持ち上げて落とすんかーぃ!
やっと体が出来ました、イメージは某左腕に銃を持つ〇の相棒さんの
アーマロイドになる前の人間姿のスタイルを想像して下さいますと丁度宜しいかと。
改めて自分の姿を鏡でよく見ると、すっげーコレ、もうメリケンのグラビア女優って言っても過言じゃ無いわ!、これだったら男もほっとかないでしょー!ホクホクしながら自分の姿を見つつもこれから行く異世界への思いをはせていた。
「さて、それで良いかな?、もう満足か?それで良ければ魂を定着させるぞ」
「え?あ、はい、定着?って何ですか?」
「今はその体に憑依している状態であって、完全に自分の物となっておらん故に完全定着をさせるのだ」
「あぁ、そういう物なんですね?、大丈夫です、とても気に入りましたので宜しくお願いします」
「うむ」そう言って手を再度サッ!と振るった瞬間に体中が一気に暖かくなった気がした。
けど、あれ?、何で体が未だ半透明?てっきり体が出来たら実体化すると思ってたのにこれじゃまるっきり幽霊なんですけど…
「あの、ドランクリア様、体が半透明なのですが??」思い切って聞いてみた。
「うむ、そうで無いと差し障りが出るからな?、で、契約を進めるぞ?」
「いや、ちょっと待って下さい、これじゃ幽霊と変わらないじゃないですか?」
「?実体化したらもう此方には戻ってこれんぞ?、使途として活動するのにそれではいかんだろう?」
「え?、へ?、じゃこの幽霊のような体で何をしろと仰るんですか?」
「無論、この世界の酒の進化だが?よく考えて見よ、実体化してその体で酒が有る場所に行ったとしよう、その後どうするのだ?、全部の酒を自分で作るのか?、そういう訳にはいかんだろう?、あくまで酒が出来上がるの事への助力をして欲しいのだよ」
な…なんだってー!じゃ私ってば実体化できないままで、ずーっとこの状態なの?ショボン
「そう拗ねるな、酒が一つ出来る度に赴いた場所で1日づつ滞在が出来る様にはしてやるから」
「はぁーい、分かりましたー、で、契約ってどうしたら宜しいのですか?」
「おぉ、分かってくれたか、では左の手を出しなさい」そう言われて素直に左手を出した所で、神様の人差し指が親指の付け根に触れて、そこには薄いピンク色でコップの形が出来て下にチョッピリの液体が入っているマークが現れた。
「コレが契約紋だ、新しい酒が生まれる度にそのコップの中が埋まって行く様になるのでな、励む様に」
「はい、分かりました、ところでこれからどうしたら宜しいのですか?」
「まぁ今しばし待て、まずは今使える能力を説明しておこう、よいか?聞き逃すでないぞ?」
「は、えっと、メモなんて物はないですよね?」 「それぐらいは覚えよ」 「あっ、はい、分かりました」
「まずは窓転移、これはその場所にある窓に移動をする事と、窓の中限定でその姿を現す事が出来る、実体を持っていてはこれは出来ないのでな、次に憑依、これは窓から見える生物に少しの間だけ乗り移る事が出来る、次に隠蔽、これは窓から見える対象物自身を、その場に有っても見えなくする、最後が時間加速、この能力はお主は何も変わる事は無いが、窓から見える時間だけがドンドンと過ぎていく能力だ、当然窓の向こうは過ぎてゆく時間分全てが変って行くから気をつける様に」
「気をつけるとは?一体何を?」
「有機物は腐敗、人間ならば成長が有り、建築物なら老朽化となる、迂闊な時間の進め方をするとどうなるか分からんぞ?」
「あ、そっか、そうなんですね…分かりました、気をつけます」うむうむと首を振るドランクリア様。
「それと、幽体の様な見た目だが、酒を呑むことは可能だ、コレがこの世界の酒だがまず試してみるとよい」
そう言いながらコップに薄茶色の液体を出して来たのでそれを押し頂いて飲み込んでみた所、少し苦くて少し酸っぱい、ぶっちゃけあんま美味しくない何だコレ?
しょげた顔でドランクリア様が言った「それがこの世界のエールなのだよ、残念な事にお世辞でも美味いとは言えないであろう?」
「残念ながら元のエール自身を頂いた事が無いのでこれが美味しいのかまずいのかは何とも言えないです」
「そうだな、確かに元になる物の味が分からねば判断は出来ぬな」そう言って私の肩を掴むとあっと言う間に世界が変った。
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