表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

おっさんの徒然エッセイ

しいな ここみ様著 共感とは何か に寄せて

しいな様より暖かい快諾をもらいまして、書いております。



 

 さて、偉大なるココミック星の才媛、しいな様が投稿された「共感とは何か」https://ncode.syosetu.com/n6552hp/

 この作品についてご本人の暖かいご了解を得られましたので、私なりの見解による考察など、していこうかと思います。


 さて、この作品では下記のように進行しています。


 民主主義の前提として多数決が基本である。

 多数決はマジョリティ側の共感の産物であり、客観的な正解に基づくものではない。

 引用、最も美味しいラーメンが一番売れてるラーメンなら、カップラーメンだ。

 テストにおいては正解者はマイノリティだ。

 優秀なマイノリティ側は「特別な人」扱いされる。

 プロフェッショナルやスペシャリストにも、庶民的なレベルまで下がって来ることを求める風潮がある。

 筆者(しいな様)は頑固で研究一筋、技術一筋なプロが好み。

 そうじて、筆者(しいな様)はおかしいのか、という問いかけ。


 と、こんな形でしょうか。

 まずは上から順番に私見に基づいて考えていきましょう( ̄0 ̄)/


 民主主義の基本は多数決、これは間違い無いですよね。そして、多数決が多くの人の民意を反映するものであって、必ずしも正しい訳で無いことも事実です。


 では民主主義はbetterであってbestでは無い、ですが人が人を治める上で限りなくbetterな選択なんですよね。

 とは言え、それにはいくつかの前提条件が必要なんですね。それを書いていると長くなりますし、なにより、本旨からズレるので割愛して、次にいきましょう。

 さて、しいな様はここまでで、自分がマイノリティ側であり、変わっているのかと一つ目の問いかけをしています。それを踏まえて、私も聞いたことはある、とある名言を引用されていますね。

 実際の発言はネットで見てきたところ

 「売れてるものがいいものなら、一番うまいラーメンはカップラーメンになる」

 ロック、パンク界のカリスマが雑誌のインタビューで答えた内容ですね。

 カップラーメンに該当する部分がカップヌードルでも良いと思いますね。

 この引用からしいな様はこの発言に共感できること、そしてこの発言者が影響力のあるトップカテゴリに属する人物であることから、この発言に共感できる自分は実はマジョリティ側なのか、という二つ目の問いかけをされています。


 さて、まずはここで考えてみます。

 一つ目と二つ目の間で齟齬があり矛盾しているとしいな様は感じて、わからなくなり始める訳ですが、実際、矛盾しているんでしょうか。

 私はそうは思いませんね。

 二つ目の発言は、そもそもとして、売れてるもの、多数派のもの、多くの支持を得るものが必ずしも一番優れたものでないというアンチテーゼなわけですから、この発言に共感できることは、むしろ一つ目の多数決が必ずしも正解を引き当てていないという主張と何ら矛盾しませんよね。

 引用された発言をしている方も、パンクやロック、それもハードやコアといった部類の一般には少し縁遠いジャンルから一般的な知名度を得るほどに活躍されている方ですし、これは後述しますが、どちらかと言えば大衆(マス)に迎合しないタイプのアーティストですから、このあとに出てくるしいな様の嗜好とも合致します。

 発言と発言者ともに「売れてる(多数派)が正義とは限らない」という主張ですからね。


 では次にいきましょう。

 テストで好成績をとる、難問をクリアする人物は少数派だが、間違いなく「正解」を導き出しているし、何より優秀な筈だが、ボリュームゾーンにいる多くの凡夫から「特別な人」扱いで弾かれてしまう。

 これは事実としてありますよね。まさしく「出る杭は打たれる」というやつですね。

 しいな様は多くの「間違っている」マジョリティ側の共感に「正解している」マイノリティ側が弾かれてしまうことの理不尽さと、それでいて、努力し、才能ある優秀な人物にマジョリティ側が「自分たちに合わせる」ことを暗に強要する文化に違和感を抱いていますね。

 私はしいな様があげた、2種類のプロ、どちらも好きです。

 ですが、自分たちが理解できないことに対して、相手に自分側に合わせるように強要することは、明確に嫌いですね。

 私も筋トレやイラスト、執筆にビートボックスと最近はマシになりましたが、あまり一般的とは言えない趣味を持ってますから、こうした趣味を持ってる人あるあるになりますが、大抵「なに目指してんの(-ω- ?)」って聴かれて辟易するんですよね。

