27.「ジブさん」
27話です。
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「ワシはジブ。41歳だ。こっちは家内のサリだ。29歳。子供が二人だけで、こんな田舎の村を訪れるなんて、何かあったという事なんだろう?御母堂に何かあったのか?」
「僕達の家はウーメダで薬屋をやっていました。父も母も錬金のスキルを持っていて、評判の薬屋だったのです。ところがある日、ご存知のようにコビワの国が攻めてきたのです。ウーメダは一方的に蹂躙されました。父は、母と姉、僕を逃がす時に...。とりあえず僕たちは、母の出身地のオオクニマチに向かい。祖父の家に、身を寄せていました。」
「それで、御母堂はどうしたのだ?」
「母が頼っていた、オオクニマチの祖父が亡くなりました。母は私たちを育てる為に昼夜を問わず働きました。無理がたたり3日前に亡くなってしまったのです。母が亡くなると借金取りが現れ、姉と僕に返すように言ってきました。母が借金をしていたとは思えないのですが...。何か、怖くなって夜遅くに抜け出して、夜通し歩きました。明るくなった時に、この村を見つけたという事です。」
「タケオ...。かわいそう...。」 いや、ラーファさん?
「かわいそうな話。ねぇあなた。」
「うん、そうだな。それで君たちはどこに向かっていたんだい?」
「何処というあてもなく。祖父もなくなり、私たちにはもう頼る身内もありません。せめて僕たちの事を知っている人がいない場所を目指そうと...。都会を避けるように歩いてきたのです。」
突然、ラーファが抱き着いてきた。
「タケオ...。私がいるわ!そばにいるじゃない!!かわいそうすぎるわ。神様...。」
ラーファさん??あなたも同じ設定なんですけど....。
「あなた?どうしかしましたか?」
「タケオ殿、ラーファ殿、ご飯でも食べよう。大した物は無いが、我慢してくれるとありがたい。サリ。用意を頼む。」
「はい。わかりました。」
「サリさん、私も手伝います。」
「さて、タケオ殿。2人だけになれたな。本当の理由を教えてくれぬか?」
「!?」
「そんな3文芝居で、ワシを騙せると思おうたか?お涙ちょうだい劇は、私の主君の専売である!」
ジブさんの口調がかわった!?
「あっ。すまんのう。興奮すると昔の事を思い出し、きつい言葉が出てしまう...。」
「昔の事ですか?」
「うん昔の事じゃ。君も私と同じように、「今」とは違う、「昔」を持っているんじゃないのか?という事だ。」
「あなたは、いったい?」
「わしが思うに、姉は違うようじゃが?おぬしはこの世界の本当の住人ではあるまい?」
この口調は、俺のいた現代の物ではない!?
ジブさんも転生者か?しかしまるで時代劇のような口調だな。
敵なのか味方なのかもわからない...。真実を話すべきか判断が難しい。
「タケオ殿、わしは嫌われ者でのう。真実しか話せず、相槌を打つことも、相手を立てる事も出来ない不器用な男でのう。おぬしが言った内容が真実でないと分かってしまったら、追求するしかできんのじゃ。わしの事が、敵か味方かもわからぬ内に手の内を明かせぬのは十分にわかる。それゆえ、わしから自分の事をそなたに話そうと思う。聞いてくれるかのう?」
俺に反論させる隙も考える隙も与えず、自己の主張する方向に話の舵を持っていく。なんて手腕だ。
俺が嘘をついている事を分かったうえで、自分をさらけ出し真実を引き出そうとしている。
しかし、俺はその中にある、信念と誠実さを感じていた。
自分に信念が無く何も考えない性格の人にとって、この人は付き合いにくいだろうなぁ。
天敵になっちゃうんだろうなぁ。
「....。はい。聞かせていただきます。」
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