私って、なんのために働いてるんだろ……
”私って、なんのために働いてるんだろ……”
どんな仕事にも。どんなプロフェッショナルにも。
肉体的に、精神的に来る出来事がある。
それでもやらなきゃいけない瞬間ってのはあるわけさ。
今もこうして、大変な世の中でも。
「…………はぁ~」
「どうしたんだよ、実さん……」
「山口くん。……いや、ねぇ。仕事辞めたくなる時、あるよね」
「そうだが。実さんが言うのは珍しい。家族いるじゃん」
◇ ◇
なにやら感染症が流行っていて、このクソ暑い中でもマスクを付けろという。
だが、どうだ?それを守るのは半分くらいか、6割くらいかな。
100%は無理だろう。自分は掛からないだろうって、思う方もいる。その対策の度合い、気持ちのソレは個人で任せれば良いと思っている。
口から食事をするんだ。ずーっとなんか付けるわけもない。
「マスク付けろ!!感染症だって言ってるだろ!!感染したいのか!?」
「えぇぇっ!?お尻の穴から汁抱く牛丼を流し込むんですか!?」
そういや、緊急事態宣言の頃かな。昼飯時の牛丼屋に、ただの嫌がらせしに来た客が居たのを思い出す。
まさかね。お尻のところから食事を摂りなさいとは言わないだろう?まぁ、勝手にどうぞ。
感染症が脅威なのは間違いないし、かといって過敏に反応していたらキリがない。死にたくはないが、周りに迷惑をかけたくないくらいが丁度良いと思う。
マスク付けて、手指消毒して、人が集まるところには行かない。よほどの事がない限り、この日本ならこれで事足りるだろう。感染しても結局退院すりゃあいい。
”あんた、舐めてんのか!?”
そう思われちゃあ、しょうがないと思う。実際のところ、重く受け止めてるとなーんにもできず、不満しか出て来ない。もっと言うと
「えええーーーーー!!」
みんな、そう言うのも分かるんだけど。
「感染者(陽性)が出てる会社に荷物を届けるんですかーーー!?」
「気をつけて、行ってこい!!そんな理由で配達できませんなんてな、俺達は言えねぇーんだよ!今は客を選ぶことはできない!だいたいお前等、毎日のようにそこ行ってるだろ!!どーせ、感染しねぇーよ!!お前等、馬鹿なんだから!!」
一言余計だが、上司なりに新品マスクと消毒液を渡しながら、GOの命令。ニュースとか、こーいう仕事だから向こうの方から連絡があったりもする。ちなみに後者だった。
ウチがそんなことしたら、その会社の被害も甚大ではない。届けに行くだけじゃないし。会社に行って感染症になるって、嘘でも広がれば信用が落ちるのは明白。
最初はみんな。嫌々な反応をするけど、お約束でしかない。
「まー、どこで罹ってもおかしくねぇしな。通勤の電車でもらうだろうし」
「そだなー。覚えておくだけでいいだろ。荷物渡すのも、長くて10数分くらいだし」
「自然に回復するときもあんだろ?休んどきゃいいんだよ」
はい、慣れました。楽天家過ぎる。
けど、中には家族がいるから行きたくないという人もいる。それはしょうがないよね。
「陽性反応だって、検査受けないと分かんねぇーし。検査受けないで体調悪い奴もいるしな」
「そして、買い物はネット通販へ」
「俺達感染しちゃ~~う(笑)。地域に広めちゃうなぁ~(笑)」
「ぎゃははははは!!病原菌とか言われるな~~(笑)」
注:
みんな、中での作業中はマスクを付けてます。
暑い外では、運転中にマスクを外している時があります。荷物をお渡しする際にマスクを付けます。
頭が、感染症でおかしくなったかと思われますが。こいつ等は元からです。基本、気にしない連中です。そんなの気にしてたら、仕事できない。ただし、客に迷惑をかける事は点数を下げられるから、基本的な事はしていますので、安心してご利用ください。
「やれやれ、騒がしい人達だ」
「元気良いのは会社が明るい証拠だ。まー、こんな大騒動でも勤務にまったく影響ないのは異常な業種だよ。相変わらず、人手不足も含めてな」
