6.「お使い」
6話です。
もう少し暗い話ですがお付き合いいただけるとありがたいです。
2022.4.9 加筆修正しました。
よろしくお願いします。
転生しクソ孤児院に収容されてから、2年が経過し俺は8歳になった。
残念ながら、スキルの発現はみられない。
2年も経過すると、いろんなことに慣れた。
環境が人を変えるんだな。
慣れてくれば、この最悪な状況も悪いことだけじゃなく思えてくるんだ。
そんなある日
「11番!ゴミ捨てダンジョンにこれを持って行ける?」
びくっ!!!
やばい『お使い』を頼まれてしまった。何故だ!?
目立たぬように学力テストは5番。体力テストは3番。戦闘テストは4番。
優秀な方の子供を演じていたはずだ...。
なぜだ...。
泣いてる年下の子供には、追い打ちでいじめてるふりしながら慰めたり。
ご飯が食べられなかった子供には、散々バカにした後、隠した食料を分けたり。
無駄に絡んでくる年上には、ブラジリアン柔術っぽい何かをおみまいしたり。
9歳の女の子のスカートをめくったり。
クソシスターの靴に家畜の糞をつめたり。
年下の女の子に雑草の花を使ってブーケをつくってみたり...。
なにが、いけなかったんだ...。
まだ、捨てられるには早い...。
スキルが無ければ『お使い』に出された瞬間、あの世に行ってしまう。
「シスター...。僕はもういらないの?」
「11番?何を言ってるの?もう8歳なんだから...。このゴミを持っていくだけよ?もちろん、わたしもついていくわ。」
「!?。そうだったの?僕はてっきり...。」
その時、シスターの目が光った。
「11番。知らない方が幸せな事ってあるのよ。あなたは見込みがある。それ以上は..。ねっ?」
このシスターは、メイという名前だ。
彼女にだけはクソの称号をつけられない。
この2年間、彼女だけは他のクソと違い、俺が泣けば共に悲しんでくれた。
悪いことをすれば、本気で叱ってくれた。
もちろん、いい事をしたらたくさん褒めてくれた。
メイシスターは俺にとってこのクソ孤児院での姉のような存在だ。
「タケオ兄...。」
こいつは、ゴージ 7歳で弟みたいなもんだ。
よくご飯争奪戦に負けて腹を空かしていた。
俺のアドバイスにより、今ではそんなに負ける事はない。
「漁夫の利」作戦を教えてあげたのもあるし、7歳は6歳に比べると基礎能力もちがってくるからな。
「タケにーちゃん...。」
こいつはサン 6歳の女の子だ。
とりあえずサンはかわいい。ころんでも、泣いても、怒っても。
このクソ孤児院での俺の癒しなんだ。
何故こいつらが名前で呼んでいるかって?
この孤児院には、敵対してない子供同士は、お互いの名前で呼び合う暗黙のルールってのがある。
俺のように最初から名前がある子もいれば、名前のない子もいる。
名前のない子供は、子供同士で名前を付けたり、いきなり名乗り出したり
さまざまな形でみんなが名前をもっている。
ちなみに、サンって名前は俺が付けたんだ。
サンは、俺と初めて会話した時に、緊張して噛んだんだ。
「よんろく..。よろんくおんえがいします。84番です...。」って
「あーよろしく。俺は11番でタケオって名前だ。君の名は?」
「な..いです。」
「じゃーサンでいい?」
「サン?なんで?」
「サンは太陽って意味なんだ。こんな場所でも太陽みたいに輝いて欲しいって意味を込めて、84番ちゃん。君には悲しそうな顔は似合わない。明るく太陽の様に笑って欲しいって意味が込めてあるんだ。」
「太陽...。ウン、わたすはサン..。今日からサンだよ。」
サンは満面の笑顔で笑った。
俺は、その笑顔を忘れる事は一生ないだろう。
って今考えると少し恥ずかしいエピソードがあった。
「....。でっ?11番、お使いに、行ってくれるんでしょうね?私もついて行くけど。あなたたち2人はお留守番だけど。」
「もちろん。行きますよシスター。」
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