37.対策強化
ガソリンの確保を無事に終えた一騎たちは、病院へと帰るとすぐに次にするべきことを開始した。自衛隊員たちはゾンビカラスが襲ってきたことを、明石と狭間二等陸佐に報告をしに。
中村と鳥越の両班は、一騎たちと一緒に院内にある作製室室へ。この作製室には創太が自分で設計し、パーツを作製して組み上げた大型3Dプリンターがある。
彼らはここで、動体感知の警報システムの作製と設置場所の検討を行っていた。
「とりあえず試作品用の動体感知装置ができたわけだけどさ」
「葉加瀬くん。形ってこれしか作れなかったのかい?」
「……これ、某ゾンビ映画作品の中で、砂漠地帯に登場していた気が」
「形のパクり?」
一騎たちが苦言を呈しているのは、完成した試作品の形にある。どこから、どう見てもただの棒でしかない。棒を安定的に立たせること可能な場所など、病院の敷地を探しても数ヵ所しかないのに、だ。
そして、その棒状の動体感知装置は三笠の言う通り、有名な某ゾンビ映画作品で出てきた物とほぼ同じ。ちなみに数は二十本。
「仕方ないのだよ。動体感知と言われて、僕の頭に真っ先に思い浮かんだのが、この形なのだよ」
「……立たせるのに問題があるだろうが。はぁ。それはともかくとして、装置としてはどうなんだ?」
「問題ないのだよ。カメラを上中下と三つ設置。これで人型もゾンビ犬も、ゾンビ猫も発見できるのだよ」
「鳥系は?」
「そっちはドローンを追加しようと考えているのだよ」
「武器は?」
「まだ検討中なのだよ」
「上空対策を考えているなら、ショットガンはやめておけ」
「わかっているのだよ。まとめて殺せないなら、シェルの無駄使いになるだけなのだよ」
動体感知装置の話から、ドローンの武装の話に変わっていたため、中村が一度介入。再度、装置の設置場所へと話を戻した。
「現状、この棒型の動体感知装置を設置することが出来そうな場所は、駐車場近くの花壇と入院棟屋上のフェンスくらいしか思い付かないな。
武藤くんたちは、どうだろう? 他に設置が出来そうなところに心当たりは?」
「オレは中村さんと同じ考えです。棒型を設置するとなると、花壇か入院棟屋上のフェンスだけかと。強いて上げるなら、後は電柱などに結ぶくらいですかね」
「わたしも同意見」
「自衛隊にロープを提供してもらって、それを使って街路樹に固定するくらいかしら」
「動かない事故車の屋根に穴を開けて、そこに入れて固定するのは?」
一騎と澪は仲良く同じ意見というか考え。梓はロープを使って、駐車場近くの街路樹に固定する方法。三笠は事故車や燃料を取り出した後の車の屋根に、棒型装置がピタリと入るくらいの穴を提案。
「棒型監視装置は二十本。十本を地上に設置して、残りを入院棟の屋上に設置するのはどうでしょうか?」
「屋上に十本も設置する場所なんてあったか?」
「東西のフェンスに等間隔に五本ずつなら、問題なく設置できますね」
「問題は固定するロープか」
「そこは自衛隊に用意してもらうしかないんじゃないかしら?」
梓の提案が現状では一番確実だろうということで、一騎たちは作製室を出た。それと用意できそうなら、いくつかの電動ドリルなども届けてもらう方針に。
ドリルの要求は三笠の案を採用できるかを確かめるために、どうしても必要となった。作製室で作ればいい、と言われそうだが、創太がドリル構造を知らないので無理だったのである。
「中村さんと、鳥越さんたちには後藤院長に許可をもらい、花壇に動体感知装置を設置してきてください。オレたちは明石さんのところに向かい、ロープとドリルの準備を頼んでくるので」
「わかった。後藤院長も拒否はしないだろう。病院の防衛力強化は必須だからな」
「そうだよな。もしも夜間にRZやゾンビ犬なんかが接近してきても、人力による早期発見は難しそうだし」