 この質問をする人って、本当になにを目指しているのか、知りたい訳でも、こちらの趣味に興味がある訳でもないんですよね。

 自分が面白さを理解出来ない、何で趣味として成立するかわからないことに対して、目的が不明なものを楽しんでやっている人物に対する不気味さや、得体の知れなさ、未知の生物に抱く恐怖みたいなものを無意識に払拭したいために「こんな意味不明なことをするのは何か目的があるに違いない」と自分の理解に嵌め込みたいだけなんですよね。

 なので「大胸筋をBカップにしたいんだ」と素直に目標を話しても「いや、意味不明だよ」って言われる。まあ、自分でも意味不明だとは思いますけど(笑)


 天才や奇才、努力した優秀な人物を自分の枠に嵌めようとすることは足を引っ張ることにしかなりませんよね。

 相手の善意で裾野を広げるためにこちらに歩み寄ってくれること期待する、また実際に相手の意思でそれが実現するならばともかく、「自分たちに迎合しないのはおかしい」と考えてはいけないとは思います。


 さて、共感とは何なんでしょうか。

 

 皆さんは「花」と言われて何を思い浮かべますか(-ω- ?)

 今の時期だと「桜」「花見」でしょうか。

 「梅」を連想しますか。ご自身の好きな花でしょうか。思い出の花ですか。


 単に「花」と言われただけでは人それぞれに思い浮かべるものは千差万別でしょう。

 そして「花ってキレイだよね」と言われて「そうだね」と返したとしましょう。

 この時、質問者が思う「花」と回答者の「花」は全く違うかも知れませんよね。それでも、この両者はこの話題にたいして「共通の認識」を持ったと「誤解」できる筈です。

 この「誤解」は全くの共通点がないのではなく、双方に緩い繋がりを持たせます。この「お互いが共通の認識を共有している」という安心感や充足感がコミュニティを形成していき、人間関係を深めていく、時によって、「誤解」の産み出す「齟齬」によってトラブルになることもありますが、それすら、認識の擦り合わせと相互の補完でコミュニティをより強固なものへとかえていくものにもなります。

 共感とは、こうした「個人の主観」を擬似的に共有して、一体感を得る「幻想」なんですよね。

 ですから、しいな様のような鋭い方は、この「幻想」に斬り込んでしまう。


 私はしいな様が変わっているのではなく。

 ココミック星の才媛たるしいな女史の優秀さゆえの当然の疑問だと思いましたね。


 でも、例え「幻想」でも、一体感を得て盛り上がれるライブなど、その場の空気に酔える瞬間を私は大好きだったりもして、人は繋がりの中で生きてますから、何処までも孤高を貫ける天才や職人に憧れるものの、その生き方、在り方を自分に当て嵌めたら、早晩、心身が疲弊すると思います。

 なので、「尊敬する」か「そんな生き方が理解出来ず否定するか」になってしまう。

 無視するという選択肢もあるんですね、視界に入ってしまったものを、自分の理解の範囲内におさめて置かないと不安なので、「自分とは縁遠い別次元の人」として、共感の外においておく。

 多数決がそうした排除されるマイノリティ側の意見を組み込めないことは確かで、そして、だからとマイノリティに配慮し過ぎたりすることでも歪みがおきてしまう。


 多様性というものの難しさですよね。個人主義で各々の主義主張がぶつかりあっていると問題が多い。

 互いに尊重して、共感できないことにたいして、理解出来ないことを認めるという「共有」が出来たらいいと思います。



 


 


 

ご感想お待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] しいな様のエッセイに対するアンサーとして素晴らしい解説と回答だなと思いました。 流石は愛猫家様。 [一言] >そして「花ってキレイだよね」と言われて「そうだね」と返したとしましょう。 →…
[一言] 素晴らしいエッセイでした。 もやもやが晴れましたよ。 仰る通り、互いに認め合ったうえで問題の共有化が出来たらいいなと思います。 その道のりは険しそうですけどね……。
[良い点] 私のとっちらかった思考を見事にまとめて頂きありがとうございますっ(っω<`。) それに加えての多角的視点からの卓越したご見解、堪能いたしました。 私には共感できるものが少ないので、共感…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