるよりかはそのほうが良いだろう」
私は絶望で目の前が暗くなって座り込んでしまいました。
眼の前で起きていることが現実ではないようです。
イブリース嬢が近づいてきました。
「あら、絶望に染まったいい表情ね。その顔が見たかったのよ。言っておくけど辛いからと言って自害したりするとノーリプトン公爵家の人間は一族郎党皆殺しにするからね。必死に生きて性奴隷としての勤めを果たすのよ。私も時々見に行ってあげるわ」
絶望のあまり何も考えられなくなった私は、カイン王太子殿下が呼び寄せたお城の兵士たちに連行されて凶悪犯だけを収監する城の地下牢に連れて行かれました。
驚くことにイブリース嬢とカイン殿下が地下牢までついてきました。
「最初は独房じゃなくて凶悪犯が一緒にいる房に入れなさい」
イブリース嬢の命令で凶悪犯が五人収監されている房に放り込まれました。
「ほら、あんた達! 極上の女を差し入れてやったわよ! 好きにしなさい!」
凶悪犯たちは最初は戸惑った様子でしたが、イブリース嬢とカイン殿下が早くしろと命令すると、私に襲いかかってきました。
華奢な令嬢である私が凶悪な五人の男たちに敵うはずもなくドレスをビリビリに破られて気の済むまで代わる代わる凌辱されてしまいました。
その様子をイブリース嬢とカイン殿下は最初から最後までニヤニヤと下卑た笑みを浮かべて鑑賞していました。
「おい、お前たち! 今から一ヶ月間、この女を調教しろ! この女が従順な性奴隷になったら死刑を免除して罪を軽くしてやる!」
カイン殿下の言葉で凶悪犯たちの目に希望の火が灯りました。
「その破れたドレスはこちらに引き渡しなさい。その女にはこの貫頭衣を着せるのよ!」
イブリース嬢が看守から粗末な麻布でできた貫頭衣を受け取って投げ渡した。
「本当に死刑を免除してくれるんすかぁ?」
「お前たちが上手くその女を調教できたらな!」
「まずは、その貫頭衣を着せてあげなさい!」
凶悪犯たちは私の身体から破れたドレスを引き剥がすと、頭の上から貫頭衣をかぶせてきた。
貫頭衣は太股の付け根までの長さしかなく、腕と脇腹や腰が丸見えだった。
服とは呼べないような奴隷や囚人が着る布切れなのだ。
「貫頭衣に下着は無用ね! 下着も剥ぎ取ってこちらによこしなさい!」
イブリース嬢の命令で凶悪犯が手を伸ばしてくる。
「いやっ!!!」
あまりのことに思考停止していた私は初めて手足をジタバタさせて抵抗した。
「おいっ! 鞭をよこせ!」
カイン殿下が看守から皮の鞭を受け取ると房の中に投げ込みました。
「抵抗するならその鞭を使え!」
凶悪犯たちが王太子殿下の命令に逆らうはずもなく、私は何度も背中を鞭で打たれました。
公爵令嬢として蝶よ花よと大事に育てられていた私は痛みに対する耐性がなく、凶悪犯たちの言いなりになるしかありませんでした。
下着を剥ぎ取られて服と言えるものは粗末な麻布の貫頭衣だけになりました。
私は惨めさと恐怖にブルブル震えながら、囚人房の角に身を寄せて小さく蹲っていました。
イブリース嬢とカイン殿下は満足したのか立ち去る様子でしたが、最後の命令をしていきました。
「その女に与える食事は栄養バランスの取れた雑炊にしろ。量はたっぷりと無理矢理にでも食べさせるんだぞ。性奴隷が痩せていたら興が削がれるからな!」
「毎朝、囚人用の洗い場でその女の身体を水で洗ってあげるのよ。性奴隷が汚れていたら楽しめないでしょう」
「この囚人房にいる間その女の世話をするのは、凶悪犯のお前たちの仕事だからな!」
それだけ言うと嗤いながら立ち去っていきました。
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