ちなみに創太が作った動体感知装置だが、暗視機能が付いている。なので夜間でも、問題なく作動するのだ。電源に関しては、単三電池を二本使う。
感知が作動しなければ、二十日くらいは問題なく動き続けるタイプのもの。創太は玄関先に設置する小型外灯に使うソーラーパネルを確保して、シフトしていくつもりだ。
「それに明るいと、それだけでゾンビは寄ってくるからな」
中村と鳥越の両班は、後藤に同意と許可を求めに院長室へと出発。ただし、盛岡だけは一騎たちと一緒に作戦室へ。
「鳥越さんたちと、一緒に行かなくていいんですか?」
「問題ない。それよりも明石に要求するなら、俺も同行した方がいいと思ってな」
「学生だけだと、見くびられると?」
「そうじゃない。明石は武藤くんたちが、俺たちと協力して生活してきたのを知っている。だが、それと要求を飲んでくれるかは別問題だ」
「大丈夫だと思いますよ。お互いに武器と弾を提供し合っているので」
盛岡もそれは理解していた。ただ、単純に彼はかつての同僚や後輩たちが澪や梓などに下心を向ける場合を危惧している。もしも、実際にそうなったら、隊員たちは顔を真っ青にするだろう。
一騎たちの、いや、一騎の怒りを買ったらどうなってしまうのかを目撃することによって。それを防ぐために盛岡は同行を決めた。
作製室のある三階から一階の作戦室へ向かう途中、何人かの若い自衛隊員たちが、澪たちの全身を舐めるように見ていた。ちなみに、その隊員たちは一騎に一瞬で距離を詰められて、急所に銃口を突き付けられて震え上がっていたが。
――コンコン
「明石さん、いますか?」
「入ってくれ」
「失礼します」
一騎がノックして呼び掛けると、すぐに返事があった。中へと入った彼らが見たのは、ホワイトボードに大きく貼られた来栖野市の地図。
室内にいた明石を含む数名の自衛隊員が、一騎たちの方へと振り向く。この時、隊員たちは入室してきた彼らを見ると、丁度いいところに、と言いたげな表情に。
明石は一瞬だけ驚いた表情に。ある程度は拭かれていても、まだ一騎の顔や髪、服装にはゾンビカラスの血が残っていたからだ。
「明石さん、自衛隊の方で用意してもらいたい物があるんですけど」
「用意してもらいたい物か。それは?」
「頑丈なロープと電動ドリルです」
「ロープと電動ドリル?」
「はい」
一騎の言葉を聞いて、何に使うのかと明石は盛岡に視線を向けた。正確には血に染まっているような状態の一騎が、妙に怖かったのだろうが。
「動体感知装置を作ったのだよ。ただ、それの形が棒状で固定する物として、ロープが必要なのだよ」
明石が盛岡に向けた視線の意味に気付いた創太が、彼よりも早くに答えた。
「感知装置?」
「そうなのだよ。夜間にゾンビなどが近寄ってきた時、人力で発見するのは困難。その解決策として、動くものを感知すると、受信機に信号を送り警報を鳴らす装置を作ったのだよ。
ただ、棒状だから花壇などに突き刺すしかない。それだと監視できる場所が限定されるから、ロープなどで街路樹などにも固定したいのだよ」
「なるほど。ガムテープなどじゃ、長さは足りないし街路樹に固定するには不向きだな」
「そうなのだよ。それでロープが欲しいのだよ」
「電動ドリルは?」
「事故車や、燃料切れで動かない車の屋根に穴を作り、そこに入れるのに必要なのだよ」
「わかった。賀古市の陸佐に手配要請してみよう。それと、武藤くん」
「はい?」
「その、なんだ。今の君は怖いから、シャワーを浴びるなどして血を洗い流してきた方がいい」
「……そうですね。そうします」
答えに少しだけ間があったのは、一騎が同行者たちに視線を向けて意見を求めていたからだ。本題は無事に済んだので、彼らは病院にいる間に使うようにと、後藤が用意した入院棟のそれぞれの個室へ移動した。
