おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!6.新たな勇者
私はエドガー・バルマー。伝達魔法で聖女マリアに呼ばれて家の前に来ている。ロープを持ってきてくれと言われたが、聖女護衛の名家を小間使いのように考えて欲しくない……
「エドガー! やっと来たわね!」
入る前から気配を感じたか……無駄に優秀なのは相変わらずだ。そして、家の中がギャーギャーと騒々しい……嫌な予感しかしない。正直、入りたくない……
「あ! 入る前にモニカちゃんも呼んで!」
いったい中で何が行われているのだ……まあ、戦力が多いに越したことはない。魔導士モニカ殿への伝達スクロールは発動しておこう……
さあ、入るとするか……
「あーん、お姉さまぁ~」
マリアは丸太のような腕で可愛らしい少女の頭を掴んで持ち上げてる……なるほど、そういう事か。状況は理解した……
「ちょっと! なんで、私に縄を掛けようとしてるの!」
ん? 違ったのか? とうとう犯罪に手を染めてしまって、大人しくお縄に付こうとしていると思ったのだが……
「縛るのはこっち! 私に纏わりついてきて本当に困ってるの!」
なるほど、よく見てみると可愛らしい少女はマリアに懐いているようだ。物好きな娘もいるようだ。よかったな……マリア、恋人ができて……
「ちょっと、エドガー! 勝手に妄想膨らまさないで! 私こういうの好みじゃないから!」
マリアが何か言っているようだが、とりあえず挨拶はしておいたほうがいいな。今後仲良くなれそうな気がする……
「エドガー様、私はアグネスと申します。勇者をやっています!」
ん? なんだ? 変な言葉を聞いたような気がする。ゆ……勇者?! この可愛らしい感じの娘が勇者だと! 私の中の勇者の概念が崩れそうだ。な、なるほど……マリアが勇者護衛の家系であるモニカ殿を呼んで欲しいと言ったのはそういう事だったのか!
「エドガー様、心配なされないでください! 私、男ですから!」
アグネスがめくったスカートにみえるもの……こいつもマリアと同類だったのか! 確かに縛る必要がありそうだ……
パタン
どうやら、モニカ殿は転移魔法で既に来ていたようだ……魔導書を落としてしまったか。そうだろう……ショックだろう。私の気持ちがわかっただろう!
「と……尊い……」
は? モニカ殿は何を言っている?
「マリアさん! この子、勇者ですから、私が貰っていいんですよね!」
モニカ殿の目がヤバいのだが大丈夫なのだろうか? なぜか、異常に鼻息が荒いし、目が逝っている気がする……この王国の行く末が心配になる……
この物語はシリーズ化しております。勢いで第6弾も書かせて頂きました。
楽しんでいただけたなら幸いです。
このシリーズをいつも応援して頂き、ありがとうございます