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異世界の酒窓から  作者: やみがらす
2/10

何がどうしてこうなった?

2話目です、順次の公開ですがストック直ぐに尽きるのでそこからはのんびり投稿です

 烏龍茶のジョッキを飲み干してから、少し経つと息がし辛くなって来た、え?、ちょっと待って、これお茶よね?まさかこのお酒臭い席に当てられてアレルギーの症状が出始めたの?、頭がグルグル回って我慢できなくなってそのまま机に突っ伏してしまった。


「なんだなんだ、この程度で情けねーなー、ま、いーか、寝かしてやるよ」好子が机に突っ伏したのを寝たと勘違いした紀夫はそう呟いて、周りにも「寝かしてやってくれや」と話しかけ後輩に優しい先輩風を吹かせていた。


 ただただ息が苦しい、呼吸が出来ない、何で?何で?何で?、そう思いながらも好子の意識が闇に落ちるのにそう時間はかからなかった。


 ガラガラガラ、ピシャ、外で彼からの電話を終え、居酒屋の入り口の扉を閉めて「ふー、やれやれ」とちょっと溜息をつきながら呑み会の個室に戻った、あの子大丈夫かな?、個室の扉を開けた私の目に飛び込んで来たのは新人の酒賀ちゃんが机に突っ伏している姿だった。


「ちょ、酒賀ちゃん、大丈夫?」私は慌てて駆け寄って彼女に近づこうとしたのだが、銚子主任が近寄ろうとする私を手で止めて「だーじょーぶ、心配ねぇって、んな、ちッと酒飲ませた程度で大げさな、どうせ寝てんだろうから放っといてやれや」と言い放って来たが上から見える肌が青白くなっているのが見えたので、その手を跳ねのけて近寄り、彼女の顔を起こそうとしたが体に全く力が入っておらず、見えていなかった顔は真紫と言っていい程の顔色だった。


「ねぇ、ちょっと、ねぇってば!」頭をガクガク揺するが何の反応も返ってこない、というか息すらしていない様に見え、茫然とし掛けたが、すぐに気を取り直し大きな声で「救急車!救急車呼んで!」と叫んだ、それを聞いて銚子主任が「大げさにすんなよ!ちょっと酔った程度だろ!」と叫んできたが「うるさいわよ!、この子息してないじゃない!」と叫び返し「早く!、救急車呼んで!」もう一度叫んだ時に個室の扉が開いて店員さんが「お客様どうされましたか?」と入って来た、「連れの子が倒れたの、急いで救急車呼んでください!」とお願いした後すぐに酒賀ちゃんを仰向けに寝かし直して顎を上に上げて人工呼吸を始めた。


 どれ位時間が経っただろう、周りの社員たちはただ遠巻きに私たちの事を見ているだけで何も手伝おうとしない、銚子主任に至っては私に向かって「大丈夫だよな?な?」と延々言って来るだけ、そうこう言っている内に救急車が着いたのか「ここですか、患者はどちらですかっ!」と声が聞こえて個室に入り込んできたが、その時の救急隊員の顔を私は一生忘れないだろう、その顔は「この方はもうお亡くなりになっている」と言いたげな顔だった。


 救急隊員がそれでも酒賀ちゃんをおんぶして店の前に待機していた担架に乗せ、急いで救急車に運び込む所に付いて行った、隊員の皆さんが救急車に運び込まれた彼女に手早く呼吸器と血圧計の様な物を取り付けたが、呼吸器は空気が動いているようには見えず、血圧計も動いていなかった、そして私が一番聞きたくないと思っている言葉が救急隊員の口から出た「残念ですが、20:40分ご臨終です」


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