明石たちは来栖野市に向かうための準備や、偵察方法などの意見交換をしたがったが、今回は後回しに。病院の安全確保は必須だからである。
□
病院の栄養士と調理師たちが作った昼食を食べてから、一騎たちは対策強化を開始した。ちなみに、メニューは白米、サバの味噌煮、野菜たっぷりサラダ、ジャガイモの味噌汁。
一騎と澪にジャーキー、創太と梓、中村と鳥越の両班は固定監視装置を一台ずつ二人で持って運び出していた。それと暇そうな避難民の男性陣数名。既に作られていたのだが、どこに配置するかが決まっておらず、放置されていたのだ。
今回は重要となる場所を話し合って決めて、設置に向かっている最中。外見は誰が見ても、公園などに設置されているゴミの回収箱でしかない。ちなみにだが、一騎はシャワーを浴びて、ゾンビカラスの血を綺麗に洗い流した後だ。
一騎たちが運んでいく先は駐車場と病院正門と、病院裏手のフェンスを越えた先。三笠は数名の自衛隊員と一緒に、台車を押して後に続いていた。
最初に一騎と澪、創太と梓が正門の左右に一台ずつ設置。この固定型監視装置は、大きさからして、人型ゾンビと人間しか把握が出来ない。
しかし、創太が開発搭載したAIによって日中であれば、非常に役立つ監視装置だ。なにせ、AIが自動で人間かゾンビかを判別してくれるのだから。
ゾンビと判断した場合、内蔵された小型発電機を動かして三笠たちが運んできたものを、かなり勢い付けて発射してゾンビを殺すのだから。
「一騎、教えた通りにカメラの裏側にあるパネルを開くのだよ」
「了解。ここにセットするのか?」
「そうなのだよ。タンクをセットして、蓋を開けたらホースを中に入れて準備完了なのだよ」
「わかった。三笠、持ってきてくれ」
「はいはーい。重いから注意してね」
三笠と自衛隊員たちが運んでいたタンク、その中には液体窒素が入っている。一騎と澪は手袋をして、左右からタンクを持ち上げ、そっと監視装置の中に降ろしていく。73式装甲車と74式戦車に、少しだけ左右に広がってもらい、正門の外へ。
ガコンと音がしたところで、液体窒素のタンクが底に到着。三笠が蓋を開けると、一騎がホースを入れた。
「後はパネルを閉じるだけなのだよ。そうすれば、AIが液体窒素を最適な温度で保存。ゾンビが射程に入ると、 ホースを出して顔面に液体窒素を噴射。顔面に穴を開けたり、首を吹き飛ばすのだよ」
「その射程は?」
「五メートルが限界なのだよ」
射程が五メートルだとしても、ゾンビ相手には十分な迎撃能力だろう。一騎だけじゃなく、話を聞いていた全員がそう思った。
彼らが創太の技術を凄いなと思っている間に、AIを起動させて早速とばかりにゾンビ監視モードを起動。
「ワン、ワンワン!!」
今まで大人しく一騎と澪にくっついていたジャーキーが、二人が手ぶらになったのを見ただけで尻尾をブンブンと振る。遊んで欲しいとばかりに、吠え始めた。
「わかった、わかったから」
「武藤くん、これを使うといい」
「ありがとうございます」
一騎が盛岡から受け取ったのは、テニスボールだ。病院内のリハビリテーション科で使われる、握る力を取り戻すのに用いられる物。
後藤はジャーキーが来てから、いつでも遊べるようにと用意していたものだ。一騎はそれを知らないが、テニスボールを受け取り、駐車場に続く道へと投げる。
「取ってこーい」
「ワンワン!!」
ジャーキーは見ていた全員が心配になるほど、尻尾をブンブンと振って走っていく。あまりにも尻尾を振るから、千切れないかと不安になったのだ。
「ワフワフ!!」
当のジャーキーは、そんな彼らの心配など気にした様子もなく、テニスボールを銜えて元気に走って戻ってくる。
「ワン!」
澪が屈んで手を伸ばしていると、その手にボールを乗せて「早く!」とばかりに吠える。彼女はそれに応えるように投げて、ジャーキーに言った。