「業績落ちてるらしいけど」
「それは高給取りのせいだろ」
そろそろ出発の時間。宣言以降も、在宅が多くて助かる。この暑さも影響があるだろう。先月は先月で雨ばっかりだったけど。
ブロロロロロロ
もう何ヶ月も経っているからか。なんとなく分かってしまう事がある。そんなもんかって、納得してしまう事。
ピンポーン
「お荷物でーす。判子かサインをお願いします」
「はーい」
在宅している率が高いのもそうだが、その在宅している方がマスクを付けて出てくる割合は2割ぐらいである。その2割の内、9割は玄関ドアにマスクをかけてたり、置いているかのどちらか。要するに使い回しに近い(これは推測かも)。
受け取る客も客で、最低限のマナーを守ります。こちらからも感染を防ぐ努力をしようという意志が伝わってきます。ありがたいです。あまりこちらは気にしませんけど。
ほとんどはマスク付けないし、向こうが付けてるでしょ?みたいな顔なのも事実か。もっと言ったら、気にしていないのかも。
そんな中に、1日1人ぐらいはいるのだ。
「ちゃんとマスクを着けろ!!それが礼儀でしょ!!」
マスクは鼻までかけないといけない。自分は残念ながら、事情があって鼻にかけられないんですよね。とはいえ、そんな事を語る意味はないだろう。落ちちゃうけど、その場で鼻までかけておく。
「まったく!感染症をナメないで!!」
そーいうおばちゃんなんだが。……自分は気にしないし、周りのご近所もそうだから言いませんけど。
『なら、そちらはマスクをしてください……』
◇ ◇
↑のようなやり取りがあった後。ちょっと嫌な気分になってから、3件目くらいだ。
ブロロロロロロ
「暑っ」
さすがにこの時期の暑さは堪える。しかし、マスクを付けなきゃいけないし……なにより。
「時間までに仕事が終わらなかったら、残業代払わないって言うし。仕事は終わらせないとな」
実質、パワハラの方が気になる。まぁ、企業の言い分も分かるが、それはまた今度。
配達員の実もちょっと急ぎで配達を行なう。
ピンポーン
「お荷物でーーす!」
インターホンは鳴らす前から、ここのお宅が在宅している事が100%分かる。だって、玄関のドアが開けっ放しだからだ。出て来ないとしたら、昼寝してるかくらいだ。クーラーの風が涼しくて羨ましいと思いつつ、
「?……もういっちょ」
ピンポーン
「???」
こりゃ昼寝してるのか。このパターンで不在票を入れるのはちょっと気が引ける。大抵、文句が来るんだよなーって分かっている。だが、そんな文句がマシでしたっていう5秒後。
「うっせーな!!荷物置いとけよ!」
荒々しい口調だが、年寄りの声が。ズカズカと玄関にやってきた。
「今、感染症で大変なのを知らないのか!!?この馬鹿は!!」
置き配の場合は、差出人のご指示か。ご要望がなければできません。だって、勝手にやったらそれはそれで問題ですし。盗難も実際あるので。
そんな事情など分からず、怒鳴ってくるのはまぁいい。いや、そんなのその……
「空気感染するんだぞ!!」
「あの……」
感染症の怖さを訴えつつ、怒ってくるのはいい。
言っちゃいかん。絶対に、言っちゃいかん。そー知らないフリをするのが一番だと思っている。
「客の事を考えらないのか!?お前等、病原菌共は!!」
「ご、ごめんなさい!置いておくんで!じゃー!」
足早に逃げる。もう逃げるしかない。代引きじゃなくて良かったーー。
◇ ◇
「ははははははは!!」
「笑わないでくれよ、山口くん」
「す、すんません!!だって……ぶふふ」
笑い話にされちゃう。ホントになんで仕事をするんだろうって、思う出来事。
「60代のおっさんが、フル○○のまま怒鳴って来たらな!はははは、おっかしーーー!」
「この暑さだと、上半身裸の女学生とかあったけど、○○チンのおっさんに怒られたの、初めてなんだもん。やる気失せちゃったよ」
ホント、仕事辞めたくなる……。