「取ってきて」
「ワフン、ワンワン!」
元気に走るジャーキーを眺めていた全員。ここで一騎がハッとした表情になった。
「ジャーキーと遊ぶのに集中してられない。次の場所に向かって設置しましょう」
「そうだな」
「ジャーキーが走る姿を見ると、ゾンビのいない日常を過ごしているような感じになるな」
一騎と澪は戻ってきたジャーキーの頭やお腹を撫でながらも、中村と鳥越の両班と一緒に駐車場へ移動。八の字になるように、二十メートルほど距離を開けて設置。
ここでは、10式戦車とオスプレイの邪魔にならないようにと場所に気を付けて。駐車場の出口からゾンビが入ってきても、すぐ分かるようにと。
向きを少しだけ斜めにしているのは、中央部分には避難民の男性陣が運んできた一台を置く。残りの男性陣が持っているものは、全て裏手のフェンスを越えた先へ。
フェンスを越えた先に置くには、駐車場から外へと出て向かわなければならない。この時になると、ベネリM4で武装した二台のドローンが護衛として飛んでくる。
「二台をここに。それと、あそこの木々を抜けた先に二台を。そうすれば、全て設置完了です」
「任せてくれ」
「全体の兄ちゃん、自衛隊の護衛なしで危なくねえか?」
「大丈夫です。このドローンは自衛隊が操作していますし、ゾンビが寄ってきても搭載しているショットガンで殺せますから」
一騎が答えると、男性陣は安心したように設置して液体窒素の入ったタンクをセットし、蓋を開けてホースも入れていく。そして創太が最後の四台も起動させて、これで固定型の迎撃監視装置による、病院防衛能力は増した。
「協力ありがとうございます」
「全体の兄ちゃんたちは、俺たちの命の恩人だ。どんどん指示を出してくれて構わないんだぜ」
「そうそう。力仕事の時には遠慮なく、俺たちに言ってくれよな」
設置を終えた一騎たちは、病院へと戻る。避難民の男性陣は、ラルゴ、ハイエース、74式戦車の場所へと戻っていく。これから、ゾンビカラスの血で真っ赤になった車体を、洗車するためだ。
戻ってきた時、血で赤くなっていない場所を探すのが大変なくらいだったのを見て、彼ら避難民たちがパニックに陥りそうになったのは仕方ない。
事情を知った彼らは「俺たちの恩人である、全体の兄ちゃんたちの車の汚れや簡単なメンテナンスは任せてくれ」と、自分たちが活躍できると喜んでいた。
ちょっとした閑話休題。院内に戻った一騎たちが向かったのは、監視映像室。起動させた固定型の迎撃監視装置が、ちゃんと機能しているかの確認をしに。
「どれも問題なく作動しているのだよ」
しばらく映像を見ていた創太は、問題なく機能しているのを見て満足そうに頷いた。
「夜間はほとんど、役立たずだろ?」
「そうなのだよ。迎撃までAIにプログラムしたから、暗視機能は処理能力不足なのだよ。やろうとすると、二倍から三倍ほど、大きくする必要が出てくる」
創太は実に悔しそうだが、室内の自衛隊員たちの意見は違った。
「葉加瀬くんのお陰で、ずっと神経を使うことが減ったから大助かりだよ」
「そうそう。ドローンを飛ばすのだって、バッテリー残量に気を付けないといけないし」
「夜なんて、73や74に10の連中なんかは交代で監視していたからな」
「監視の自動化によって、見落としも減る。本当に感謝しているんだ」
「……ふ、ふはははは。気にしなくていいのだよ! 僕らは協力してお互いを生かし、この問題を解決して日常を取り戻すのだよ!!」
一騎たちや自衛隊員たちと目を合わせないようにして、創太は上を向きながら答えた。全く関わったことのない人間からすれば「うわっ! 超ムカつくんだけど!!」なシーンだろう。
「創太が照れてる」
「照れてる」
「あらあら? 珍しく顔が真っ赤ね」
「素直に喜ばれて感謝されるのに、全く慣れていないの?」
「もしそうなら、ずいぶんと可愛いと思わないかしら?」
「ワフン」
「あんまりにも子供っぽくない葉加瀬くんに、子供っぽさが!?」
「顔が真っ赤だ。面と向かい合って感謝されるのに、全く慣れていないんだな」
「いいじゃないか。活躍しすぎの完全無欠系高校生に、実に世間慣れしていないような面があっても」
実際は一騎、澪、梓、三笠に中村たちの言葉通りだ。こうなる以前から創太は、他人と向かい合った状態で感謝されると、顔を真っ赤にして視線を合わせようとしない。
そう、見事なまでに照れているのだ。創太は認めようとしないが、正面切って感謝されることが少ない彼は、こういう場合において顔を合わせようとしないのである。
「べ、べべべべ、別にテッテレテレーじゃないのだよ!!」
創太にしては珍しい慌てぶりに、室内の全員が見守るような視線を向ける。すると、注目を浴びた創太は気恥ずかしそうに、ドアのところまで移動。
「そ、そうなのだよ。そろそろ、夜でも支える動体感知装置の設置に向かわないとなのだよ!!」
顔を真っ赤にしたまま、スタスタと監視映像室を出ていってしまった。
「葉加瀬くんって、意外と可愛いところあるのね」
梓が出した評価に対し、同意が相次いだ。可愛いと言っても、異性としてではなく感謝されていないことに関しての可愛い発言ではあるが。
「オレたちも設置に向かおう」
「うん」
「ワン!?」
「ジャーキー、後で時間を作って遊んであげるから」
「ワン!」
「そう、約束」
一騎と澪の言葉に渋々といった感じの雰囲気を漂わせながらも、ジャーキーは遊んでと吠えるのを止めた。彼らは作製室へと向かい、棒状の動体感知装置を回収。
「後藤院長に花壇への設置許可はもらってある。それと入院棟屋上のフェンスに固定可能なようにと、ガムテープを渡されたよ」
鳥越の言葉に頷き、彼らが向かったのは病院敷地にある三ヶ所の花壇の一つ、病院正門近くだ。ここに五本を突き刺して、さらに五本を細い街灯にガムテープで固定。
「雨が降ったりしたら、すぐに剥がれそうですね」
「明石に急ぐよう言っておく」
「お願いします」
しっかりと花壇に突き刺し、抜けたり倒れたりしないのを確認してから起動。続いて一騎たちは入院棟屋上へ。
「お疲れ様です」
「やぁ、武藤くんたち。お疲れ様」
「それは?」
「動体感知装置です」
「暗視機能付きなのだよ」
「スゴい物を作ったねぇ」
屋上から周囲を見渡していた、警戒班と挨拶と言葉を交わしつつ一騎たちはフェンスに感知装置をガムテープでグルグル巻きにして固定。
この時、真ん中のカメラを塞がないように注意。創太が起動を確認して、ポケットからスマフォと同じくらいの大きさの受信機を警戒班に渡した。
「もしも動体感知装置に反応があれば、カメラが映像撮影を開始すると同時に受信機の警報を鳴らすのだよ」
「便利だな。助かるよ」
創太は受信機を追加で作り、自分たちの分と夜間警備を担う自衛隊員や自衛官に手渡した。この後の予定が特に決まっていなかった彼らは自由行動に。
一騎と澪の二人は作製室に戻り、そこで大人しく待っていたジャーキーを連れ出して遊んだ。ジャーキーが興奮のあまりに二人に飛び付き、澪が体勢を崩したところを一騎が受け止めた。
この時、一騎の両手がしっかりと澪の胸を掴んでしまったのだが、事故として二人はなかったことを選択。場面を目撃していた梓が、夕食前に一騎と澪に「いい雰囲気だったじゃない」と、からかったりする一幕も。
夕食後、創太が作製室で空中監視用のAIドローンを作り、鳥系ゾンビに対する強化を行った。この際、創太が搭載させたのは射程の短い火炎放射器で、一騎たちから「またか。また、やらかしたのか」と呟かれていた。
誤字脱字報告、ありがとうございます。




